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 1<HTML>⏎1 
 2<HEAD>⏎2 
d33-5<meta ...>⏎
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 6<TITLE>夢浮橋(大島本)</TITLE>⏎3 
 7</HEAD>⏎4 
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<p>First updated 9/20/1996(ver.1-1)<br>⏎
5<BODY>⏎
cd4:210-13Last updated 9/29/2011(ver.2-2)<br>⏎
渋谷栄一校訂(C)</p>⏎
<P
>⏎

6-7<ADDRESS>Last updated 9/29/2011(ver.2-2)<BR>⏎
渋谷栄一校訂(C)</ADDRESS>⏎
 14<H3>夢浮橋</H3>⏎8 
d115<P>⏎
 16薫君の大納言時代二十八歳の夏の物語<BR>⏎9 
d117<P>⏎
 18 [主要登場人物]<BR>⏎10 
 19<DL>⏎11 
 20<DT> 薫<かおる>⏎12 
 21<DD>呼称---大将殿・殿、源氏の子<BR>⏎13 
 22<DT> 女一の宮<おんないちのみや>⏎14 
 23<DD>呼称---一品の宮、今上帝の第一内親王<BR>⏎15 
 24<DT> 浮舟<うきふね><BR>⏎16 
 25<DD>呼称---入道の姫君・姫君、八の宮の三女<BR>⏎17 
 26<DT> 中将の君<ちゅうじょうのきみ><BR>⏎18 
 27<DD>呼称---親・母、浮舟の母<BR>⏎19 
 28<DT> 小君<こぎみ><BR>⏎20 
 29<DD>呼称---小君・御弟の童・童、浮舟の異父弟<BR>⏎21 
 30<DT> 母尼<ははのあま>⏎22 
 31<DD>呼称---朽尼、横川僧都の母<BR>⏎23 
 32<DT> 横川僧都<よかわのそうず>⏎24 
 33<DD>呼称---僧都<BR>⏎25 
 34<DT> 妹尼<いもうとのあま>⏎26 
 35<DD>呼称---故衛門督の北の方・尼君・妹・主人、横川僧都の妹<BR>⏎27 
 36</DL>⏎28 
d137<P>⏎
 38第一章 薫の物語 横川僧都、薫の依頼を受け浮舟への手紙を書く<BR>⏎29 
 39<OL>⏎30 
 40<LI>薫、横川に出向く---<A HREF="#in11">山におはして、例せさせたまふやうに、経仏など</A>⏎31 
 41<LI>僧都、薫に宇治での出来事を語る---<A HREF="#in12">僧都、「さればよ。ただ人と見えざりし人の</A>⏎32 
 42<LI>薫、僧都に浮舟との面会を依頼---<A HREF="#in13">「さてこそあなれ」と、ほの聞きて</A>⏎33 
 43<LI>僧都、浮舟への手紙を書く---<A HREF="#in14">かの御弟の童、御供に率ておはしたりけり</A>⏎34 
 44<LI>浮舟、薫らの帰りを見る---<A HREF="#in15">小野には、いと深く茂りたる青葉の山に向かひて</A>⏎35 
 45</OL>⏎36 
 46第二章 浮舟の物語 浮舟、小君との面会を拒み、返事も書かない<BR>⏎37 
 47<OL>⏎38 
 48<LI>薫、浮舟のもとに小君を遣わす---<A HREF="#in21">かの殿は、「この子をやがてやらむ」と思しけれど</A>⏎39 
 49<LI>小君、小野山荘の浮舟を訪問---<A HREF="#in22">あやしけれど、「これこそは、さは、確かなる</A>⏎40 
 50<LI>浮舟、小君との面会を拒む---<A HREF="#in23">まがふべくもあらず、書き明らめたまへれど</A>⏎41 
 51<LI>小君、薫からの手紙を渡す---<A HREF="#in24">この子も、さは聞きつれど、幼ければ、ふと言ひ寄らむも</A>⏎42 
 52<LI>浮舟、薫への返事を拒む---<A HREF="#in25">かくつぶつぶと書きたまへるさまの、紛らはさむ方</A>⏎43 
 53<LI>小君、空しく帰り来る---<A HREF="#in26">所につけてをかしき饗応などしたれど</A>⏎44 
 54</OL>⏎45 
d155<P>⏎
 56<A HREF="#in31">【出典】</A><BR>⏎46 
 57<A HREF="#in32">【校訂】</A><BR>⏎47 
d158<P>⏎
