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 5<meta name="GENERATOR" content="IBM WebSphere Studio Homepage Builder Version 14.0.3.0 for Windows">⏎5 
 6<TITLE>紅梅(大島本)</TITLE>⏎6 
 7</HEAD>⏎7 
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8<BODY>⏎
note439<ADDRESS>Last updated 2/17/2002<BR>9 
note4310渋谷栄一注釈(ver.1-1-2)</ADDRESS>10 
d111<P>⏎
 12  <H3>紅梅</H3>⏎11 
d113<P>⏎
 14 [底本]<BR>⏎12 
 15財団法人古代学協会・古代学研究所編 角田文衛・室伏信助監修『大島本 源氏物語』第八巻 一九九六年 角川書店<BR>⏎13 
d116<P>⏎
 17 [参考文献]<BR>⏎14 
 18池田亀鑑編著『源氏物語大成』第三巻「校異篇」一九五六年 中央公論社<BR>⏎15 
d119<P>⏎
 20阿部秋生・秋山 虔・今井源衛・鈴木日出男校注・訳『古典セレクション 源氏物語』第十二巻 一九九八年 小学館<BR>⏎16 
 21柳井 滋・室伏信助・大朝雄二・鈴木日出男・藤井貞和・今西祐一郎校注『新日本古典文学大系 源氏物語』第四巻 一九九六年 岩波書店<BR>⏎17 
 22阿部秋生・秋山 虔・今井源衛・鈴木日出男校注・訳『完訳日本の古典 源氏物語』第八巻 一九八七年 小学館<BR>⏎18 
 23石田穣二・清水好子校注『新潮日本古典集成 源氏物語』第六巻 一九八二年 新潮社<BR>⏎19 
 24阿部秋生・秋山 虔・今井源衛校注・訳『日本古典文学全集 源氏物語』第五巻 一九七五年 小学館<BR>⏎20 
 25玉上琢弥著『源氏物語評釈』第九巻 一九六七年 角川書店<BR>⏎21 
 26山岸徳平校注『日本古典文学大系 源氏物語』第四巻 一九六二年 岩波書店<BR>⏎22 
 27池田亀鑑校注『日本古典全書 源氏物語』第五巻 一九五四年 朝日新聞社<BR>⏎23 
d128<P>⏎
 29伊井春樹編『源氏物語引歌索引』一九七七年 笠間書院<BR>⏎24 
 30榎本正純篇著『源氏物語の草子地 諸注と研究』一九八二年 笠間書院<BR>⏎25 
d131<P>⏎
 32第一章 紅梅大納言家の物語 娘たちの結婚を思案<BR>⏎26 
 33<OL>⏎27 
 34<LI>按察使大納言家の家族---<A HREF="#in11">そのころ、按察使大納言と聞こゆるは</A>⏎28 
 35<LI>按察使大納言家の三姫君---<A HREF="#in12">君たち、同じほどに、すぎすぎおとなびたまひぬれば</A>⏎29 
 36<LI>宮の御方の魅力---<A HREF="#in13">殿は、つれづれなる心地して、西の御方は</A>⏎30 
 37<LI>按察使大納言の音楽談義---<A HREF="#in14">「月ごろ、何となくもの騒がしきほどに、御琴の音を</A>⏎31 
 38</OL>⏎32 
 39第二章 匂兵部卿の物語 宮の御方に執心<BR>⏎33 
 40<OL>⏎34 
 41<LI>按察使大納言、匂宮に和歌を贈る---<A HREF="#in21">若君、内裏へ参らむと、宿直姿にて参りたまへる</A>⏎35 
