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1 | <HTML>⏎ | 1 | ||
2 | <HEAD>⏎ | 2 | ||
3 | <meta http-equiv="Content-Type" content="text/html; charset=UTF-8">⏎ | 3 | ||
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5 | <meta name="GENERATOR" content="IBM WebSphere Studio Homepage Builder Version 14.0.3.0 for Windows">⏎ | 5 | ||
6 | <TITLE>紅梅(大島本)</TITLE>⏎ | 6 | ||
7 | </HEAD>⏎ | 7 | ||
c1 | 8 | <body background="wallppr062.gif">⏎ | 8 | <BODY>⏎ |
note43 | 9 | <ADDRESS>Last updated 2/17/2002<BR> | 9 | |
note43 | 10 | 渋谷栄一注釈(ver.1-1-2)</ADDRESS> | 10 | |
d1 | 11 | <P>⏎ | ||
12 | <H3>紅梅</H3>⏎ | 11 | ||
d1 | 13 | <P>⏎ | ||
14 | [底本]<BR>⏎ | 12 | ||
15 | 財団法人古代学協会・古代学研究所編 角田文衛・室伏信助監修『大島本 源氏物語』第八巻 一九九六年 角川書店<BR>⏎ | 13 | ||
d1 | 16 | <P>⏎ | ||
17 | [参考文献]<BR>⏎ | 14 | ||
18 | 池田亀鑑編著『源氏物語大成』第三巻「校異篇」一九五六年 中央公論社<BR>⏎ | 15 | ||
d1 | 19 | <P>⏎ | ||
20 | 阿部秋生・秋山 虔・今井源衛・鈴木日出男校注・訳『古典セレクション 源氏物語』第十二巻 一九九八年 小学館<BR>⏎ | 16 | ||
21 | 柳井 滋・室伏信助・大朝雄二・鈴木日出男・藤井貞和・今西祐一郎校注『新日本古典文学大系 源氏物語』第四巻 一九九六年 岩波書店<BR>⏎ | 17 | ||
22 | 阿部秋生・秋山 虔・今井源衛・鈴木日出男校注・訳『完訳日本の古典 源氏物語』第八巻 一九八七年 小学館<BR>⏎ | 18 | ||
23 | 石田穣二・清水好子校注『新潮日本古典集成 源氏物語』第六巻 一九八二年 新潮社<BR>⏎ | 19 | ||
24 | 阿部秋生・秋山 虔・今井源衛校注・訳『日本古典文学全集 源氏物語』第五巻 一九七五年 小学館<BR>⏎ | 20 | ||
25 | 玉上琢弥著『源氏物語評釈』第九巻 一九六七年 角川書店<BR>⏎ | 21 | ||
26 | 山岸徳平校注『日本古典文学大系 源氏物語』第四巻 一九六二年 岩波書店<BR>⏎ | 22 | ||
27 | 池田亀鑑校注『日本古典全書 源氏物語』第五巻 一九五四年 朝日新聞社<BR>⏎ | 23 | ||
d1 | 28 | <P>⏎ | ||
29 | 伊井春樹編『源氏物語引歌索引』一九七七年 笠間書院<BR>⏎ | 24 | ||
30 | 榎本正純篇著『源氏物語の草子地 諸注と研究』一九八二年 笠間書院<BR>⏎ | 25 | ||
d1 | 31 | <P>⏎ | ||
32 | 第一章 紅梅大納言家の物語 娘たちの結婚を思案<BR>⏎ | 26 | ||
33 | <OL>⏎ | 27 | ||
34 | <LI>按察使大納言家の家族---<A HREF="#in11">そのころ、按察使大納言と聞こゆるは</A>⏎ | 28 | ||
35 | <LI>按察使大納言家の三姫君---<A HREF="#in12">君たち、同じほどに、すぎすぎおとなびたまひぬれば</A>⏎ | 29 | ||