text5459 <H4>第一章 薫の物語 横川僧都、薫の依頼を受け浮舟への手紙を書く</H4>48 
text5460 <A NAME="in11">[第一段 薫、横川に出向く]</A><BR>49 
d161<P>⏎
 62 山におはして、例せさせたまふやうに、経仏など供養ぜさせたまふ。またの日は、横川におはしたれば、僧都驚きかしこまりきこえたまふ。<BR>⏎50 
d163<P>⏎
 64 年ごろ、御祈りなどつけ語らひたまひけれど、ことにいと親しきことはなかりけるを、このたび、一品の宮の御心地のほどにさぶらひたまへるに、「すぐれたまへる験ものしたまひけり」と見たまひてより、こよなう尊びたまひて、今すこし深き契り<A HREF="#k01">加へたまひ</A><A NAME="t01">て</A>ければ、「重々しうおはする殿の、かくわざとおはしましたること」と、もて騷ぎきこえたまふ。御物語など、こまやかにしておはすれば、御湯漬など参りたまふ。<BR>⏎51 
d165<P>⏎
 66 すこし人びと静まりぬるに、<BR>⏎52 
d167<P>⏎
 68 「小野のわたりに、知りたまへる宿りやはべる」<BR>⏎53 
d169<P>⏎
 70 と、問ひたまへば、<BR>⏎54 
d171<P>⏎
 72 「しかはべる。いと異様なる所になむ。なにがしが母なる朽尼のはべるを、京にはかばかしからぬ住処もはべらぬうちに、かくて籠もりはべるあひだは、夜中、暁にも、あひ訪らはむ、と思ひたまへおきてはべる」<BR>⏎55 
d173<P>⏎
 74 など申したまふ。<BR>⏎56 
d175<P>⏎
 76 「そのわたりには、ただ近きころほひまで、人多う住みはべりけるを、今は、いとかすかにこそなりゆくめれ」<BR>⏎57 
d177<P>⏎
 78 などのたまひて、今すこし近くゐ寄りて、忍びやかに、<BR>⏎58 
d179<P>⏎
 80 「いと浮きたる心地もしはべる、また、尋ねきこえむにつけては、いかなりけることにかと、心得ず思されぬべきに、かたがた、憚られはべれど、かの山里に、知るべき人の隠ろへてはべるやうに聞きはべりしを。確かにてこそは、いかなるさまにて、なども漏らしきこえめ、など思ひたまふるほどに、御弟子になりて、忌むことなど授けたまひてけり、と聞きはべるは、まことか。まだ年も若く、親などもありし人なれば、ここに失ひたるやうに、かことかくる人なむはべるを」<BR>⏎59 
d181<P>⏎
 82 などのたまふ。<BR>⏎60 
d183<P>⏎
text5484 <A NAME="in12">[第二段 僧都、薫に宇治での出来事を語る]</A><BR>61 
d185<P>⏎
 86 僧都、「さればよ。ただ人と見えざりし人のさまぞかし。かくまでのたまふは、軽々しくは思されざりける人にこそあめれ」と思ふに、「法師といひながら、心もなく、たちまちに容貌をやつしてけること」と、胸つぶれて、いらへきこえむやう思ひまはさる。<BR>⏎62 
d187<P>⏎
 88 「確かに聞きたまへるにこそあめれ。かばかり心得たまひて、うかがひ尋ねたまはむに、隠れあるべきことにもあらず。なかなかあらがひ隠さむに、あいなかるべし」など、とばかり思ひ得て、<BR>⏎63 
d189<P>⏎
 90 「いかなることにかはべりけむ。この月ごろ、うちうちにあやしみ思うたまふる人の御ことにや」とて、<BR>⏎64 
d191<P>⏎
 92 「かしこにはべる尼どもの、初瀬に願はべりて、詣でて帰りける道に、宇治の院といふ所に留まりてはべりけるに、母の尼の労気にはかに起こりて、いたくなむわづらふと告げに、人の参うで来たりしかば、まかり向かひたりしに、まづ妖しきことなむ」<BR>⏎65 
d193<P>⏎
 94 とささめきて、<BR>⏎66 
d195<P>⏎
 96 「親の死に返るをばさし置きて、もて扱ひ嘆きてなむはべりし。この人も、亡くなりたまへるさまながら、さすがに息は通ひておはしければ、昔物語に、魂殿に置きたりけむ人のたとひを思ひ出でて、さやうなることにや、と珍しがりはべりて、弟子ばらの中に験ある者どもを呼び寄せつつ、代はり代はりに加持せさせなどなむしはべりける。<BR>⏎67 
d197<P>⏎
 98 なにがしは、惜しむべき齢ならねど、母の旅の空にて病重きを助けて、念仏をも心乱れずせさせむと、仏を念じたてまつり思うたまへしほどに、その人のありさま、詳しうも見たまへずなむはべりし。ことの心推し量り思うたまふるに、天狗木霊などやうのものの、欺き率てたてまつりたりけるにや、となむ<A HREF="#k02">承り</A><A NAME="t02">し</A>。<BR>⏎68 
d199<P>⏎