 42<LI>匂宮、若君と語る---<A HREF="#in22">中宮の上の御局より、御宿直所に出でたまふほどなり</A>⏎36 
 43<LI>匂宮、宮の御方を思う---<A HREF="#in23">「今宵は宿直なめり。やがてこなたにを</A>⏎37 
 44<LI>按察使大納言と匂宮、和歌を贈答---<A HREF="#in24">これは、昨日の御返りなれば見せたてまつる</A>⏎38 
 45<LI>匂宮、宮の御方に執心---<A HREF="#in25">宮の御方は、もの思し知るほどにねびまさりたまへば</A>⏎39 
 46</OL>⏎40 
d147<P>⏎
note4348 <H4>第一章 紅梅大納言家の物語 娘たちの結婚を思案</H4>41 
note4349 <A NAME="in11">[第一段 按察使大納言家の家族]</A><BR>42 
 50【そのころ】-『集成』は「漠然と時を指定する書き方。物語の冒頭の形式「今は昔」「昔」などに准ずるもので、後の橋姫、宿木、手習に同じ書き出しが見られる」。『完訳』は「語り出しの常套句。後文から、前巻より三、四年後と分る」。『新大系』は「匂宮巻と同じころで、夕霧右大臣の時代。「その比」で始まる巻として、他に橋姫・宿木・手習巻があり、続篇物語の際立った特徴。前帖に対して全く新しい人間関係の提示の際の常套句」と注す。<BR>⏎43 
 51【さしつぎよ】-「よ」間投助詞。語り手の口吻。<BR>⏎44 
 52【童より】-「賢木」巻に初登場、以後、「行幸」「夕霧」巻にも登場。<BR>⏎45 
 53【御おぼえ】-帝の御信望。<BR>⏎46 
 54【もとよりのは】-系図不詳の人。<BR>⏎47 
 55【後の太政大臣】-鬚黒。彼の太政大臣への昇進と死去の年月は不明。<BR>⏎48 
 56【式部卿宮にて】-祖父の式部卿宮が引き取って、宮家の姫君として、の意。<BR>⏎49 
 57【故兵部卿親王に】-蛍兵部卿宮に。<BR>⏎50 
c158二人のみぞ】-大君(麗景殿女御)と中の君。<BR>⏎
51【二人のみぞ】-大君(麗景殿女御)と中の君。<BR>⏎
 59【男君一人】-大夫の君と呼称される。<BR>⏎52 
 60【故宮の】-故蛍兵部卿宮と真木柱姫君との間に。<BR>⏎53 
 61【女君一所】-宮の御方と呼称される。<BR>⏎54 
 62【うるはしうもあらぬ心ばへ】-『集成』は「きれい事では割り切れぬ思い」。『完訳』は「公正に物事を処理できぬ身びいき。嫉妬し不信を抱き合う」と注す。<BR>⏎55 
 63【わが御方ざまに苦しかるべきことをも】-連れ子の宮の御方に関する事。<BR>⏎56 
d164<P>⏎
note4365 <A NAME="in12">[第二段 按察使大納言家の三姫君]</A><BR>57 
 66【父宮のおはせぬ心苦しきやうなれど】-宮の御方には父螢兵部卿宮がいない気の毒さ。<BR>⏎58 
 67【こなたかなたの御宝物】-父蛍宮や母方の曾祖父式部卿宮から贈られた宝物。<BR>⏎59 
 68【内裏春宮より】-今上帝(朱雀院の皇子)と東宮(今上の第一皇子、母明石の中宮)。以下「何の本意かはあらむ」まで、紅梅大納言の心中。<BR>⏎60 
c169【兵部卿宮のさも思しらば】-紅梅大納言の心中。<BR>⏎
61【兵部卿宮のさも思しらば】-紅梅大納言の心中。<BR>⏎
 70【この若君を】-紅梅大納言と真木柱の子、大夫の君。大君や中君とは異腹の兄弟。<BR>⏎62 
 71【内裏にてなど見つけたまふ時は】-主語は匂宮。<BR>⏎63 
