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<TITLE>紅梅(大島本)</TITLE> <TITLE>紅梅(大島本)</TITLE>
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<ADDRESS>Last updated 2/17/2002<BR> <ADDRESS>Last updated 2/17/2002<BR>
渋谷栄一注釈(ver.1-1-2)</ADDRESS> 渋谷栄一注釈(ver.1-1-2)</ADDRESS>
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  <H3>紅梅</H3>   <H3>紅梅</H3>
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 [底本]<BR>  [底本]<BR>
財団法人古代学協会・古代学研究所編 角田文衛・室伏信助監修『大島本 源氏物語』第八巻 一九九六年 角川書店<BR> 財団法人古代学協会・古代学研究所編 角田文衛・室伏信助監修『大島本 源氏物語』第八巻 一九九六年 角川書店<BR>
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 [参考文献]<BR>  [参考文献]<BR>
池田亀鑑編著『源氏物語大成』第三巻「校異篇」一九五六年 中央公論社<BR> 池田亀鑑編著『源氏物語大成』第三巻「校異篇」一九五六年 中央公論社<BR>
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阿部秋生・秋山 虔・今井源衛・鈴木日出男校注・訳『古典セレクション 源氏物語』第十二巻 一九九八年 小学館<BR> 阿部秋生・秋山 虔・今井源衛・鈴木日出男校注・訳『古典セレクション 源氏物語』第十二巻 一九九八年 小学館<BR>
柳井 滋・室伏信助・大朝雄二・鈴木日出男・藤井貞和・今西祐一郎校注『新日本古典文学大系 源氏物語』第四巻 一九九六年 岩波書店<BR> 柳井 滋・室伏信助・大朝雄二・鈴木日出男・藤井貞和・今西祐一郎校注『新日本古典文学大系 源氏物語』第四巻 一九九六年 岩波書店<BR>
阿部秋生・秋山 虔・今井源衛・鈴木日出男校注・訳『完訳日本の古典 源氏物語』第八巻 一九八七年 小学館<BR> 阿部秋生・秋山 虔・今井源衛・鈴木日出男校注・訳『完訳日本の古典 源氏物語』第八巻 一九八七年 小学館<BR>
石田穣二・清水好子校注『新潮日本古典集成 源氏物語』第六巻 一九八二年 新潮社<BR> 石田穣二・清水好子校注『新潮日本古典集成 源氏物語』第六巻 一九八二年 新潮社<BR>
阿部秋生・秋山 虔・今井源衛校注・訳『日本古典文学全集 源氏物語』第五巻 一九七五年 小学館<BR> 阿部秋生・秋山 虔・今井源衛校注・訳『日本古典文学全集 源氏物語』第五巻 一九七五年 小学館<BR>
玉上琢弥著『源氏物語評釈』第九巻 一九六七年 角川書店<BR> 玉上琢弥著『源氏物語評釈』第九巻 一九六七年 角川書店<BR>
山岸徳平校注『日本古典文学大系 源氏物語』第四巻 一九六二年 岩波書店<BR> 山岸徳平校注『日本古典文学大系 源氏物語』第四巻 一九六二年 岩波書店<BR>
池田亀鑑校注『日本古典全書 源氏物語』第五巻 一九五四年 朝日新聞社<BR> 池田亀鑑校注『日本古典全書 源氏物語』第五巻 一九五四年 朝日新聞社<BR>
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伊井春樹編『源氏物語引歌索引』一九七七年 笠間書院<BR> 伊井春樹編『源氏物語引歌索引』一九七七年 笠間書院<BR>
榎本正純篇著『源氏物語の草子地 諸注と研究』一九八二年 笠間書院<BR> 榎本正純篇著『源氏物語の草子地 諸注と研究』一九八二年 笠間書院<BR>
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第一章 紅梅大納言家の物語 娘たちの結婚を思案<BR> 第一章 紅梅大納言家の物語 娘たちの結婚を思案<BR>
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<LI>按察使大納言家の家族---<A HREF="#in11">そのころ、按察使大納言と聞こゆるは</A> <LI>按察使大納言家の家族---<A HREF="#in11">そのころ、按察使大納言と聞こゆるは</A>
<LI>按察使大納言家の三姫君---<A HREF="#in12">君たち、同じほどに、すぎすぎおとなびたまひぬれば</A> <LI>按察使大納言家の三姫君---<A HREF="#in12">君たち、同じほどに、すぎすぎおとなびたまひぬれば</A>
<LI>宮の御方の魅力---<A HREF="#in13">殿は、つれづれなる心地して、西の御方は</A> <LI>宮の御方の魅力---<A HREF="#in13">殿は、つれづれなる心地して、西の御方は</A>