36 | <LI>宮の御方の魅力---<A HREF="#in13">殿は、つれづれなる心地して、西の御方は</A>⏎ | 30 | ||
37 | <LI>按察使大納言の音楽談義---<A HREF="#in14">「月ごろ、何となくもの騒がしきほどに、御琴の音を</A>⏎ | 31 | ||
38 | </OL>⏎ | 32 | ||
39 | 第二章 匂兵部卿の物語 宮の御方に執心<BR>⏎ | 33 | ||
40 | <OL>⏎ | 34 | ||
41 | <LI>按察使大納言、匂宮に和歌を贈る---<A HREF="#in21">若君、内裏へ参らむと、宿直姿にて参りたまへる</A>⏎ | 35 | ||
42 | <LI>匂宮、若君と語る---<A HREF="#in22">中宮の上の御局より、御宿直所に出でたまふほどなり</A>⏎ | 36 | ||
43 | <LI>匂宮、宮の御方を思う---<A HREF="#in23">「今宵は宿直なめり。やがてこなたにを</A>⏎ | 37 | ||
44 | <LI>按察使大納言と匂宮、和歌を贈答---<A HREF="#in24">これは、昨日の御返りなれば見せたてまつる</A>⏎ | 38 | ||
45 | <LI>匂宮、宮の御方に執心---<A HREF="#in25">宮の御方は、もの思し知るほどにねびまさりたまへば</A>⏎ | 39 | ||
46 | </OL>⏎ | 40 | ||
d1 | 47 | <P>⏎ | ||
note43 | 48 | <H4>第一章 紅梅大納言家の物語 娘たちの結婚を思案</H4> | 41 | |
note43 | 49 | <A NAME="in11">[第一段 按察使大納言家の家族]</A><BR> | 42 | |
50 | 【そのころ】-『集成』は「漠然と時を指定する書き方。物語の冒頭の形式「今は昔」「昔」などに准ずるもので、後の橋姫、宿木、手習に同じ書き出しが見られる」。『完訳』は「語り出しの常套句。後文から、前巻より三、四年後と分る」。『新大系』は「匂宮巻と同じころで、夕霧右大臣の時代。「その比」で始まる巻として、他に橋姫・宿木・手習巻があり、続篇物語の際立った特徴。前帖に対して全く新しい人間関係の提示の際の常套句」と注す。<BR>⏎ | 43 | ||
51 | 【さしつぎよ】-「よ」間投助詞。語り手の口吻。<BR>⏎ | 44 | ||
52 | 【童より】-「賢木」巻に初登場、以後、「行幸」「夕霧」巻にも登場。<BR>⏎ | 45 | ||
53 | 【御おぼえ】-帝の御信望。<BR>⏎ | 46 | ||
54 | 【もとよりのは】-系図不詳の人。<BR>⏎ | 47 | ||
55 | 【後の太政大臣】-鬚黒。彼の太政大臣への昇進と死去の年月は不明。<BR>⏎ | 48 | ||
56 | 【式部卿宮にて】-祖父の式部卿宮が引き取って、宮家の姫君として、の意。<BR>⏎ | 49 | ||
57 | 【故兵部卿親王に】-蛍兵部卿宮に。<BR>⏎ | 50 | ||
c1 | 58 | 【女二人のみぞ】-大君(麗景殿女御)と中の君。<BR>⏎ | 51 | 【二人のみぞ】-大君(麗景殿女御)と中の君。<BR>⏎ |
59 | 【男君一人】-大夫の君と呼称される。<BR>⏎ | 52 | ||
60 | 【故宮の】-故蛍兵部卿宮と真木柱姫君との間に。<BR>⏎ | 53 | ||
61 | 【女君一所】-宮の御方と呼称される。<BR>⏎ | 54 | ||
62 | 【うるはしうもあらぬ心ばへ】-『集成』は「きれい事では割り切れぬ思い」。『完訳』は「公正に物事を処理できぬ身びいき。嫉妬し不信を抱き合う」と注す。<BR>⏎ | 55 | ||
63 | 【わが御方ざまに苦しかるべきことをも】-連れ子の宮の御方に関する事。<BR>⏎ | 56 | ||