 72【せうとを見て】-以下「大納言に申せよ」まで、匂宮の詞。姉にも逢いたい、の意。大夫の君には異腹の姉の大君(東宮の麗景殿女御)、中君と同父の姉の宮の御方とがいる。匂宮は連れ子の宮の御方に関心がある。<BR>⏎64 
 73【いとかひあり】-紅梅大納言の心中。匂宮が中君に関心を寄せているものと思い喜ぶ。しかし、匂宮は宮の御方に関心がある。<BR>⏎65 
 74【人に劣らむ宮仕ひよりは】-以下「宮の御さまなり」まで、紅梅大納言の詞。<BR>⏎66 
 75【春宮の御ことをいそぎたまひて】-大君の東宮への入内。<BR>⏎67 
 76【春日の神の御ことわりも】-以下「慰めのこともあらなむ」まで、紅梅大納言の心中。藤原氏から皇后が立后するという神託。<BR>⏎68 
 77【故大臣の院の女御】-紅梅大納言の父、故太政大臣の娘の冷泉帝の弘徽殿女御は、源氏の養女の秋好中宮に立后された悔しい思いがある。<BR>⏎69 
 78【北の方添ひて】-紅梅大納言の北の方、真木柱。継母が後見。<BR>⏎70 
d179<P>⏎
note4380 <A NAME="in13">[第三段 宮の御方の魅力]</A><BR>71 
 81【西の御方は】-中君。<BR>⏎72 
 82【一つに慣らひたまひて】-姉の大君と一緒にいることに慣れていた。<BR>⏎73 
 83【東の姫君も】-宮の御方。継母の真木柱と先夫蛍兵部卿宮との間の娘、連れ子。<BR>⏎74 
 84【こなたを師のやうに】-宮の御方を師匠のようにして。<BR>⏎75 
 85【誰れも】-大君や中君をさす。<BR>⏎76 
 86【もの恥ぢを世の常ならずしたまひて】-主語は宮の御方。以下、宮の御方の性格描写が続く。<BR>⏎77 
 87【わが方ざまをのみ思ひ急ぐやうなるも心苦しなど思して】-主語は紅梅大納言。<BR>⏎78 
 88【さるべからむさまに】-以下「仕うまつらめ」まで、紅梅大納言の詞。<BR>⏎79 
 89【さらにさやうの】-以下「過ぐしたまはなむ」まで、母北の方真木柱の詞。<BR>⏎80 
 90【世にあらむ限りは】-自分が生きているうちは。<BR>⏎81 
 91【世を背く方にても】-宮の御方が。『集成』は「出家して尼になるなりして、それなりに、人の物笑いになるような、軽はずみな失態を犯すことなくお過しになってほしいものです。つまらぬ男と浮き名の立つようなことはあってほしくない、と言う。父兵部卿の宮がいないというひけ目が、母にも適当な縁組を断念させているのであろう」と注す。<BR>⏎82 
 92【御心ばせの思ふやうなることをぞ】-宮の御方のすぐれた性質をいう。<BR>⏎83 
 93【いづれも分かず親がりたまへど】-紅梅大納言は実子も連れ子も同じように扱う。<BR>⏎84 
 94【上おはせぬほどは】-以下「心憂くこそ」まで、紅梅大納言の詞。母上は大君と共に宮中にいる。<BR>⏎85 
 95【この君にえしも】-以下「ありぬべかめり」まで、紅梅大納言の心中。<BR>⏎86 
cd2:196-97【世の中広きうちは】-『集成』は「この広い世間の内は、気を許せないものなのだ。どんな強敵がいるか分らない、意」。『完訳』は「世間付き合いの多い宮中では。後宮には予測しがたい、すぐれた妃の出現しがちなことを危ぶむ」と注す。<BR>⏎
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87【世の中広きうちは】-『集成』は「この広い世間の内は、気を許せないものなのだ。どんな強敵がいるか分らない、意」。『完訳』は「世間付き合いの多い宮中では。後宮には予測しがたい、すぐれた妃の出現しがちなことを危ぶむ」と注す。<BR>⏎