<LI>按察使大納言の音楽談義---<A HREF="#in14">「月ごろ、何となくもの騒がしきほどに、御琴の音を</A> <LI>按察使大納言の音楽談義---<A HREF="#in14">「月ごろ、何となくもの騒がしきほどに、御琴の音を</A>
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第二章 匂兵部卿の物語 宮の御方に執心<BR> 第二章 匂兵部卿の物語 宮の御方に執心<BR>
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<LI>按察使大納言、匂宮に和歌を贈る---<A HREF="#in21">若君、内裏へ参らむと、宿直姿にて参りたまへる</A> <LI>按察使大納言、匂宮に和歌を贈る---<A HREF="#in21">若君、内裏へ参らむと、宿直姿にて参りたまへる</A>
<LI>匂宮、若君と語る---<A HREF="#in22">中宮の上の御局より、御宿直所に出でたまふほどなり</A> <LI>匂宮、若君と語る---<A HREF="#in22">中宮の上の御局より、御宿直所に出でたまふほどなり</A>
<LI>匂宮、宮の御方を思う---<A HREF="#in23">「今宵は宿直なめり。やがてこなたにを</A> <LI>匂宮、宮の御方を思う---<A HREF="#in23">「今宵は宿直なめり。やがてこなたにを</A>
<LI>按察使大納言と匂宮、和歌を贈答---<A HREF="#in24">これは、昨日の御返りなれば見せたてまつる</A> <LI>按察使大納言と匂宮、和歌を贈答---<A HREF="#in24">これは、昨日の御返りなれば見せたてまつる</A>
<LI>匂宮、宮の御方に執心---<A HREF="#in25">宮の御方は、もの思し知るほどにねびまさりたまへば</A> <LI>匂宮、宮の御方に執心---<A HREF="#in25">宮の御方は、もの思し知るほどにねびまさりたまへば</A>
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 <H4>第一章 紅梅大納言家の物語 娘たちの結婚を思案</H4>  <H4>第一章 紅梅大納言家の物語 娘たちの結婚を思案</H4>
 <A NAME="in11">[第一段 按察使大納言家の家族]</A><BR>  <A NAME="in11">[第一段 按察使大納言家の家族]</A><BR>
【そのころ】-『集成』は「漠然と時を指定する書き方。物語の冒頭の形式「今は昔」「昔」などに准ずるもので、後の橋姫、宿木、手習に同じ書き出しが見られる」。『完訳』は「語り出しの常套句。後文から、前巻より三、四年後と分る」。『新大系』は「匂宮巻と同じころで、夕霧右大臣の時代。「その比」で始まる巻として、他に橋姫・宿木・手習巻があり、続篇物語の際立った特徴。前帖に対して全く新しい人間関係の提示の際の常套句」と注す。<BR> 【そのころ】-『集成』は「漠然と時を指定する書き方。物語の冒頭の形式「今は昔」「昔」などに准ずるもので、後の橋姫、宿木、手習に同じ書き出しが見られる」。『完訳』は「語り出しの常套句。後文から、前巻より三、四年後と分る」。『新大系』は「匂宮巻と同じころで、夕霧右大臣の時代。「その比」で始まる巻として、他に橋姫・宿木・手習巻があり、続篇物語の際立った特徴。前帖に対して全く新しい人間関係の提示の際の常套句」と注す。<BR>
【さしつぎよ】-「よ」間投助詞。語り手の口吻。<BR> 【さしつぎよ】-「よ」間投助詞。語り手の口吻。<BR>
【童より】-「賢木」巻に初登場、以後、「行幸」「夕霧」巻にも登場。<BR> 【童より】-「賢木」巻に初登場、以後、「行幸」「夕霧」巻にも登場。<BR>
【御おぼえ】-帝の御信望。<BR> 【御おぼえ】-帝の御信望。<BR>
【もとよりのは】-系図不詳の人。<BR> 【もとよりのは】-系図不詳の人。<BR>
【後の太政大臣】-鬚黒。彼の太政大臣への昇進と死去の年月は不明。<BR> 【後の太政大臣】-鬚黒。彼の太政大臣への昇進と死去の年月は不明。<BR>
【式部卿宮にて】-祖父の式部卿宮が引き取って、宮家の姫君として、の意。<BR> 【式部卿宮にて】-祖父の式部卿宮が引き取って、宮家の姫君として、の意。<BR>
【故兵部卿親王に】-蛍兵部卿宮に。<BR> 【故兵部卿親王に】-蛍兵部卿宮に。<BR>
【女二人のみぞ】-大君(麗景殿女御)と中の君。<BR> 【女二人のみぞ】-大君(麗景殿女御)と中の君。<BR>
【男君一人】-大夫の君と呼称される。<BR> 【男君一人】-大夫の君と呼称される。<BR>
【故宮の】-故蛍兵部卿宮と真木柱姫君との間に。<BR> 【故宮の】-故蛍兵部卿宮と真木柱姫君との間に。<BR>
【女君一所】-宮の御方と呼称される。<BR> 【女君一所】-宮の御方と呼称される。<BR>
【うるはしうもあらぬ心ばへ】-『集成』は「きれい事では割り切れぬ思い」。『完訳』は「公正に物事を処理できぬ身びいき。嫉妬し不信を抱き合う」と注す。<BR> 【うるはしうもあらぬ心ばへ】-『集成』は「きれい事では割り切れぬ思い」。『完訳』は「公正に物事を処理できぬ身びいき。嫉妬し不信を抱き合う」と注す。<BR>