 100 助けて、京に率てたてまつりて後も、三月ばかりは亡き人にてなむものしたまひけるを、なにがしが妹、故衛門督の北の方にてはべりしが、尼になりてはべるなむ、一人持ちてはべりし女子を失ひて後、月日は多く隔てはべりしかど、悲しび堪へず嘆き<A HREF="#k03">思ひたまへはべる</A><A NAME="t03">に</A>、同じ年のほどと見ゆる人の、かく容貌いとうるはしくきよらなるを見出でたてまつりて、観音の賜へると喜び思ひて、この人いたづらになしたてまつらじと、惑ひ焦られて、泣く泣くいみじきことどもを申されしかば。<BR>⏎69 
d1101<P>⏎
 102 後になむ、かの坂本にみづから下りはべりて、護身など仕まつりしに、やうやう生き出でて人となりたまへりけれど、『なほ、この領じたりけるものの、身に離れぬ心地なむする。この悪しきものの妨げを逃れて、後の世を思はむ』など、悲しげにのたまふ<A HREF="#k04">ことども</A><A NAME="t04">の</A>はべりしかば、法師にては、勧めも申しつべきことにこそはとて、まことに出家せしめたてまつりてしになむはべる。<BR>⏎70 
d1103<P>⏎
 104 さらに、しろしめすべきこととは、いかでかそらにさとりはべらむ。珍しきことのさまにもあるを、世語りにもしはべりぬべかりしかど、聞こえありて、わづらはしかるべきことにもこそと、この老い人どものとかく申して、この月ごろ、音なくてはべりつるになむ」<BR>⏎71 
d1105<P>⏎
 106 と申したまへば、<BR>⏎72 
d1107<P>⏎
text54108 <A NAME="in13">[第三段 薫、僧都に浮舟との面会を依頼]</A><BR>73 
d1109<P>⏎
 110 「さてこそあなれ」と、<A HREF="#k05">ほの聞きて</A><A NAME="t05">、</A>かくまでも問ひ出でたまへることなれど、「むげに亡き人と思ひ果てにし人を、さは、まことにあるにこそは」と思すほど、夢の心地してあさましければ、つつみもあへず涙ぐまれたまひぬるを、僧都の恥づかしげなるに、「かくまで見ゆべきことかは」と思ひ返して、つれなくもてなしたまへど、「かく思しけることを、この世には亡き人と同じやうになしたること」と、過ちしたる心地して、罪深ければ、<BR>⏎74 
d1111<P>⏎
 112 「悪しきものに領ぜられたまひけむも、さるべき前の世の契りなり。思ふに、高き家の子にこそものしたまひけめ、いかなる誤りにて、かくまではふれたまひけむにか」<BR>⏎75 
d1113<P>⏎
 114 と、問ひ申したまへば、<BR>⏎76 
d1115<P>⏎
 116 「なま王家流などいふべき筋にやありけむ。ここにも、もとよりわざと思ひしことにもはべらず。ものはかなくて見つけそめてははべりしかど、また、いとかくまで落ちあふるべき際と思ひたまへざりしを。珍かに、跡もなく消え失せにしかば、身を投げたるにやなど、さまざまに疑ひ多くて、確かなることは、え聞きはべらざりつるになむ。<BR>⏎77 
d1117<P>⏎
 118 罪軽めてものすれば、いとよしと心やすくなむ、みづからは思ひたまへなりぬるを、母なる人なむ、いみじく恋ひ悲しぶなるを、かくなむ聞き出でたると、告げ知らせまほしくはべれど、月ごろ隠させたまひける本意違ふやうに、もの騒がしくやはべらむ。親子の仲の思ひ絶えず、悲しびに堪へで、訪らひものしなどしはべりなむかし」<BR>⏎78 
d1119<P>⏎
 120 などのたまひて、さて、<BR>⏎79 
d1121<P>⏎
 122 「いと便なきしるべとは思すとも、かの坂本に下りたまへ。かばかり聞きて、なのめに思ひ過ぐすべくは思ひはべらざりし人なるを、夢のやうなることどもも、今だに語り合はせむ、となむ思ひたまふる」<BR>⏎80 
d1123<P>⏎
 124 とのたまふけしき、いとあはれと思ひたまへれば、<BR>⏎81 
d1125<P>⏎
 126 「容貌を変へ、世を背きにきとおぼえたれど、髪鬚を剃りたる法師だに、あやしき心は失せぬもあなり。まして、女の御身はいかがあらむ。いとほしう、罪得ぬべきわざにもあるべきかな」<BR>⏎82 
d1127<P>⏎
 128 と、あぢきなく心乱れぬ。<BR>⏎83 
d1129<P>⏎
 130 「まかり下りむこと、今日明日は障りはべり。月たちてのほどに、御消息を申させはべらむ」<BR>⏎84 
d1131<P>⏎
 132 と申したまふ。いと心もとなけれど、「なほ、なほ」と、うちつけに焦られむも、さま悪しければ、「さらば」とて、帰りたまふ。<BR>⏎85 
d1133<P>⏎