d1 | 64 | <P>⏎ | ||
note43 | 65 | <A NAME="in12">[第二段 按察使大納言家の三姫君]</A><BR> | 57 | |
66 | 【父宮のおはせぬ心苦しきやうなれど】-宮の御方には父螢兵部卿宮がいない気の毒さ。<BR>⏎ | 58 | ||
67 | 【こなたかなたの御宝物】-父蛍宮や母方の曾祖父式部卿宮から贈られた宝物。<BR>⏎ | 59 | ||
68 | 【内裏春宮より】-今上帝(朱雀院の皇子)と東宮(今上の第一皇子、母明石の中宮)。以下「何の本意かはあらむ」まで、紅梅大納言の心中。<BR>⏎ | 60 | ||
c1 | 69 | 【兵部卿の宮のさも思しよらば】-紅梅大納言の心中。<BR>⏎ | 61 | 【兵部卿宮の、さも思したらば】-紅梅大納言の心中。<BR>⏎ |
70 | 【この若君を】-紅梅大納言と真木柱の子、大夫の君。大君や中君とは異腹の兄弟。<BR>⏎ | 62 | ||
71 | 【内裏にてなど見つけたまふ時は】-主語は匂宮。<BR>⏎ | 63 | ||
72 | 【せうとを見て】-以下「大納言に申せよ」まで、匂宮の詞。姉にも逢いたい、の意。大夫の君には異腹の姉の大君(東宮の麗景殿女御)、中君と同父の姉の宮の御方とがいる。匂宮は連れ子の宮の御方に関心がある。<BR>⏎ | 64 | ||
73 | 【いとかひあり】-紅梅大納言の心中。匂宮が中君に関心を寄せているものと思い喜ぶ。しかし、匂宮は宮の御方に関心がある。<BR>⏎ | 65 | ||
74 | 【人に劣らむ宮仕ひよりは】-以下「宮の御さまなり」まで、紅梅大納言の詞。<BR>⏎ | 66 | ||
75 | 【春宮の御ことをいそぎたまひて】-大君の東宮への入内。<BR>⏎ | 67 | ||
76 | 【春日の神の御ことわりも】-以下「慰めのこともあらなむ」まで、紅梅大納言の心中。藤原氏から皇后が立后するという神託。<BR>⏎ | 68 | ||
77 | 【故大臣の院の女御】-紅梅大納言の父、故太政大臣の娘の冷泉帝の弘徽殿女御は、源氏の養女の秋好中宮に立后された悔しい思いがある。<BR>⏎ | 69 | ||
78 | 【北の方添ひて】-紅梅大納言の北の方、真木柱。継母が後見。<BR>⏎ | 70 | ||
d1 | 79 | <P>⏎ | ||
note43 | 80 | <A NAME="in13">[第三段 宮の御方の魅力]</A><BR> | 71 | |
81 | 【西の御方は】-中君。<BR>⏎ | 72 | ||
82 | 【一つに慣らひたまひて】-姉の大君と一緒にいることに慣れていた。<BR>⏎ | 73 | ||
83 | 【東の姫君も】-宮の御方。継母の真木柱と先夫蛍兵部卿宮との間の娘、連れ子。<BR>⏎ | 74 | ||
84 | 【こなたを師のやうに】-宮の御方を師匠のようにして。<BR>⏎ | 75 | ||
85 | 【誰れも】-大君や中君をさす。<BR>⏎ | 76 | ||
86 | 【もの恥ぢを世の常ならずしたまひて】-主語は宮の御方。以下、宮の御方の性格描写が続く。<BR>⏎ | 77 | ||
87 | 【わが方ざまをのみ思ひ急ぐやうなるも心苦しなど思して】-主語は紅梅大納言。<BR>⏎ | 78 | ||
88 | 【さるべからむさまに】-以下「仕うまつらめ」まで、紅梅大納言の詞。<BR>⏎ | 79 | ||
89 | 【さらにさやうの】-以下「過ぐしたまはなむ」まで、母北の方真木柱の詞。<BR>⏎ | 80 | ||
90 | 【世にあらむ限りは】-自分が生きているうちは。<BR>⏎ | 81 | ||
91 | 【世を背く方にても】-宮の御方が。『集成』は「出家して尼になるなりして、それなりに、人の物笑いになるような、軽はずみな失態を犯すことなくお過しになってほしいものです。つまらぬ男と浮き名の立つようなことはあってほしくない、と言う。父兵部卿の宮がいないというひけ目が、母にも適当な縁組を断念させているのであろう」と注す。<BR>⏎ | 82 | ||