【わが御方ざまに苦しかるべきことをも】-連れ子の宮の御方に関する事。<BR> 【わが御方ざまに苦しかるべきことをも】-連れ子の宮の御方に関する事。<BR>
<P> <P>
 <A NAME="in12">[第二段 按察使大納言家の三姫君]</A><BR>  <A NAME="in12">[第二段 按察使大納言家の三姫君]</A><BR>
【父宮のおはせぬ心苦しきやうなれど】-宮の御方には父螢兵部卿宮がいない気の毒さ<BR> 【父宮のおはせぬ心苦しきやうなれど】-宮の御方には父螢兵部卿宮がいない気の毒さ<BR>
【こなたかなたの御宝物】-父蛍宮や母方の曾祖父式部卿宮から贈られた宝物。<BR> 【こなたかなたの御宝物】-父蛍宮や母方の曾祖父式部卿宮から贈られた宝物。<BR>
【内裏春宮より】-今上帝(朱雀院の皇子)と東宮(今上の第一皇子、母明石の中宮)。以下「何の本意かはあらむ」まで、紅梅大納言の心中。<BR> 【内裏春宮より】-今上帝(朱雀院の皇子)と東宮(今上の第一皇子、母明石の中宮)。以下「何の本意かはあらむ」まで、紅梅大納言の心中。<BR>
【兵部卿の宮のさも思しよらば】-紅梅大納言の心中。<BR> 【兵部卿の宮のさも思しよらば】-紅梅大納言の心中。<BR>
【この若君を】-紅梅大納言と真木柱の子、大夫の君。大君や中君とは異腹の兄弟。<BR> 【この若君を】-紅梅大納言と真木柱の子、大夫の君。大君や中君とは異腹の兄弟。<BR>
【内裏にてなど見つけたまふ時は】-主語は匂宮。<BR> 【内裏にてなど見つけたまふ時は】-主語は匂宮。<BR>
【せうとを見て】-以下「大納言に申せよ」まで、匂宮の詞。姉にも逢いたい、の意。大夫の君には異腹の姉の大君(東宮の麗景殿女御)、中君と同父の姉の宮の御方とがいる。匂宮は連れ子の宮の御方に関心がある。<BR> 【せうとを見て】-以下「大納言に申せよ」まで、匂宮の詞。姉にも逢いたい、の意。大夫の君には異腹の姉の大君(東宮の麗景殿女御)、中君と同父の姉の宮の御方とがいる。匂宮は連れ子の宮の御方に関心がある。<BR>
【いとかひあり】-紅梅大納言の心中。匂宮が中君に関心を寄せているものと思い喜ぶ。しかし、匂宮は宮の御方に関心がある。<BR> 【いとかひあり】-紅梅大納言の心中。匂宮が中君に関心を寄せているものと思い喜ぶ。しかし、匂宮は宮の御方に関心がある。<BR>
【人に劣らむ宮仕ひよりは】-以下「宮の御さまなり」まで、紅梅大納言の詞。<BR> 【人に劣らむ宮仕ひよりは】-以下「宮の御さまなり」まで、紅梅大納言の詞。<BR>
【春宮の御ことをいそぎたまひて】-大君の東宮への入内。<BR> 【春宮の御ことをいそぎたまひて】-大君の東宮への入内。<BR>
【春日の神の御ことわりも】-以下「慰めのこともあらなむ」まで、紅梅大納言の心中。藤原氏から皇后が立后するという神託。<BR> 【春日の神の御ことわりも】-以下「慰めのこともあらなむ」まで、紅梅大納言の心中。藤原氏から皇后が立后するという神託。<BR>
【故大臣の院の女御】-紅梅大納言の父、故太政大臣の娘の冷泉帝の弘徽殿女御は、源氏の養女の秋好中宮に立后された悔しい思いがある。<BR> 【故大臣の院の女御】-紅梅大納言の父、故太政大臣の娘の冷泉帝の弘徽殿女御は、源氏の養女の秋好中宮に立后された悔しい思いがある。<BR>
【北の方添ひて】-紅梅大納言の北の方、真木柱。継母が後見。<BR> 【北の方添ひて】-紅梅大納言の北の方、真木柱。継母が後見。<BR>
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 <A NAME="in13">[第三段 宮の御方の魅力]</A><BR>  <A NAME="in13">[第三段 宮の御方の魅力]</A><BR>
【西の御方は】-中君。<BR> 【西の御方は】-中君。<BR>
【一つに慣らひたまひて】-姉の大君と一緒にいることに慣れていた。<BR> 【一つに慣らひたまひて】-姉の大君と一緒にいることに慣れていた。<BR>
【東の姫君も】-宮の御方。継母の真木柱と先夫蛍兵部卿宮との間の娘、連れ子。<BR> 【東の姫君も】-宮の御方。継母の真木柱と先夫蛍兵部卿宮との間の娘、連れ子。<BR>
【こなたを師のやうに】-宮の御方を師匠のようにして。<BR> 【こなたを師のやうに】-宮の御方を師匠のようにして。<BR>
【誰れも】-大君や中君をさす。<BR> 【誰れも】-大君や中君をさす。<BR>
【もの恥ぢを世の常ならずしたまひて】-主語は宮の御方。以下、宮の御方の性格描写が続く。<BR> 【もの恥ぢを世の常ならずしたまひて】-主語は宮の御方。以下、宮の御方の性格描写が続く。<BR>
【わが方ざまをのみ思ひ急ぐやうなるも心苦しなど思して】-主語は紅梅大納言。<BR> 【わが方ざまをのみ思ひ急ぐやうなるも心苦しなど思して】-主語は紅梅大納言。<BR>
【さるべからむさまに】-以下「仕うまつらめ」まで、紅梅大納言の詞。<BR> 【さるべからむさまに】-以下「仕うまつらめ」まで、紅梅大納言の詞。<BR>
【さらにさやうの】-以下「過ぐしたまはなむ」まで、母北の方真木柱の詞。<BR> 【さらにさやうの】-以下「過ぐしたまはなむ」まで、母北の方真木柱の詞。<BR>