text54134 <A NAME="in14">[第四段 僧都、浮舟への手紙を書く]</A><BR>86 
d1135<P>⏎
 136 かの御弟の童、御供に率ておはしたりけり。異兄弟どもよりは、容貌もきよげなるを、呼び出でたまひて、<BR>⏎87 
d1137<P>⏎
 138 「これなむ、その人の近きゆかりなるを、これをかつがつものせむ。御文一行賜へ。その人とはなくて、ただ、尋ねきこゆる人なむある、とばかりの心を知らせたまへ」<BR>⏎88 
d1139<P>⏎
 140 とのたまへば、<BR>⏎89 
d1141<P>⏎
 142 「なにがし、このしるべにて、かならず罪得はべりなむ。ことのありさまは、詳しくとり申しつ。今は、御みづから立ち寄らせたまひて、あるべからむことはものせさせたまはむに、何の咎かはべらむ」<BR>⏎90 
d1143<P>⏎
 144 と申したまへば、うち笑ひて、<BR>⏎91 
d1145<P>⏎
 146 「罪得ぬべきしるべと思ひなしたまふらむこそ、恥づかしけれ。ここには、俗の形にて、今まで過ぐすなむいとあやしき。<BR>⏎92 
d1147<P>⏎
 148 いはけなかりしより、思ふ心ざし深くはべるを、三条の宮の、心細げにて、頼もしげなき身一つをよすがに思したるが、避りがたきほだしにおぼえはべりて、かかづらひはべりつるほどに、おのづから位などいふことも高くなり、身のおきても心にかなひがたくなどして、思ひながら過ぎはべるには、またえ避らぬことも、数のみ添ひつつは過ぐせど、公私に、逃れがたきことにつけてこそ、さもはべらめ、さらでは、仏の制したまふ方のことを、わづかにも聞き及ばむことは、いかで過たじと、慎しみて、心の内は聖に劣りはべらぬものを。<BR>⏎93 
d1149<P>⏎
 150 まして、いとはかなきことにつけてしも、重き罪得べきことは、などてか思ひたまへむ。さらにあるまじきことにはべり。疑ひ思すまじ。ただ、いとほしき親の思ひなどを、聞きあきらめはべらむばかりなむ、うれしう心やすかるべき」<BR>⏎94 
d1151<P>⏎
 152 など、昔より深かりし方の心を語りたまふ。<BR>⏎95 
d1153<P>⏎
 154 僧都も、げにと、うなづきて、<BR>⏎96 
d1155<P>⏎
 156 「いとど尊きこと」<BR>⏎97 
d1157<P>⏎
 158 など聞こえたまふほどに、日も暮れぬれば、<BR>⏎98 
d1159<P>⏎
 160 「中宿りもいとよかりぬべけれど、うはの空にてものしたらむこそ、なほ便なかるべけれ」<BR>⏎99 
d1161<P>⏎
 162 と、思ひわづらひて帰りたまふに、この弟の童を、僧都、目止めてほめたまふ。<BR>⏎100 
d1163<P>⏎
 164 「これにつけて、まづほのめかしたまへ」<BR>⏎101 
d1165<P>⏎
 166 と聞こえたまへば、文書きて取らせたまふ。<BR>⏎102 
d1167<P>⏎
 168 「時々は山におはして遊びたまへよ」と「すずろなるやうには思すまじきゆゑもありけり」<BR>⏎103 
d1169<P>⏎
 170 と、うち語らひたまふ。この子は心も得ねど、文取りて御供に出づ。坂本になれば、御前の人びとすこし立ちあかれて、「忍びやかにを」とのたまふ。<BR>⏎104 
d1171<P>⏎
text54172 <A NAME="in15">[第五段 浮舟、薫らの帰りを見る]</A><BR>105 
d1173<P>⏎
 174 小野には、いと深く茂りたる青葉の山に向かひて、紛るることなく、遣水の蛍ばかりを、昔おぼゆる慰めにて眺めゐたまへるに、例の、遥かに見やらるる谷の軒端より、前駆心ことに追ひて、いと多う灯したる火の、のどかならぬ光を見るとて、尼君たちも端に出でゐたり。<BR>⏎106 
d1175<P>⏎
 176 「誰がおはするにかあらむ。御前などいと多くこそ見ゆれ」<BR>⏎107 
d1177<P>⏎
 178 「昼、あなたに引干し奉れたりつる返り事に、『大将殿おはしまして、御饗応のことにはかにするを、いとよき折なり』と、こそありつれ」<BR>⏎108 
d1179<P>⏎
 180 「大将殿とは、この女二の宮の御夫にやおはしつらむ」<BR>⏎109 
d1181<P>⏎
 182 など言ふも、いとこの世遠く、田舎びにたりや。まことにさにやあらむ。時々、かかる山路分けおはせし時、いとしるかりし随身の声も、うちつけにまじりて聞こゆ。<BR>⏎110 
d1183<P>⏎
 184 月日の過ぎゆくままに、昔のことのかく思ひ忘れぬも、「今は何にすべきことぞ」と心憂ければ、阿弥陀仏に思ひ紛らはして、いとどものも言はでゐたり。横川に通ふ人のみなむ、このわたりには近きたよりなりける。<BR>⏎111 