92 | 【御心ばせの思ふやうなることをぞ】-宮の御方のすぐれた性質をいう。<BR>⏎ | 83 | ||
93 | 【いづれも分かず親がりたまへど】-紅梅大納言は実子も連れ子も同じように扱う。<BR>⏎ | 84 | ||
94 | 【上おはせぬほどは】-以下「心憂くこそ」まで、紅梅大納言の詞。母上は大君と共に宮中にいる。<BR>⏎ | 85 | ||
95 | 【この君にえしも】-以下「ありぬべかめり」まで、紅梅大納言の心中。<BR>⏎ | 86 | ||
cd2:1 | 96-97 | 【世の中広きうちは】-『集成』は「この広い世間の内は、気を許せないものなのだ。どんな強敵がいるか分らない、意」。『完訳』は「世間付き合いの多い宮中では。後宮には予測しがたい、すぐれた妃の出現しがちなことを危ぶむ」と注す。<BR>⏎ <P>⏎ | 87 | 【世の中の広きうちは】-『集成』は「この広い世間の内は、気を許せないものなのだ。どんな強敵がいるか分らない、意」。『完訳』は「世間付き合いの多い宮中では。後宮には予測しがたい、すぐれた妃の出現しがちなことを危ぶむ」と注す。<BR>⏎ |
note43 | 98 | <A NAME="in14">[第四段 按察使大納言の音楽談義]</A><BR> | 88 | |
99 | 【月ごろ何となく】-以下「御琴参れ」まで、紅梅大納言の詞。<BR>⏎ | 89 | ||
100 | 【琵琶を心に入れてはべる】-中君は宮の御方から琵琶を習っている。『源氏物語』では琵琶は皇族の血を引く人がよく弾く楽器として登場。源典侍、明石御方、蛍兵部卿宮、宇治大君など。<BR>⏎ | 90 | ||
101 | 【うちとけても遊ばさねど】-主語は、あなた宮の御方。敬語表現。<BR>⏎ | 91 | ||
102 | 【昔おぼえはべる】-『集成』は「昔の世の音色そのままと思われます。昔の名手にも劣らないと、ほめる。尚古思想である」。『完訳』は「往年の琵琶の第一人者は宮の御方の実父蛍宮。ここはそれを回顧しない」と注す。<BR>⏎ | 92 | ||
103 | 【この御琴の音こそ】-あなたの琴の音色は。琴は総称、琵琶をさす。<BR>⏎ | 93 | ||
104 | 【隠れたてまつるも】-紅梅大納言に対しての敬意。<BR>⏎ | 94 | ||
105 | 【さぶらふ人さへかくもてなすがやすからぬ】-紅梅大納言の詞。『完訳』は「宮の御方への当てつけがましい言葉」と注す。<BR>⏎ | 95 | ||
d1 | 106 | <P>⏎ | ||
note43 | 107 | <H4>第二章 匂兵部卿の物語 宮の御方に執心</H4> | 96 | |
note43 | 108 | <A NAME="in21">[第一段 按察使大納言、匂宮に和歌を贈る]</A><BR> | 97 | |
109 | 【若君】-紅梅大納言と真木柱の子、宮の御方の異父弟。<BR>⏎ | 98 | ||
110 | 【麗景殿に】-紅梅大納言の大君。<BR>⏎ | 99 | ||
111 | 【譲りきこえて】-以下「聞こえよ」まで、紅梅大納言の詞。若君への伝言。「譲りきこえ」の相手は、大君に付き添っている北の方。<BR>⏎ | 100 | ||
112 | 【笛すこし】-以下「若き笛を」まで、紅梅大納言の詞。<BR>⏎ | 101 | ||
113 | 【かたはらいたしや】-『完訳』は「卑下しながらも自慢する」と注す。<BR>⏎ | 102 | ||
114 | 【若き笛を】-「を」間投助詞、詠嘆の気持ち。<BR>⏎ | 103 | ||
115 | 【双調吹かせたまふ】-「せ」使役の助動詞。紅梅大納言が若君に。<BR>⏎ | 104 | ||
116 | 【けしうはあらずなりゆくは】-以下「掻き合はせさせたまへ」まで、紅梅大納言の詞、後半は宮の御方への詞。<BR>⏎ | 105 | ||