【世にあらむ限りは】-自分が生きているうちは。<BR> 【世にあらむ限りは】-自分が生きているうちは。<BR>
【世を背く方にても】-宮の御方が。『集成』は「出家して尼になるなりして、それなりに、人の物笑いになるような、軽はずみな失態を犯すことなくお過しになってほしいものです。つまらぬ男と浮き名の立つようなことはあってほしくない、と言う。父兵部卿の宮がいないというひけ目が、母にも適当な縁組を断念させているのであろう」と注す。<BR> 【世を背く方にても】-宮の御方が。『集成』は「出家して尼になるなりして、それなりに、人の物笑いになるような、軽はずみな失態を犯すことなくお過しになってほしいものです。つまらぬ男と浮き名の立つようなことはあってほしくない、と言う。父兵部卿の宮がいないというひけ目が、母にも適当な縁組を断念させているのであろう」と注す。<BR>
【御心ばせの思ふやうなることをぞ】-宮の御方のすぐれた性質をいう。<BR> 【御心ばせの思ふやうなることをぞ】-宮の御方のすぐれた性質をいう。<BR>
【いづれも分かず親がりたまへど】-紅梅大納言は実子も連れ子も同じように扱う。<BR> 【いづれも分かず親がりたまへど】-紅梅大納言は実子も連れ子も同じように扱う。<BR>
【上おはせぬほどは】-以下「心憂くこそ」まで、紅梅大納言の詞。母上は大君と共に宮中にいる。<BR> 【上おはせぬほどは】-以下「心憂くこそ」まで、紅梅大納言の詞。母上は大君と共に宮中にいる。<BR>
【この君にえしも】-以下「ありぬべかめり」まで、紅梅大納言の心中。<BR> 【この君にえしも】-以下「ありぬべかめり」まで、紅梅大納言の心中。<BR>
【世の中広きうちは】-『集成』は「この広い世間の内は、気を許せないものなのだ。どんな強敵がいるか分らない、意」。『完訳』は「世間付き合いの多い宮中では。後宮には予測しがたい、すぐれた妃の出現しがちなことを危ぶむ」と注す。<BR> 【世の中広きうちは】-『集成』は「この広い世間の内は、気を許せないものなのだ。どんな強敵がいるか分らない、意」。『完訳』は「世間付き合いの多い宮中では。後宮には予測しがたい、すぐれた妃の出現しがちなことを危ぶむ」と注す。<BR>
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 <A NAME="in14">[第四段 按察使大納言の音楽談義]</A><BR>  <A NAME="in14">[第四段 按察使大納言の音楽談義]</A><BR>
【月ごろ何となく】-以下「御琴参れ」まで、紅梅大納言の詞。<BR> 【月ごろ何となく】-以下「御琴参れ」まで、紅梅大納言の詞。<BR>
【琵琶を心に入れてはべる】-中君は宮の御方から琵琶を習っている。『源氏物語』では琵琶は皇族の血を引く人がよく弾く楽器として登場。源典侍、明石御方、蛍兵部卿宮、宇治大君など。<BR> 【琵琶を心に入れてはべる】-中君は宮の御方から琵琶を習っている。『源氏物語』では琵琶は皇族の血を引く人がよく弾く楽器として登場。源典侍、明石御方、蛍兵部卿宮、宇治大君など。<BR>
【うちとけても遊ばさねど】-主語は、あなた宮の御方。敬語表現。<BR> 【うちとけても遊ばさねど】-主語は、あなた宮の御方。敬語表現。<BR>
【昔おぼえはべる】-『集成』は「昔の世の音色そのままと思われます。昔の名手にも劣らないと、ほめる。尚古思想である」。『完訳』は「往年の琵琶の第一人者は宮の御方の実父蛍宮。ここはそれを回顧しない」と注す。<BR> 【昔おぼえはべる】-『集成』は「昔の世の音色そのままと思われます。昔の名手にも劣らないと、ほめる。尚古思想である」。『完訳』は「往年の琵琶の第一人者は宮の御方の実父蛍宮。ここはそれを回顧しない」と注す。<BR>
【この御琴の音こそ】-あなたの琴の音色は。琴は総称、琵琶をさす。<BR> 【この御琴の音こそ】-あなたの琴の音色は。琴は総称、琵琶をさす。<BR>
【隠れたてまつるも】-紅梅大納言に対しての敬意。<BR> 【隠れたてまつるも】-紅梅大納言に対しての敬意。<BR>
【さぶらふ人さへかくもてなすがやすからぬ】-紅梅大納言の詞。『完訳』は「宮の御方への当てつけがましい言葉」と注す。<BR> 【さぶらふ人さへかくもてなすがやすからぬ】-紅梅大納言の詞。『完訳』は「宮の御方への当てつけがましい言葉」と注す。<BR>
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 <H4>第二章 匂兵部卿の物語 宮の御方に執心</H4>  <H4>第二章 匂兵部卿の物語 宮の御方に執心</H4>
 <A NAME="in21">[第一段 按察使大納言、匂宮に和歌を贈る]</A><BR>  <A NAME="in21">[第一段 按察使大納言、匂宮に和歌を贈る]</A><BR>
【若君】-紅梅大納言と真木柱の子、宮の御方の異父弟。<BR> 【若君】-紅梅大納言と真木柱の子、宮の御方の異父弟。<BR>
【麗景殿に】-紅梅大納言の大君。<BR> 【麗景殿に】-紅梅大納言の大君。<BR>