d1185<P>⏎
text54186 <H4>第二章 浮舟の物語 浮舟、小君との面会を拒み、返事も書かない</H4>112 
text54187 <A NAME="in21">[第一段 薫、浮舟のもとに小君を遣わす]</A><BR>113 
d1188<P>⏎
 189 かの殿は、「この子をやがてやらむ」と思しけれど、人目多くて便なければ、殿に帰りたまひて、またの日、ことさらにぞ出だし立てたまふ。睦ましく思す人の、ことことしからぬ二、三人、送りにて、昔も常に遣はしし随身添へたまへり。人聞かぬ間に呼び寄せたまひて、<BR>⏎114 
d1190<P>⏎
 191 「あこが亡せにし姉の顔は、おぼゆや。今は世に亡き人と思ひ果てにしを、いと確かにこそ、ものしたまふなれ。疎き人には聞かせじと思ふを、行きて尋ねよ。母に、いまだしきに言ふな。なかなか驚き騒がむほどに、知るまじき人も知りなむ。その親の御思ひのいとほしさにこそ、かくも尋ぬれ」<BR>⏎115 
d1192<P>⏎
 193 と、まだきにいと口固めたまふを、幼き心地にも、姉弟は多かれど、この君の容貌をば、似るものなしと思ひしみたりしに、亡せたまひにけりと聞きて、いと悲しと思ひわたるに、かくのたまへば、うれしきにも涙の落つるを、恥づかしと思ひて、<BR>⏎116 
d1194<P>⏎
 195 「を、を」<BR>⏎117 
d1196<P>⏎
 197 と荒らかに聞こえゐたり。<BR>⏎118 
d1198<P>⏎
 199 かしこには、まだつとめて、僧都の御もとより、<BR>⏎119 
d1200<P>⏎
 201 「昨夜、大将殿の御使にて、小君や参うでたまへりし。ことの心承りしに、あぢきなく、かへりて臆しはべりてなむ、と姫君に聞こえたまへ。みづから聞こえさすべきことも多かれど、今日明日過ぐしてさぶらふべし」<BR>⏎120 
d1202<P>⏎
 203 と書きたまへり。「これは何ごとぞ」と尼君驚きて、こなたへもて渡りて見せたてまつりたまへば、面うち赤みて、「ものの聞こえのあるにや」と苦しう、「もの隠ししける」と恨みられむを思ひ続くるに、いらへむ方なくてゐたまへるに、<BR>⏎121 
d1204<P>⏎
 205 「なほ、のたまはせよ。心憂く思し隔つること」<BR>⏎122 
d1206<P>⏎
 207 と、いみじく恨みて、ことの心を知らねば、あわたたしきまで思ひたるほどに、<BR>⏎123 
d1208<P>⏎
 209 「山より、僧都の御消息にて、参りたる人なむある」<BR>⏎124 
d1210<P>⏎
 211 と言ひ入れたり。<BR>⏎125 
d1212<P>⏎
text54213 <A NAME="in22">[第二段 小君、小野山荘の浮舟を訪問]</A><BR>126 
d1214<P>⏎
 215 あやしけれど、「これこそは、さは、確かなる御消息ならめ」とて、<BR>⏎127 
d1216<P>⏎
 217 「こなたに」<BR>⏎128 
d1218<P>⏎
 219 と言はせたれば、いときよげにしなやかなる童の、えならず装束きたるぞ、歩み来たる。円座さし出でたれば、簾のもとについゐて、<BR>⏎129 
d1220<P>⏎
 221 「かやうにては、さぶらふまじくこそは、僧都は、のたまひしか」<BR>⏎130 
d1222<P>⏎
 223 と言へば、尼君ぞ、いらへなどしたまふ。文取り入れて見れば、<BR>⏎131 
d1224<P>⏎
 225 「入道の姫君の御方に、山より」<BR>⏎132 
d1226<P>⏎
 227 とて、名書きたまへり。あらじなど、あらがふべきやうもなし。<BR>⏎133 
d1228<P>⏎
 229 いとはしたなくおぼえて、いよいよ引き入られて、人に顔も見合はせず。<BR>⏎134 
d1230<P>⏎
 231 「常にほこりかならずものしたまふ人柄なれど、いとうたて、心憂し」<BR>⏎135 
d1232<P>⏎
 233 など言ひて、僧都の御文見れば、<BR>⏎136 
d1234<P>⏎
 235 「今朝、ここに大将殿のものしたまひて、御ありさま尋ね問ひたまふに、初めよりありしやう詳しく聞こえはべりぬ。御心ざし深かりける御仲を背きたまひて、あやしき山賤の中に出家したまへること、かへりては、仏の責め添ふべきことなるをなむ、承り驚きはべる。<BR>⏎137 
d1236<P>⏎