117 | 【このわたりにて】-宮の御方をさす。<BR>⏎ | 106 | ||
118 | 【皮笛ふつつかに馴れたる声して】-主語は紅梅大納言。口笛を吹く。<BR>⏎ | 107 | ||
119 | 【御前の花】-以下「知る人ぞ知る」まで、大納言の若君(大夫の君)への詞。<BR>⏎ | 108 | ||
120 | 【知る人ぞ知る】-『源氏釈』は「君ならで誰にか見せむ梅の花色をも香をも知る人ぞ知る」(古今集春上、三八、紀友則)を指摘。<BR>⏎ | 109 | ||
121 | 【あはれ光る源氏】-以下「とこそおぼえはべれ」まで、大納言の詞。<BR>⏎ | 110 | ||
122 | 【この宮たちを】-匂宮や薫。<BR>⏎ | 111 | ||
123 | 【なほたぐひあらじ】-源氏をさす。<BR>⏎ | 112 | ||
c1 | 124 | 【ついでのしのびがたきにや】-語り手の推測。<BR>⏎ | 113 | 【ついでの忍びがたきにや】-語り手の推測。<BR>⏎ |
125 | 【いかがはせむ】-以下「聞こえをかさむかし」まで、大納言の詞。<BR>⏎ | 114 | ||
cd2:1 | 126-127 | 【心ありて風の匂はす園の梅にまづ鴬の訪はずやあるべき】-大納言の詠歌。『完訳』は「「梅」は大納言の中の君、「鴬」は匂宮。二人の縁組を望む歌」と注す。『河海抄』は「あらたまの年行きかへり春立たばまづ我が家戸に鴬は鳴け」(万葉集二十、大伴家持)を指摘。『休聞抄』は「花の香を風の便りにたぐへてぞ鴬誘ふしるべにやせむ」(古今集春上、一三、紀友則)を指摘。<BR>⏎ <P>⏎ | 115 | 【心ありて風の匂はす園の梅に--まづ鴬の訪はずやあるべき】-大納言の詠歌。『完訳』は「「梅」は大納言の中の君、「鴬」は匂宮。二人の縁組を望む歌」と注す。『河海抄』は「あらたまの年行きかへり春立たばまづ我が家戸に鴬は鳴け」(万葉集二十、大伴家持)を指摘。『休聞抄』は「花の香を風の便りにたぐへてぞ鴬誘ふしるべにやせむ」(古今集春上、一三、紀友則)を指摘。<BR>⏎ |
note43 | 128 | <A NAME="in22">[第二段 匂宮、若君と語る]</A><BR> | 116 | |
129 | 【殿上人あまた御送りに参る中に】-殿上人が匂宮を送る。<BR>⏎ | 117 | ||
130 | 【見つけたまひて】-匂宮が若君を。<BR>⏎ | 118 | ||
131 | 【昨日はなど】-以下「参りつるぞ」まで、匂宮の詞。<BR>⏎ | 119 | ||
132 | 【疾くまかではべりにし】-以下「参りつるや」まで、若君の詞。<BR>⏎ | 120 | ||
133 | 【内裏ならで】-以下「集まる所ぞ」まで、匂宮の詞。<BR>⏎ | 121 | ||
134 | 【心やすき所にも】-匂宮の私邸の二条院。<BR>⏎ | 122 | ||
135 | 【春宮には】-以下「人悪ろかめり」まで、匂宮の詞。<BR>⏎ | 123 | ||
c2 | 136-137 | 【まつはさせたまへりしこそ】-以下「御前にはしも」まで、若君の詞。<BR>⏎ 給へりし(一四五四⑪)-給し大御横陽池肖柏本と三条西【我をば人げなしと】-以下「語らひきこえよ」まで、匂宮の詞。主語は大君。<BR>⏎ | 124-125 | 【まつはさせたまひしこそ】-以下「御前にはしも」まで、若君の詞。<BR>【たまひし】-給し大御横陽池肖柏本と三条西⏎ 【我をば人げなしと】-以下「語らひきこえよ」まで、匂宮の詞。主語は大君。<BR>⏎ |
138 | 【思ひ離れたるとな】-「とな」は、「と」格助詞、引用の意と「な」終助詞、詠嘆の意。<BR>⏎ | 126 | ||