【譲りきこえて】-以下「聞こえよ」まで、紅梅大納言の詞。若君への伝言。「譲りきこえ」の相手は、大君に付き添っている北の方。<BR> 【譲りきこえて】-以下「聞こえよ」まで、紅梅大納言の詞。若君への伝言。「譲りきこえ」の相手は、大君に付き添っている北の方。<BR>
【笛すこし】-以下「若き笛を」まで、紅梅大納言の詞。<BR> 【笛すこし】-以下「若き笛を」まで、紅梅大納言の詞。<BR>
【かたはらいたしや】-『完訳』は「卑下しながらも自慢する」と注す。<BR> 【かたはらいたしや】-『完訳』は「卑下しながらも自慢する」と注す。<BR>
【若き笛を】-「を」間投助詞、詠嘆の気持ち。<BR> 【若き笛を】-「を」間投助詞、詠嘆の気持ち。<BR>
【双調吹かせたまふ】-「せ」使役の助動詞。紅梅大納言が若君に。<BR> 【双調吹かせたまふ】-「せ」使役の助動詞。紅梅大納言が若君に。<BR>
【けしうはあらずなりゆくは】-以下「掻き合はせさせたまへ」まで、紅梅大納言の詞、後半は宮の御方への詞。<BR> 【けしうはあらずなりゆくは】-以下「掻き合はせさせたまへ」まで、紅梅大納言の詞、後半は宮の御方への詞。<BR>
【このわたりにて】-宮の御方をさす。<BR> 【このわたりにて】-宮の御方をさす。<BR>
【皮笛ふつつかに馴れたる声して】-主語は紅梅大納言。口笛を吹く。<BR> 【皮笛ふつつかに馴れたる声して】-主語は紅梅大納言。口笛を吹く。<BR>
【御前の花】-以下「知る人ぞ知る」まで、大納言の若君(大夫の君)への詞。<BR> 【御前の花】-以下「知る人ぞ知る」まで、大納言の若君(大夫の君)への詞。<BR>
【知る人ぞ知る】-『源氏釈』は「君ならで誰にか見せむ梅の花色をも香をも知る人ぞ知る」(古今集春上、三八、紀友則)を指摘。<BR> 【知る人ぞ知る】-『源氏釈』は「君ならで誰にか見せむ梅の花色をも香をも知る人ぞ知る」(古今集春上、三八、紀友則)を指摘。<BR>
【あはれ光る源氏】-以下「とこそおぼえはべれ」まで、大納言の詞。<BR> 【あはれ光る源氏】-以下「とこそおぼえはべれ」まで、大納言の詞。<BR>
【この宮たちを】-匂宮や薫。<BR> 【この宮たちを】-匂宮や薫。<BR>
【なほたぐひあらじ】-源氏をさす。<BR> 【なほたぐひあらじ】-源氏をさす。<BR>
【ついでのしのびがたきにや】-語り手の推測。<BR> 【ついでのしのびがたきにや】-語り手の推測。<BR>
【いかがはせむ】-以下「聞こえをかさむかし」まで、大納言の詞。<BR> 【いかがはせむ】-以下「聞こえをかさむかし」まで、大納言の詞。<BR>
【心ありて風の匂はす園の梅にまづ鴬の訪はずやあるべき】-大納言の詠歌。『完訳』は「「梅」は大納言の中の君、「鴬」は匂宮。二人の縁組を望む歌」と注す。『河海抄』は「あらたまの年行きかへり春立たばまづ我が家戸に鴬は鳴け」(万葉集二十、大伴家持)を指摘。『休聞抄』は「花の香を風の便りにたぐへてぞ鴬誘ふしるべにやせむ」(古今集春上、一三、紀友則)を指摘。<BR> 【心ありて風の匂はす園の梅にまづ鴬の訪はずやあるべき】-大納言の詠歌。『完訳』は「「梅」は大納言の中の君、「鴬」は匂宮。二人の縁組を望む歌」と注す。『河海抄』は「あらたまの年行きかへり春立たばまづ我が家戸に鴬は鳴け」(万葉集二十、大伴家持)を指摘。『休聞抄』は「花の香を風の便りにたぐへてぞ鴬誘ふしるべにやせむ」(古今集春上、一三、紀友則)を指摘。<BR>
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 <A NAME="in22">[第二段 匂宮、若君と語る]</A><BR>  <A NAME="in22">[第二段 匂宮、若君と語る]</A><BR>
【殿上人あまた御送りに参る中に】-殿上人が匂宮を送る。<BR> 【殿上人あまた御送りに参る中に】-殿上人が匂宮を送る。<BR>
【見つけたまひて】-匂宮が若君を。<BR> 【見つけたまひて】-匂宮が若君を。<BR>
【昨日はなど】-以下「参りつるぞ」まで、匂宮の詞。<BR> 【昨日はなど】-以下「参りつるぞ」まで、匂宮の詞。<BR>
【疾くまかではべりにし】-以下「参りつるや」まで、若君の詞。<BR> 【疾くまかではべりにし】-以下「参りつるや」まで、若君の詞。<BR>
【内裏ならで】-以下「集まる所ぞ」まで、匂宮の詞。<BR> 【内裏ならで】-以下「集まる所ぞ」まで、匂宮の詞。<BR>
【心やすき所にも】-匂宮の私邸の二条院。<BR> 【心やすき所にも】-匂宮の私邸の二条院。<BR>
【春宮には】-以下「人悪ろかめり」まで、匂宮の詞。<BR> 【春宮には】-以下「人悪ろかめり」まで、匂宮の詞。<BR>
【まつはさせたまへりしこそ】-以下「御前にはしも」まで、若君の詞。<BR> 【まつはさせたまへりしこそ】-以下「御前にはしも」まで、若君の詞。<BR>
給へりし(一四五四⑪)-給し大御横陽池肖柏本と三条西【我をば人げなしと】-以下「語らひきこえよ」まで、匂宮の詞。主語は大君。<BR> 給へりし(一四五四⑪)-給し大御横陽池肖柏本と三条西【我をば人げなしと】-以下「語らひきこえよ」まで、匂宮の詞。主語は大君。<BR>