 237 いかがはせむ。もとの御契り過ちたまはで、愛執の罪を<A HREF="#k06">はるかし</A><A NAME="t06">き</A>こえたまひて、一日の出家の功徳は、はかりなきものなれば、なほ頼ませたまへとなむ。ことごとには、みづからさぶらひて申しはべらむ。かつがつ、この小君聞こえたまひてむ」<BR>⏎138 
d1238<P>⏎
 239 と書いたり。<BR>⏎139 
d1240<P>⏎
text54241 <A NAME="in23">[第三段 浮舟、小君との面会を拒む]</A><BR>140 
d1242<P>⏎
 243 まがふべくもあらず、書き明らめたまへれど、異人は心も得ず。<BR>⏎141 
d1244<P>⏎
 245 「この君は、誰れにかおはすらむ。なほ、いと心憂し。今さへ、かくあながちに隔てさせたまふ」<BR>⏎142 
d1246<P>⏎
 247 と責められて、すこし外ざまに向きて見たまへば、この子は、今はと世を思ひなりし夕暮れに、いと恋しと思ひし人なりけり。同じ所にて見しほどは、いと性なく、あやにくにおごりて憎かりしかど、母のいとかなしくして、宇治にも時々率ておはせしかば、すこしおよすけしままに、かたみに思へり。<BR>⏎143 
d1248<P>⏎
 249 童心を思ひ出づるにも、夢のやうなり。まづ、母のありさま、いと問はまほしく、「異人びとの上は、おのづからやうやうと聞けど、親のおはすらむやうは、ほのかにもえ聞かずかし」と、なかなかこれを見るに、いと悲しくて、ほろほろと泣かれぬ。<BR>⏎144 
d1250<P>⏎
 251 いとをかしげにて、すこしうちおぼえたまへる心地もすれば、<BR>⏎145 
d1252<P>⏎
 253 「御兄弟にこそおはすめれ。聞こえまほしく思すこともあらむ。内に入れたてまつらむ」<BR>⏎146 
d1254<P>⏎
 255 と言ふを、「何か、今は世にあるものとも思はざらむに、あやしきさまに面変りして、ふと見えむも恥づかし」と思へば、とばかりためらひて、<BR>⏎147 
d1256<P>⏎
 257 「げに、隔てありと、思しなすらむが苦しさに、ものも言はれでなむ。あさましかりけむありさまは、珍かなることと見たまひてけむを、うつし心も失せ、魂などいふらむものも、あらぬさまになりにけるにやあらむ。いかにもいかにも、過ぎにし方のことを、我ながらさらにえ思ひ出でぬに、紀伊守とかありし人の、世の物語すめりし中になむ、見しあたりのことにやと、ほのかに思ひ出でらるることある心地せし。<BR>⏎148 
d1258<P>⏎
 259 その後、とざまかうざまに思ひ続くれど、さらにはかばかしくもおぼえぬに、ただ一人ものしたまひし人の、いかでとおろかならず思ひためりしを、まだや世におはすらむと、そればかりなむ心に離れず、悲しき折々はべるに、今日見れば、この童の顔は、小さくて見し心地するにも、いと忍びがたけれど、今さらに、かかる人にも、ありとは知られでやみなむ、となむ思ひはべる。<BR>⏎149 
d1260<P>⏎
 261 かの人、もし世にものしたまはば、それ一人になむ、対面せまほしく思ひはべる。この僧都の、のたまへる人などには、さらに知られたてまつらじ、とこそ思ひはべりつれ。かまへて、ひがことなりけりと聞こえなして、もて隠したまへ」<BR>⏎150 
d1262<P>⏎
 263 とのたまへば、<BR>⏎151 
d1264<P>⏎
 265 「いと難いことかな。僧都の御心は、聖といふなかにも、あまり隈なくものしたまへば、まさに残いては、聞こえたまひてむや。後に隠れあらじ。なのめに軽々しき御ほどにもおはしまさず」<BR>⏎152 
d1266<P>⏎
 267 など言ひ騷ぎて、<BR>⏎153 
d1268<P>⏎
 269 「世に知らず心強くおはしますこそ」<BR>⏎154 
d1270<P>⏎
 271 と、皆言ひ合はせて、母屋の際に几帳立てて入れたり。<BR>⏎155 
d1272<P>⏎
text54273 <A NAME="in24">[第四段 小君、薫からの手紙を渡す]</A><BR>156 
d1274<P>⏎
 275 この子も、さは聞きつれど、幼ければ、ふと言ひ寄らむもつつましけれど、<BR>⏎157 
d1276<P>⏎
 277 「またはべる御文、いかでたてまつらむ。僧都の御しるべは、確かなるを、かくおぼつかなくはべるこそ」<BR>⏎158 
d1278<P>⏎
 279 と、伏目にて言へば、<BR>⏎159 
d1280<P>⏎
 281 「そそや。あな、うつくし」<BR>⏎160 
d1282<P>⏎
 283 など言ひて、<BR>⏎161 
d1284<P>⏎
 285 「御文御覧ずべき人は、ここにものせさせたまふめり。見証の人なむ、いかなることにかと、心得がたくはべるを、なほのたまはせよ。幼き御ほどなれど、かかる御しるべに頼みきこえたまふやうもあらむ」<BR>⏎162 