c1 | 139 | 【古めかしき同じ筋にて東ときこゆなるは】-『集成』は「世間にもてはやされぬ同じ宮家で、「東」とか、申し上げる方は」。『完訳』は「わたしと同じ古めかしい皇族筋の、東の君と申し上げるというお方が」と訳す。<BR>⏎ | 127 | 【古めかしき同じ筋にて、東と聞こゆなるは】-『集成』は「世間にもてはやされぬ同じ宮家で、「東」とか、申し上げる方は」。『完訳』は「わたしと同じ古めかしい皇族筋の、東の君と申し上げるというお方が」と訳す。<BR>⏎ |
140 | 【この花を】-紅梅。<BR>⏎ | 128 | ||
c1 | 141 | 【怨みて後ならましかば】-匂宮の心。『異本紫明抄』は「恨みての後さへ人のつらからばいかにいひてかねをもなかまし」(拾遺集恋五、九八五、読人しらず)を引歌として指摘。<BR>⏎ | 129 | 【怨みてのちならましかば】-匂宮の心。『異本紫明抄』は「恨みての後さへ人のつらからばいかにいひてかねをもなかまし」(拾遺集恋五、九八五、読人しらず)を引歌として指摘。<BR>⏎ |
142 | 【園に匂へる紅の】-以下「咲きけるかな」まで、匂宮の詞。『異本紫明抄』は「紅に色をばかへて梅の花香にぞことごと匂はざりける」(後撰集春上、四四、躬恒)。『源注拾遺』は「梅の花香はことごとに匂はねど薄く濃くこそ色は咲きけれ」(後拾遺集春上、五四、清原元輔)を引歌として指摘する。<BR>⏎ | 130 | ||
d1 | 143 | <P>⏎ | ||
note43 | 144 | <A NAME="in23">[第三段 匂宮、宮の御方を思う]</A><BR> | 131 | |
145 | 【今宵は宿直なめりやがてこなたにを】-匂宮の詞。若君の装束を見ていう。<BR>⏎ | 132 | ||
146 | 【この花の主人はなど春宮には移ろひたまはざりし】-匂宮の詞。『集成』は「大納言は、中の君を(私でなく)どうして東宮にさし上げる気におなりでなかったのだろう。「花」は紅梅(中の君)、その「主人(あるじ)」は、大納言と見るべきであろう」。『完訳』は「宮の御方はなぜ東宮に参らないのか」と注す。『河海抄』は「春来てぞ人もとひける山里は花こそやどの主人なりけれ」(拾遺集雑春、一〇一五、右衛門督公任)。『孟津抄』は「東風吹かば匂ひおこせよ梅の花主人なしとて春を忘るな」(拾遺集雑春、一〇〇六、菅原道真)「菊の露わかゆばかりに袖濡れて花の主人に千代は譲らむ」(紫式部集)を引歌として指摘。「花」「移ろふ」は縁語。<BR>⏎ | 133 | ||
147 | 【知らず心知らむ人になどこそ聞きはべりしか】-若君の返事。『源氏釈』は「あたら夜の月と花とを同じくは心知れらむ人に見せばや」(後撰集春下、一〇三、源信明)。『花鳥余情』は「色も香もまづ我が宿の梅をこそ心知れらむ人は見に来め」(信明集)を引歌として指摘する。<BR>⏎ | 134 | ||
148 | 【わが方ざまに】-実の娘本意に、の意。<BR>⏎ | 135 | ||
c1 | 149 | 【花の香に誘はれぬべき身なりせば風のたよりを過ぐさましやは】-匂宮の大納言の贈歌への返歌。『集成』は「一応卑下して見せた体。贈歌と同じ『古今集』の歌(花の香を風のたよりにたぐへてぞ鴬さそふしるべにはやる)による」。『完訳』は「不似合いな自分だからとして断った歌」と注す。<BR>⏎ | 136 | 【花の香に誘はれぬべき身なりせば--風のたよりを過ぐさましやは】-匂宮の大納言の贈歌への返歌。『集成』は「一応卑下して見せた体。贈歌と同じ『古今集』の歌(花の香を風のたよりにたぐへてぞ鴬さそふしるべにはやる)による」。『完訳』は「不似合いな自分だからとして断った歌」と注す。<BR>⏎ |
150 | 【なほ今は翁どもに】-以下「忍びやかに」まで、匂宮の詞。こっそりと宮の御方にわたりをつけてほしい、意。<BR>⏎ | 137 | ||
151 | 【東のをば】-宮の御方をさす。<BR>⏎ | 138 | ||
152 | 【なかなか異方の姫君は】-異腹の大君、中君をさす。<BR>⏎ | 139 | ||
153 | 【いと重りかにあらまほしう】-宮の御方の性質をさす。<BR>⏎ | 140 | ||