【思ひ離れたるとな】-「とな」は、「と」格助詞、引用の意と「な」終助詞、詠嘆の意。<BR> 【思ひ離れたるとな】-「とな」は、「と」格助詞、引用の意と「な」終助詞、詠嘆の意。<BR>
【古めかしき同じ筋にて東ときこゆなるは】-『集成』は「世間にもてはやされぬ同じ宮家で、「東」とか、申し上げる方は」。『完訳』は「わたしと同じ古めかしい皇族筋の、東の君と申し上げるというお方が」と訳す。<BR> 【古めかしき同じ筋にて東ときこゆなるは】-『集成』は「世間にもてはやされぬ同じ宮家で、「東」とか、申し上げる方は」。『完訳』は「わたしと同じ古めかしい皇族筋の、東の君と申し上げるというお方が」と訳す。<BR>
【この花を】-紅梅。<BR> 【この花を】-紅梅。<BR>
【怨みて後ならましかば】-匂宮の心。『異本紫明抄』は「恨みての後さへ人のつらからばいかにいひてかねをもなかまし」(拾遺集恋五、九八五、読人しらず)を引歌として指摘。<BR> 【怨みて後ならましかば】-匂宮の心。『異本紫明抄』は「恨みての後さへ人のつらからばいかにいひてかねをもなかまし」(拾遺集恋五、九八五、読人しらず)を引歌として指摘。<BR>
【園に匂へる紅の】-以下「咲きけるかな」まで、匂宮の詞。『異本紫明抄』は「紅に色をばかへて梅の花香にぞことごと匂はざりける」(後撰集春上、四四、躬恒)。『源注拾遺』は「梅の花香はことごとに匂はねど薄く濃くこそ色は咲きけれ」(後拾遺集春上、五四、清原元輔)を引歌として指摘する。<BR> 【園に匂へる紅の】-以下「咲きけるかな」まで、匂宮の詞。『異本紫明抄』は「紅に色をばかへて梅の花香にぞことごと匂はざりける」(後撰集春上、四四、躬恒)。『源注拾遺』は「梅の花香はことごとに匂はねど薄く濃くこそ色は咲きけれ」(後拾遺集春上、五四、清原元輔)を引歌として指摘する。<BR>
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 <A NAME="in23">[第三段 匂宮、宮の御方を思う]</A><BR>  <A NAME="in23">[第三段 匂宮、宮の御方を思う]</A><BR>
【今宵は宿直なめりやがてこなたにを】-匂宮の詞。若君の装束を見ていう。<BR> 【今宵は宿直なめりやがてこなたにを】-匂宮の詞。若君の装束を見ていう。<BR>
【この花の主人はなど春宮には移ろひたまはざりし】-匂宮の詞。『集成』は「大納言は、中の君を(私でなく)どうして東宮にさし上げる気におなりでなかったのだろう。「花」は紅梅(中の君)、その「主人(あるじ)」は、大納言と見るべきであろう」。『完訳』は「宮の御方はなぜ東宮に参らないのか」と注す。『河海抄』は「春来てぞ人もとひける山里は花こそやどの主人なりけれ」(拾遺集雑春、一〇一五、右衛門督公任)。『孟津抄』は「東風吹かば匂ひおこせよ梅の花主人なしとて春を忘るな」(拾遺集雑春、一〇〇六、菅原道真)「菊の露わかゆばかりに袖濡れて花の主人に千代は譲らむ」(紫式部集)を引歌として指摘。「花」「移ろふ」は縁語。<BR> 【この花の主人はなど春宮には移ろひたまはざりし】-匂宮の詞。『集成』は「大納言は、中の君を(私でなく)どうして東宮にさし上げる気におなりでなかったのだろう。「花」は紅梅(中の君)、その「主人(あるじ)」は、大納言と見るべきであろう」。『完訳』は「宮の御方はなぜ東宮に参らないのか」と注す。『河海抄』は「春来てぞ人もとひける山里は花こそやどの主人なりけれ」(拾遺集雑春、一〇一五、右衛門督公任)。『孟津抄』は「東風吹かば匂ひおこせよ梅の花主人なしとて春を忘るな」(拾遺集雑春、一〇〇六、菅原道真)「菊の露わかゆばかりに袖濡れて花の主人に千代は譲らむ」(紫式部集)を引歌として指摘。「花」「移ろふ」は縁語。<BR>
【知らず心知らむ人になどこそ聞きはべりしか】-若君の返事。『源氏釈』は「あたら夜の月と花とを同じくは心知れらむ人に見せばや」(後撰集春下、一〇三、源信明)。『花鳥余情』は「色も香もまづ我が宿の梅をこそ心知れらむ人は見に来め」(信明集)を引歌として指摘する。<BR> 【知らず心知らむ人になどこそ聞きはべりしか】-若君の返事。『源氏釈』は「あたら夜の月と花とを同じくは心知れらむ人に見せばや」(後撰集春下、一〇三、源信明)。『花鳥余情』は「色も香もまづ我が宿の梅をこそ心知れらむ人は見に来め」(信明集)を引歌として指摘する。<BR>
【わが方ざまに】-実の娘本意に、の意。<BR> 【わが方ざまに】-実の娘本意に、の意。<BR>
【花の香に誘はれぬべき身なりせば風のたよりを過ぐさましやは】-匂宮の大納言の贈歌への返歌。『集成』は「一応卑下して見せた体。贈歌と同じ『古今集』の歌(花の香を風のたよりにたぐへてぞ鴬さそふしるべにはやる)による」。『完訳』は「不似合いな自分だからとして断った歌」と注す。<BR> 【花の香に誘はれぬべき身なりせば風のたよりを過ぐさましやは】-匂宮の大納言の贈歌への返歌。『集成』は「一応卑下して見せた体。贈歌と同じ『古今集』の歌(花の香を風のたよりにたぐへてぞ鴬さそふしるべにはやる)による」。『完訳』は「不似合いな自分だからとして断った歌」と注す。<BR>
【なほ今は翁どもに】-以下「忍びやかに」まで、匂宮の詞。こっそりと宮の御方にわたりをつけてほしい、意。<BR> 【なほ今は翁どもに】-以下「忍びやかに」まで、匂宮の詞。こっそりと宮の御方にわたりをつけてほしい、意。<BR>