d1286<P>⏎
 287 など言へど、<BR>⏎163 
d1288<P>⏎
 289 「思し隔てて、おぼおぼしくもてなさせたまふには、何事をか聞こえはべらむ。疎く思しなりにければ、聞こゆべきこともはべらず。ただ、この御文を、人伝てならで奉れ、とてはべりつる、いかでたてまつらむ」<BR>⏎164 
d1290<P>⏎
 291 と言へば、<BR>⏎165 
d1292<P>⏎
 293 「いとことわりなり。なほ、いとかくうたてなおはせそ。さすがにむくつけき御心にこそ」<BR>⏎166 
d1294<P>⏎
 295 と聞こえ動かして、几帳のもとに押し寄せたてまつりたれば、あれにもあらでゐたまへるけはひ、異人には似ぬ心地すれば、そこもとに寄りて奉りつ。<BR>⏎167 
d1296<P>⏎
 297 「御返り疾く<A HREF="#k07">賜はりて</A><A NAME="t07">、</A>参りなむ」<BR>⏎168 
d1298<P>⏎
 299 と、かく疎々しきを、心憂しと思ひて急ぐ。<BR>⏎169 
d1300<P>⏎
 301 尼君、御文ひき解きて、見せたてまつる。ありしながらの御手にて、紙の香など、例の、世づかぬまでしみたり。ほのかに見て、例の、ものめでのさし過ぎ人、いとありがたくをかしと思ふべし。<BR>⏎170 
d1302<P>⏎
 303 「さらに聞こえむ方なく、さまざまに罪重き御心をば、僧都に思ひ許しきこえて、今はいかで、あさましかりし世の夢語りをだに、と急がるる心の、我ながらもどかしきになむ。まして、人目はいかに」<BR>⏎171 
d1304<P>⏎
 305 と、書きもやりたまはず。<BR>⏎172 
d1306<P>⏎
cd3:1307-309 「法の師と尋ぬる道をしるべにて<BR>⏎
  思はぬ山に踏み惑ふかな<BR>⏎
<P>⏎
173 「法の師と尋ぬる道をしるべにて<BR>  思はぬ山に踏み惑ふかな<BR>⏎
 310 この人は、見や忘れたまひぬらむ。ここには、行方なき御形見に見る物にてなむ」<BR>⏎174 
d1311<P>⏎
 312 など、こまやかなり。<BR>⏎175 
d1313<P>⏎
text54314 <A NAME="in25">[第五段 浮舟、薫への返事を拒む]</A><BR>176 
d1315<P>⏎
 316 かくつぶつぶと書きたまへるさまの、紛らはさむ方なきに、さりとて、その人にもあらぬさまを、思ひの外に見つけられきこえたらむほどの、はしたなさなどを思ひ乱れて、いとど晴れ晴れしからぬ心は、言ひやるべき方もなし。<BR>⏎177 
d1317<P>⏎
 318 さすがにうち泣きて、ひれ臥したまへれば、「いと世づかぬ御ありさまかな」と、見わづらひぬ。<BR>⏎178 
d1319<P>⏎
 320 「いかが聞こえむ」<BR>⏎179 
d1321<P>⏎
 322 など責められて、<BR>⏎180 
d1323<P>⏎
 324 「心地のかき乱るやうにしはべるほど、ためらひて、今聞こえむ。昔のこと思ひ出づれど、さらにおぼゆることなく、あやしう、いかなりける夢にかとのみ、心も得ずなむ。すこし静まりてや、この御文なども、見知らるることもあらむ。今日は、なほ持て参りたまひね。所違へにもあらむに、いとかたはらいたかるべし」<BR>⏎181 
d1325<P>⏎
 326 とて、広げながら、尼君にさしやりたまへれば、<BR>⏎182 
d1327<P>⏎
 328 「いと見苦しき御ことかな。あまりけしからぬは、見たてまつる人も、罪さりどころなかるべし」<BR>⏎183 
d1329<P>⏎
 330 など言ひ騒ぐも、うたて聞きにくくおぼゆれば、顔も引き入れて臥したまへり。<BR>⏎184 
d1331<P>⏎
 332 主人ぞ、この君に物語すこし聞こえて、<BR>⏎185 
d1333<P>⏎
 334 「もののけにやおはすらむ。例のさまに見えたまふ折なく、悩みわたりたまひて、御容貌も異になりたまへるを、尋ねきこえたまふ人あらば、いとわづらはしかるべきこと、と見たてまつり嘆きはべりしも、しるく、かくいとあはれに、心苦しき御ことどもはべりけるを、今なむ、いとかたじけなく思ひはべる。<BR>⏎186 
d1335<P>⏎
 336 日ごろも、うちはへ悩ませたまふめるを、いとどかかることどもに思し乱るるにや、常よりもものおぼえさせたまはぬさまにてなむ」<BR>⏎187 
d1337<P>⏎
 338 と聞こゆ。<BR>⏎188 
d1339<P>⏎
