第十二帖 須磨
光る源氏の二十六歳春三月下旬から二十七歳春三月上巳日まで無位無官時代の都と須磨の物語
| この帖の主な登場人物 | |||
|---|---|---|---|
| 登場人物 | 読み | 呼称 | 備考 |
| 光る源氏 | ひかるげんじ | 源氏の君 君 男 |
二十七歳から二十八歳 |
| 頭中将 | とうのちゅうじょう | 三位中将 宰相 |
故葵の上の兄 |
| 桐壺院 | きりつぼのいん | 故院 帝王 父帝 帝 院の帝 院 |
光る源氏の父 |
| 朱雀帝 | すざくてい | 主上 帝 当代 主上 内裏 |
光る源氏の兄 |
| 弘徽殿大后 | こうきでんのおおぎさき | 后 宮 大宮 |
朱雀帝の母后 |
| 藤壺の宮 | ふじつぼのみや | 入道の宮 |
東宮の母 |
| 紫の上 | むらさきのうえ | 二条院 二条の君 女君 |
光る源氏の妻 |
| 明石の君 | あかしのきみ | 娘 女 明石 |
明石入道の娘 |
| 明石入道 | あかしのにゅうどう | 前の守新発意 明石入道 入道 主人の入道 |
明石の君の父 |
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段名
和歌
挿絵
第一章 光る源氏の物語 逝く春と離別の物語
第一段 源氏、須磨退去を決意
第二段 左大臣邸に離京の挨拶
| 1.2.22 | 「鳥辺山燃えし煙もまがふやと 海人の塩焼く浦見にぞ行く」 |
| 1.2.33 | 「亡き人の別れやいとど隔たらむ 煙となりし雲居ならでは」 |
1.2.15 |
第三段 二条院の人々との離別
| 1.3.17 | 「身はかくてさすらへぬとも君があたり 去らぬ鏡の影は離れじ」 |
| 1.3.19 | 「別れても影だにとまるものならば 鏡を見ても慰めてまし」 |
1.3.13 |
第四段 花散里邸に離京の挨拶
| 1.4.9 | 「月影の宿れる袖はせばくとも とめても見ばやあかぬ光を」 |
| 1.4.11 | 「行きめぐりつひにすむべき月影の しばし雲らむ空な眺めそ |
第五段 旅生活の準備と身辺整理
| 1.5.10 | 逢ふ瀬なき涙の河に沈みしや 流るる澪の初めなりけむ |
| 1.5.14 | 「涙河浮かぶ水泡も消えぬべし 流れて後の瀬をも待たずて」 |
第六段 藤壺に離京の挨拶
| 1.6.8 | 「見しはなくあるは悲しき世の果てを 背きしかひもなくなくぞ経る」 |
| 1.6.10 | 「別れしに悲しきことは尽きにしを またぞこの世の憂さはまされる」 |
第七段 桐壺院の御墓に離京の挨拶
| 1.7.3 | 「ひき連れて葵かざししそのかみを 思へばつらし賀茂の瑞垣」 |
| 1.7.6 | 「憂き世をば今ぞ別るるとどまらむ 名をば糺の神にまかせて」 |
| 1.7.10 | 「亡き影やいかが見るらむよそへつつ 眺むる月も雲隠れぬる」 |
1.7.8 |
第八段 東宮に離京の挨拶
| 1.8.3 | いつかまた春の都の花を見む 時失へる山賤にして」 |
| 1.8.11 | 「咲きてとく散るは憂けれどゆく春は 花の都を立ち帰り見よ |
第九段 離京の当日
| 1.9.4 | 「生ける世の別れを知らで契りつつ 命を人に限りけるかな |
| 1.9.7 | 「惜しからぬ命に代へて目の前の 別れをしばしとどめてしがな」 |
| 1.9.10 | 「唐国に名を残しける人よりも 行方知られぬ家居をやせむ」 |