note4398 <A NAME="in14">[第四段 按察使大納言の音楽談義]</A><BR>88 
 99【月ごろ何となく】-以下「御琴参れ」まで、紅梅大納言の詞。<BR>⏎89 
 100【琵琶を心に入れてはべる】-中君は宮の御方から琵琶を習っている。『源氏物語』では琵琶は皇族の血を引く人がよく弾く楽器として登場。源典侍、明石御方、蛍兵部卿宮、宇治大君など。<BR>⏎90 
 101【うちとけても遊ばさねど】-主語は、あなた宮の御方。敬語表現。<BR>⏎91 
 102【昔おぼえはべる】-『集成』は「昔の世の音色そのままと思われます。昔の名手にも劣らないと、ほめる。尚古思想である」。『完訳』は「往年の琵琶の第一人者は宮の御方の実父蛍宮。ここはそれを回顧しない」と注す。<BR>⏎92 
 103【この御琴の音こそ】-あなたの琴の音色は。琴は総称、琵琶をさす。<BR>⏎93 
 104【隠れたてまつるも】-紅梅大納言に対しての敬意。<BR>⏎94 
 105【さぶらふ人さへかくもてなすがやすからぬ】-紅梅大納言の詞。『完訳』は「宮の御方への当てつけがましい言葉」と注す。<BR>⏎95 
d1106<P>⏎
note43107 <H4>第二章 匂兵部卿の物語 宮の御方に執心</H4>96 
note43108 <A NAME="in21">[第一段 按察使大納言、匂宮に和歌を贈る]</A><BR>97 
 109【若君】-紅梅大納言と真木柱の子、宮の御方の異父弟。<BR>⏎98 
 110【麗景殿に】-紅梅大納言の大君。<BR>⏎99 
 111【譲りきこえて】-以下「聞こえよ」まで、紅梅大納言の詞。若君への伝言。「譲りきこえ」の相手は、大君に付き添っている北の方。<BR>⏎100 
 112【笛すこし】-以下「若き笛を」まで、紅梅大納言の詞。<BR>⏎101 
 113【かたはらいたしや】-『完訳』は「卑下しながらも自慢する」と注す。<BR>⏎102 
 114【若き笛を】-「を」間投助詞、詠嘆の気持ち。<BR>⏎103 
 115【双調吹かせたまふ】-「せ」使役の助動詞。紅梅大納言が若君に。<BR>⏎104 
 116【けしうはあらずなりゆくは】-以下「掻き合はせさせたまへ」まで、紅梅大納言の詞、後半は宮の御方への詞。<BR>⏎105 
 117【このわたりにて】-宮の御方をさす。<BR>⏎106 
 118【皮笛ふつつかに馴れたる声して】-主語は紅梅大納言。口笛を吹く。<BR>⏎107 
 119【御前の花】-以下「知る人ぞ知る」まで、大納言の若君(大夫の君)への詞。<BR>⏎108 
 120【知る人ぞ知る】-『源氏釈』は「君ならで誰にか見せむ梅の花色をも香をも知る人ぞ知る」(古今集春上、三八、紀友則)を指摘。<BR>⏎109 
 121【あはれ光る源氏】-以下「とこそおぼえはべれ」まで、大納言の詞。<BR>⏎110 
 122【この宮たちを】-匂宮や薫。<BR>⏎111 
 123【なほたぐひあらじ】-源氏をさす。<BR>⏎112 
c1124【ついでのしのびがたきにや】-語り手の推測。<BR>⏎
113【ついでのびがたきにや】-語り手の推測。<BR>⏎
 125【いかがはせむ】-以下「聞こえをかさむかし」まで、大納言の詞。<BR>⏎114 
cd2:1126-127【心ありて風の匂はす園の梅にまづ鴬の訪はずやあるべき】-大納言の詠歌。『完訳』は「「梅」は大納言の中の君、「鴬」は匂宮。二人の縁組を望む歌」と注す。『河海抄』は「あらたまの年行きかへり春立たばまづ我が家戸に鴬は鳴け」(万葉集二十、大伴家持)を指摘。『休聞抄』は「花の香を風の便りにたぐへてぞ鴬誘ふしるべにやせむ」(古今集春上、一三、紀友則)を指摘。<BR>⏎