text54340 <A NAME="in26">[第六段 小君、空しく帰り来る]</A><BR>189 
d1341<P>⏎
 342 所につけてをかしき饗応などしたれど、幼き心地は、そこはかとなくあわてたる心地して、<BR>⏎190 
d1343<P>⏎
 344 「わざと奉れさせたまへるしるしに、何事をかは聞こえさせむとすらむ。ただ一言をのたまはせよかし」<BR>⏎191 
d1345<P>⏎
 346 など言へば、<BR>⏎192 
d1347<P>⏎
 348 「げに」<BR>⏎193 
d1349<P>⏎
 350 など言ひて、かくなむ、と移し語れど、ものものたまはねば、かひなくて、<BR>⏎194 
d1351<P>⏎
 352 「ただ、かく、おぼつかなき御ありさまを聞こえさせたまふべきなめり。<A HREF="#no1">雲の遥かに</A><A NAME="te1">隔</A>たらぬほどにもはべるめるを、山風吹くとも、またもかならず立ち寄らせたまひなむかし」<BR>⏎195 
d1353<P>⏎
 354 と言へば、すずろにゐ暮らさむもあやしかるべければ、帰りなむとす。人知れずゆかしき御ありさまをも、え見ずなりぬるを、おぼつかなく口惜しくて、心ゆかずながら参りぬ。<BR>⏎196 
d1355<P>⏎
 356 いつしかと待ちおはするに、かくたどたどしくて帰り来たれば、すさまじく、「なかなかなり」と、思すことさまざまにて、「人の隠し据ゑたるにやあらむ」と、わが御心の思ひ寄らぬ隈なく、落とし置きたまへりしならひに、とぞ本にはべめる。<BR>⏎197 
d2357-358
<P>⏎
text54359 <a name="in31">【出典】<BR>198 
cd2:1360-361</a><A NAME="no1">出典1</A> 逢ふことは雲居遥かに鳴る神の音に聞きつつ恋ひわたるかな(古今集恋一-四八二 紀貫之)<A HREF="#te1">(戻)</A><BR>⏎

199<A NAME="no1">出典1</A> 逢ふことは雲居遥かに鳴る神の音に聞きつつ恋ひわたるかな(古今集恋一-四八二 紀貫之)<A HREF="#te1">(戻)</A><BR>⏎
text54362<p> <a name="in32">【校訂】<BR>200 
 363備考--(/) ミセケチ--$ 抹消--# 補入--+ 傍書--= ナゾリ--& 独自異文等--* 朱筆--<朱> 不明--△<BR>⏎201 
c1364</a><A NAME="k01">校訂1</A> 加へたまひ--くはへ(へ/+給<朱>)<A HREF="#t01">(戻)</A><BR>⏎
202<A NAME="k01">校訂1</A> 加へたまひ--くはへ(へ/+給<朱>)<A HREF="#t01">(戻)</A><BR>⏎
 365<A NAME="k02">校訂2</A> 承り--うけ給ひ(ひ/$はり)し<A HREF="#t02">(戻)</A><BR>⏎203 
 366<A NAME="k03">校訂3</A> 思ひたまへはべる--*おもひ給へる<A HREF="#t03">(戻)</A><BR>⏎204 
 367<A NAME="k04">校訂4</A> ことども--こと(と/+と<朱>)も<A HREF="#t04">(戻)</A><BR>⏎205 
 368<A NAME="k05">校訂5</A> ほの聞きて--ほのきゝ給(給/$<朱>)て<A HREF="#t05">(戻)</A><BR>⏎206 
 369<A NAME="k06">校訂6</A> はるかし--はるか(か/+し<朱>)<A HREF="#t06">(戻)</A><BR>⏎207 
 370<A NAME="k07">校訂7</A> 賜はりて--*給て<A HREF="#t07">(戻)</A><BR>⏎208 
d1371</p>⏎
 372<p><a href="index.html">源氏物語の世界ヘ</a><BR>⏎209 
 373<a href="roman54.html">ローマ字版 </a><BR>⏎210 
 374<a href="version54.html">現代語訳 </a><BR>⏎211 
 375<a href="note54.html">注釈</a><BR>⏎212 
 376<a href="data54.html">大島本</a><BR>⏎213 
 377<a href="okuiri54.html">自筆本奥入</a><BR>⏎214 
d1378</p>⏎
 379<hr size="4">⏎215 
 380</body>⏎216 
 381</HTML>⏎217 
i0219