【東のをば】-宮の御方をさす。<BR> 【東のをば】-宮の御方をさす。<BR>
【なかなか異方の姫君は】-異腹の大君、中君をさす。<BR> 【なかなか異方の姫君は】-異腹の大君、中君をさす。<BR>
【いと重りかにあらまほしう】-宮の御方の性質をさす。<BR> 【いと重りかにあらまほしう】-宮の御方の性質をさす。<BR>
【かひあるさまにて見たてまつらばや】-若君の心。宮の御方と匂宮の結婚を望む。<BR> 【かひあるさまにて見たてまつらばや】-若君の心。宮の御方と匂宮の結婚を望む。<BR>
【東宮の御方】-紅梅大納言の大君。麗景殿女御。<BR> 【東宮の御方】-紅梅大納言の大君。麗景殿女御。<BR>
【この宮をだに気近くて見たてまつらばや】-若君の心中。匂宮を姉宮の御方の婿君として拝したい、意。<BR> 【この宮をだに気近くて見たてまつらばや】-若君の心中。匂宮を姉宮の御方の婿君として拝したい、意。<BR>
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 <A NAME="in24">[第四段 按察使大納言と匂宮、和歌を贈答]</A><BR>  <A NAME="in24">[第四段 按察使大納言と匂宮、和歌を贈答]</A><BR>
【これは昨日の御返なれば見せたてまつる】-『集成』は「心進まぬながら、の気持」と注す。<BR> 【これは昨日の御返なれば見せたてまつる】-『集成』は「心進まぬながら、の気持」と注す。<BR>
【ねたげにものたまへるかな】-以下「見所少なくやならまし」まで、大納言の詞。<BR> 【ねたげにものたまへるかな】-以下「見所少なくやならまし」まで、大納言の詞。<BR>
【あまり好きたる方にすすみたまへるを】-『集成』は「あまりに風流好みの度が過ぎていらっしゃるのを」。『完訳』は「あまりに好色がましくいらっしゃるのを」と訳す<BR> 【あまり好きたる方にすすみたまへるを】-『集成』は「あまりに風流好みの度が過ぎていらっしゃるのを」。『完訳』は「あまりに好色がましくいらっしゃるのを」と訳す<BR>
【あだ人とせむに】-『集成』は「粋人と申しても」。『完訳』は「好色人の資格も」と注す。<BR> 【あだ人とせむに】-『集成』は「粋人と申しても」。『完訳』は「好色人の資格も」と注す。<BR>
【今日も参らせたまふに】-大納言が若君を匂宮のもとへ。<BR> 【今日も参らせたまふに】-大納言が若君を匂宮のもとへ。<BR>
【本つ香の匂へる君が袖触れば花もえならぬ名をや散らさむ】-大納言から匂宮への贈歌。「花」は娘の中君を喩える。『花鳥余情』は「元の香のあるだにあるを梅の花いとど匂ひの遥かなるかな」(兼輔集)を引歌として指摘する。<BR> 【本つ香の匂へる君が袖触れば花もえならぬ名をや散らさむ】-大納言から匂宮への贈歌。「花」は娘の中君を喩える。『花鳥余情』は「元の香のあるだにあるを梅の花いとど匂ひの遥かなるかな」(兼輔集)を引歌として指摘する。<BR>
【まことに】-以下「あるにや」まで、匂宮の心中。<BR> 【まことに】-以下「あるにや」まで、匂宮の心中。<BR>
【花の香を匂はす宿に訪めゆかば色にめづとや人の咎めむ】-匂宮の返歌。<BR> 【花の香を匂はす宿に訪めゆかば色にめづとや人の咎めむ】-匂宮の返歌。<BR>
【心やましと思ひゐたまへり】-主語は大納言。『集成』は「不満に思っていられる」。『完訳』は「もどかしいお気持でいらっしゃる」と訳す。<BR> 【心やましと思ひゐたまへり】-主語は大納言。『集成』は「不満に思っていられる」。『完訳』は「もどかしいお気持でいらっしゃる」と訳す。<BR>
【北の方まかでたまひて】-真木柱。継娘の大君に付き添っていた。<BR> 【北の方まかでたまひて】-真木柱。継娘の大君に付き添っていた。<BR>
【若君の】-以下「見えざりしを」まで、北の方の詞。<BR> 【若君の】-以下「見えざりしを」まで、北の方の詞。<BR>
【宮のいと思ほしよりて】-東宮がすばやく気がついて、の意。<BR> 【宮のいと思ほしよりて】-東宮がすばやく気がついて、の意。<BR>
【兵部卿宮に】-以下「我をばすさめたり」まで、東宮の詞を引用。<BR> 【兵部卿宮に】-以下「我をばすさめたり」まで、東宮の詞を引用。<BR>
【ここに御消息やありし】-こちらから匂宮に手紙を差し上げなかったか、の意。<BR> 【ここに御消息やありし】-こちらから匂宮に手紙を差し上げなかったか、の意。<BR>
【さかし】-以下「さることぞかし」まで、大納言の詞。<BR> 【さかし】-以下「さることぞかし」まで、大納言の詞。<BR>
【晴れまじらひしたまはむ女などはさはえしめぬかな】-『完訳』は「晴れがましい宮廷勤めをなさるような女なども、あんなにはたきしめられない。やや不審の行文」と注す。<BR> 【晴れまじらひしたまはむ女などはさはえしめぬかな】-『完訳』は「晴れがましい宮廷勤めをなさるような女なども、あんなにはたきしめられない。やや不審の行文」と注す。<BR>
【源中納言は】-薫。<BR> 【源中納言は】-薫。<BR>