154 | 【かひあるさまにて見たてまつらばや】-若君の心。宮の御方と匂宮の結婚を望む。<BR>⏎ | 141 | ||
c1 | 155 | 【東宮の御方】-紅梅大納言の大君。麗景殿女御。<BR>⏎ | 142 | 【春宮の御方】-紅梅大納言の大君。麗景殿女御。<BR>⏎ |
156 | 【この宮をだに気近くて見たてまつらばや】-若君の心中。匂宮を姉宮の御方の婿君として拝したい、意。<BR>⏎ | 143 | ||
d1 | 157 | <P>⏎ | ||
note43 | 158 | <A NAME="in24">[第四段 按察使大納言と匂宮、和歌を贈答]</A><BR> | 144 | |
c1 | 159 | 【これは昨日の御返なれば見せたてまつる】-『集成』は「心進まぬながら、の気持」と注す。<BR>⏎ | 145 | 【これは、昨日の御返りなれば見せたてまつる】-『集成』は「心進まぬながら、の気持」と注す。<BR>⏎ |
160 | 【ねたげにものたまへるかな】-以下「見所少なくやならまし」まで、大納言の詞。<BR>⏎ | 146 | ||
161 | 【あまり好きたる方にすすみたまへるを】-『集成』は「あまりに風流好みの度が過ぎていらっしゃるのを」。『完訳』は「あまりに好色がましくいらっしゃるのを」と訳す。<BR>⏎ | 147 | ||
162 | 【あだ人とせむに】-『集成』は「粋人と申しても」。『完訳』は「好色人の資格も」と注す。<BR>⏎ | 148 | ||
163 | 【今日も参らせたまふに】-大納言が若君を匂宮のもとへ。<BR>⏎ | 149 | ||
c1 | 164 | 【本つ香の匂へる君が袖触れば花もえならぬ名をや散らさむ】-大納言から匂宮への贈歌。「花」は娘の中君を喩える。『花鳥余情』は「元の香のあるだにあるを梅の花いとど匂ひの遥かなるかな」(兼輔集)を引歌として指摘する。<BR>⏎ | 150 | 【本つ香の匂へる君が袖触れば--花もえならぬ名をや散らさむ】-大納言から匂宮への贈歌。「花」は娘の中君を喩える。『花鳥余情』は「元の香のあるだにあるを梅の花いとど匂ひの遥かなるかな」(兼輔集)を引歌として指摘する。<BR>⏎ |
165 | 【まことに】-以下「あるにや」まで、匂宮の心中。<BR>⏎ | 151 | ||
c1 | 166 | 【花の香を匂はす宿に訪めゆかば色にめづとや人の咎めむ】-匂宮の返歌。<BR>⏎ | 152 | 【花の香を匂はす宿に訪めゆかば--色にめづとや人の咎めむ】-匂宮の返歌。<BR>⏎ |
167 | 【心やましと思ひゐたまへり】-主語は大納言。『集成』は「不満に思っていられる」。『完訳』は「もどかしいお気持でいらっしゃる」と訳す。<BR>⏎ | 153 | ||
168 | 【北の方まかでたまひて】-真木柱。継娘の大君に付き添っていた。<BR>⏎ | 154 | ||
169 | 【若君の】-以下「見えざりしを」まで、北の方の詞。<BR>⏎ | 155 | ||
c1 | 170 | 【宮のいと思ほしよりて】-東宮がすばやく気がついて、の意。<BR>⏎ | 156 | 【宮の、いと思ほし寄りて】-東宮がすばやく気がついて、の意。<BR>⏎ |
171 | 【兵部卿宮に】-以下「我をばすさめたり」まで、東宮の詞を引用。<BR>⏎ | 157 | ||
172 | 【ここに御消息やありし】-こちらから匂宮に手紙を差し上げなかったか、の意。<BR>⏎ | 158 | ||
173 | 【さかし】-以下「さることぞかし」まで、大納言の詞。<BR>⏎ | 159 | ||
174 | 【晴れまじらひしたまはむ女などはさはえしめぬかな】-『完訳』は「晴れがましい宮廷勤めをなさるような女なども、あんなにはたきしめられない。やや不審の行文」と注す。<BR>⏎ | 160 | ||
175 | 【源中納言は】-薫。<BR>⏎ | 161 | ||