| 1.9.12 | 「故郷を峰の霞は隔つれど 眺むる空は同じ雲居か」 |
1.9.8 |
第二章 光る源氏の物語 夏の長雨と鬱屈の物語
第一段 須磨の住居
第二段 京の人々へ手紙
| 2.2.3 | 「松島の海人の苫屋もいかならむ 須磨の浦人しほたるるころ |
| 2.2.7 | こりずまの浦のみるめのゆかしきを 塩焼く海人やいかが思はむ」 |
| 2.2.16 | 塩垂るることをやくにて松島に 年ふる海人も嘆きをぞつむ」 |
| 2.2.18 | 「浦にたく海人だにつつむ恋なれば くゆる煙よ行く方ぞなき |
| 2.2.22 | 「浦人の潮くむ袖に比べ見よ 波路へだつる夜の衣を」 |
第三段 伊勢の御息所へ手紙
| 2.3.3 | うきめかる伊勢をの海人を思ひやれ 藻塩垂るてふ須磨の浦にて |
| 2.3.6 | 「伊勢島や潮干の潟に漁りても いふかひなきは我が身なりけり」 |
| 2.3.11 | 伊勢人の波の上漕ぐ小舟にも うきめは刈らで乗らましものを |
| 2.3.12 | 海人がつむなげきのなかに塩垂れて いつまで須磨の浦に眺めむ |
| 2.3.16 | 「荒れまさる軒のしのぶを眺めつつ しげくも露のかかる袖かな」 |
2.3.14 |
第四段 朧月夜尚侍参内する
第三章 光る源氏の物語 須磨の秋の物語
第一段 須磨の秋
| 3.1.3 | 「恋ひわびて泣く音にまがふ浦波は 思ふ方より風や吹くらむ」 |
| 3.1.13 | 「初雁は恋しき人の列なれや 旅の空飛ぶ声の悲しき」 |
| 3.1.15 | 「かきつらね昔のことぞ思ほゆる 雁はその世の友ならねども」 |
| 3.1.17 | 「心から常世を捨てて鳴く雁を 雲のよそにも思ひけるかな」 |
| 3.1.19 | 「常世出でて旅の空なる雁がねも 列に遅れぬほどぞ慰む |
3.1.8 |
第二段 配所の月を眺める
| 3.2.6 | 「見るほどぞしばし慰むめぐりあはむ 月の都は遥かなれども」 |
| 3.2.10 | 「憂しとのみひとへにものは思ほえで 左右にも濡るる袖かな」 |
第三段 筑紫五節と和歌贈答
| 3.3.8 | 「琴の音に弾きとめらるる綱手縄 たゆたふ心君知るらめや |
| 3.3.11 | 「心ありて引き手の綱のたゆたはば うち過ぎましや須磨の浦波 |
第四段 都の人々の生活
第五段 須磨の生活
| 3.5.2 | 「山賤の庵に焚けるしばしばも 言問ひ来なむ恋ふる里人」 |
| 3.5.10 | 「いづ方の雲路に我も迷ひなむ 月の見るらむことも恥づかし」 |
| 3.5.12 | 「友千鳥諸声に鳴く暁は ひとり寝覚の床も頼もし」 |
3.5.6 |
第六段 明石入道の娘
第四章 光る源氏の物語 信仰生活と神の啓示の物語
第一段 須磨で新年を迎える
| 4.1.3 | 「いつとなく大宮人の恋しきに 桜かざしし今日も来にけり」 |
| 4.1.17 | 「故郷をいづれの春か行きて見む うらやましきは帰る雁がね」 |
| 4.1.19 | 「あかなくに雁の常世を立ち別れ 花の都に道や惑はむ」 |
| 4.1.28 | 「雲近く飛び交ふ鶴も空に見よ 我は春日の曇りなき身ぞ |
| 4.1.31 | 「たづかなき雲居にひとり音をぞ鳴く 翼並べし友を恋ひつつ |
4.1.8 |
第二段 上巳の祓と嵐
| 4.2.4 | 「知らざりし大海の原に流れ来て ひとかたにやはものは悲しき」 |
| 4.2.7 | 「八百よろづ神もあはれと思ふらむ 犯せる罪のそれとなければ」 |