【梅は生ひ出でけむ根こそあはれなれ】-『集成』は「(芳香のある)梅は、生い出たものとねざしがゆかしく思われることです。薫の前世の因縁ということから、梅はどうしてあれほどの芳香あるのだろうか、と言う」と注す。『完訳』は「梅は生き立ちの素姓が殊勝ですね」と訳す。<BR> 【梅は生ひ出でけむ根こそあはれなれ】-『集成』は「(芳香のある)梅は、生い出たものとねざしがゆかしく思われることです。薫の前世の因縁ということから、梅はどうしてあれほどの芳香あるのだろうか、と言う」と注す。『完訳』は「梅は生き立ちの素姓が殊勝ですね」と訳す。<BR>
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 <A NAME="in25">[第五段 匂宮、宮の御方に執心]</A><BR>  <A NAME="in25">[第五段 匂宮、宮の御方に執心]</A><BR>
【人に見え世づきたらむありまはさらにと思し離れたり】-『完訳』は「結婚して世間並に暮すのは。連れ子のきびしい状況に置かれてもいるが、控え目すぎる性格からも結婚には無関心」と注す。<BR> 【人に見え世づきたらむありまはさらにと思し離れたり】-『完訳』は「結婚して世間並に暮すのは。連れ子のきびしい状況に置かれてもいるが、控え目すぎる性格からも結婚には無関心」と注す。<BR>
【世の人も時に寄る心ありてにや】-「にや」語り手の推測を介在させた句。<BR> 【世の人も時に寄る心ありてにや】-「にや」語り手の推測を介在させた句。<BR>
【さし向ひたる御方々には】-両親揃っている姫君たちの意。大納言の大君・中君には継母ではあるが二親揃っている。しかし宮の御方は連れ子で片親であるという文脈。『集成』は「現に父君のいらっしゃる姫君たちには」。『完訳』は「本妻腹の御方々には」と訳す。<BR> 【さし向ひたる御方々には】-両親揃っている姫君たちの意。大納言の大君・中君には継母ではあるが二親揃っている。しかし宮の御方は連れ子で片親であるという文脈。『集成』は「現に父君のいらっしゃる姫君たちには」。『完訳』は「本妻腹の御方々には」と訳す。<BR>
【御ふさひの方に】-「ふさひ」は、ふさわしい意。<BR> 【御ふさひの方に】-「ふさひ」は、ふさわしい意。<BR>
【大納言の君深く心かけきこえたまひて】-『集成』は「夫の大納言は。以下、匂宮の文通のことを知っての北の方(真木柱)の思い。それで「大納言の君」という」と注す<BR> 【大納言の君深く心かけきこえたまひて】-『集成』は「夫の大納言は。以下、匂宮の文通のことを知っての北の方(真木柱)の思い。それで「大納言の君」という」と注す<BR>
【ひき違へて】-以下「かひなげなること」まで、北の方の詞。<BR> 【ひき違へて】-以下「かひなげなること」まで、北の方の詞。<BR>
【何かは人の】-以下「見えさせたまふに」まで、北の方の心中。匂宮と宮の御方を許す気持ち。<BR> 【何かは人の】-以下「見えさせたまふに」まで、北の方の心中。匂宮と宮の御方を許す気持ち。<BR>
【八の宮の姫君にも】-宇治八の宮の中君。『新大系』は「桐壺院の第八皇子であることが橋姫巻で紹介される。ここで唐突にも「八の宮の姫君」に匂宮が通うことが記されていることで、当巻の成立・巻序・年立などでさまざまな問題を生む」と注す。<BR> 【八の宮の姫君にも】-宇治八の宮の中君。『新大系』は「桐壺院の第八皇子であることが橋姫巻で紹介される。ここで唐突にも「八の宮の姫君」に匂宮が通うことが記されていることで、当巻の成立・巻序・年立などでさまざまな問題を生む」と注す。<BR>
【まめやかには思ほし絶えたるを】-主語は北の方。<BR> 【まめやかには思ほし絶えたるを】-主語は北の方。<BR>
【かたじけなきを】-『完訳』は「匂宮の高貴な身が畏れ多いとだけ。体よく断る口実である」と注す。<BR> 【かたじけなきを】-『完訳』は「匂宮の高貴な身が畏れ多いとだけ。体よく断る口実である」と注す。<BR>
   
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<A HREF="index.html">源氏物語の世界ヘ</A><BR> <A HREF="index.html">源氏物語の世界ヘ</A><BR>
<A HREF="text43.html">本文</A><BR> <A HREF="text43.html">本文</A><BR>
<A HREF="roman43.html">ローマ字版 </A><BR> <A HREF="roman43.html">ローマ字版 </A><BR>
<A HREF="version43.html">現代語訳 </A><BR> <A HREF="version43.html">現代語訳 </A><BR>
<A HREF="data43.html">大島本</A><BR> <A HREF="data43.html">大島本</A><BR>
<A HREF="okuiri43.html">自筆本奥入</A><BR> <A HREF="okuiri43.html">自筆本奥入</A><BR>
   
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