176 | 【梅は生ひ出でけむ根こそあはれなれ】-『集成』は「(芳香のある)梅は、生い出たものとねざしがゆかしく思われることです。薫の前世の因縁ということから、梅はどうしてあれほどの芳香あるのだろうか、と言う」と注す。『完訳』は「梅は生き立ちの素姓が殊勝ですね」と訳す。<BR>⏎ | 162 | ||
d1 | 177 | <P>⏎ | ||
note43 | 178 | <A NAME="in25">[第五段 匂宮、宮の御方に執心]</A><BR> | 163 | |
c1 | 179 | 【人に見え世づきたらむありまはさらにと思し離れたり】-『完訳』は「結婚して世間並に暮すのは。連れ子のきびしい状況に置かれてもいるが、控え目すぎる性格からも結婚には無関心」と注す。<BR>⏎ | 164 | 【「人に見え、世づきたらむありさまは、さらに」と思し離れたり】-『完訳』は「結婚して世間並に暮すのは。連れ子のきびしい状況に置かれてもいるが、控え目すぎる性格からも結婚には無関心」と注す。<BR>⏎ |
180 | 【世の人も時に寄る心ありてにや】-「にや」語り手の推測を介在させた句。<BR>⏎ | 165 | ||
181 | 【さし向ひたる御方々には】-両親揃っている姫君たちの意。大納言の大君・中君には継母ではあるが二親揃っている。しかし宮の御方は連れ子で片親であるという文脈。『集成』は「現に父君のいらっしゃる姫君たちには」。『完訳』は「本妻腹の御方々には」と訳す。<BR>⏎ | 166 | ||
182 | 【御ふさひの方に】-「ふさひ」は、ふさわしい意。<BR>⏎ | 167 | ||
183 | 【大納言の君深く心かけきこえたまひて】-『集成』は「夫の大納言は。以下、匂宮の文通のことを知っての北の方(真木柱)の思い。それで「大納言の君」という」と注す。<BR>⏎ | 168 | ||
184 | 【ひき違へて】-以下「かひなげなること」まで、北の方の詞。<BR>⏎ | 169 | ||
185 | 【何かは人の】-以下「見えさせたまふに」まで、北の方の心中。匂宮と宮の御方を許す気持ち。<BR>⏎ | 170 | ||
186 | 【八の宮の姫君にも】-宇治八の宮の中君。『新大系』は「桐壺院の第八皇子であることが橋姫巻で紹介される。ここで唐突にも「八の宮の姫君」に匂宮が通うことが記されていることで、当巻の成立・巻序・年立などでさまざまな問題を生む」と注す。<BR>⏎ | 171 | ||
187 | 【まめやかには思ほし絶えたるを】-主語は北の方。<BR>⏎ | 172 | ||
cd3:1 | 188-190 | 【かたじけなきを】-『完訳』は「匂宮の高貴な身が畏れ多いとだけ。体よく断る口実である」と注す。<BR>⏎ ⏎ <P>⏎ | 173 | 【かたじけなきばかりに】-『完訳』は「匂宮の高貴な身が畏れ多いとだけ。体よく断る口実である」と注す。<BR>⏎ |
191 | <A HREF="index.html">源氏物語の世界ヘ</A><BR>⏎ | 174 | ||
192 | <A HREF="text43.html">本文</A><BR>⏎ | 175 | ||
193 | <A HREF="roman43.html">ローマ字版 </A><BR>⏎ | 176 | ||
194 | <A HREF="version43.html">現代語訳 </A><BR>⏎ | 177 | ||
195 | <A HREF="data43.html">大島本</A><BR>⏎ | 178 | ||
196 | <A HREF="okuiri43.html">自筆本奥入</A><BR>⏎ | 179 | ||
d1 | 197 | ⏎ | ||
198 | <hr size="4">⏎ | 180 | ||
199 | </body>⏎ | 181 | ||
200 | </HTML>⏎ | 182 | ||
i0 | 184 |