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115【心ありて風の匂はす園の梅に--まづ鴬の訪はずやあるべき】-大納言の詠歌。『完訳』は「「梅」は大納言の中の君、「鴬」は匂宮。二人の縁組を望む歌」と注す。『河海抄』は「あらたまの年行きかへり春立たばまづ我が家戸に鴬は鳴け」(万葉集二十、大伴家持)を指摘。『休聞抄』は「花の香を風の便りにたぐへてぞ鴬誘ふしるべにやせむ」(古今集春上、一三、紀友則)を指摘。<BR>⏎
note43128 <A NAME="in22">[第二段 匂宮、若君と語る]</A><BR>116 
 129【殿上人あまた御送りに参る中に】-殿上人が匂宮を送る。<BR>⏎117 
 130【見つけたまひて】-匂宮が若君を。<BR>⏎118 
 131【昨日はなど】-以下「参りつるぞ」まで、匂宮の詞。<BR>⏎119 
 132【疾くまかではべりにし】-以下「参りつるや」まで、若君の詞。<BR>⏎120 
 133【内裏ならで】-以下「集まる所ぞ」まで、匂宮の詞。<BR>⏎121 
 134【心やすき所にも】-匂宮の私邸の二条院。<BR>⏎122 
 135【春宮には】-以下「人悪ろかめり」まで、匂宮の詞。<BR>⏎123 
c2136-137【まつはさせたまへりしこそ】-以下「御前にはしも」まで、若君の詞。<BR>
給へり
(一四五四⑪)-給し大御横陽池肖柏本と三条西【我をば人げなしと】-以下「語らひきこえよ」まで、匂宮の詞。主語は大君。<BR>⏎
124-125【まつはさせたましこそ】-以下「御前にはしも」まで、若君の詞。<BR>【たまひ-給し大御横陽池肖柏本と三条西
【我をば人げなしと】-以下「語らひきこえよ」まで、匂宮の詞。主語は大君。<BR>⏎
 138【思ひ離れたるとな】-「とな」は、「と」格助詞、引用の意と「な」終助詞、詠嘆の意。<BR>⏎126 
c1139【古めかしき同じ筋にて東とこゆなるは】-『集成』は「世間にもてはやされぬ同じ宮家で、「東」とか、申し上げる方は」。『完訳』は「わたしと同じ古めかしい皇族筋の、東の君と申し上げるというお方が」と訳す。<BR>⏎
127【古めかしき同じ筋にて東とこゆなるは】-『集成』は「世間にもてはやされぬ同じ宮家で、「東」とか、申し上げる方は」。『完訳』は「わたしと同じ古めかしい皇族筋の、東の君と申し上げるというお方が」と訳す。<BR>⏎
 140【この花を】-紅梅。<BR>⏎128 
c1141【怨みてならましかば】-匂宮の心。『異本紫明抄』は「恨みての後さへ人のつらからばいかにいひてかねをもなかまし」(拾遺集恋五、九八五、読人しらず)を引歌として指摘。<BR>⏎
129【怨みてのちならましかば】-匂宮の心。『異本紫明抄』は「恨みての後さへ人のつらからばいかにいひてかねをもなかまし」(拾遺集恋五、九八五、読人しらず)を引歌として指摘。<BR>⏎
 142【園に匂へる紅の】-以下「咲きけるかな」まで、匂宮の詞。『異本紫明抄』は「紅に色をばかへて梅の花香にぞことごと匂はざりける」(後撰集春上、四四、躬恒)。『源注拾遺』は「梅の花香はことごとに匂はねど薄く濃くこそ色は咲きけれ」(後拾遺集春上、五四、清原元輔)を引歌として指摘する。<BR>⏎130 
d1143<P>⏎
note43144 <A NAME="in23">[第三段 匂宮、宮の御方を思う]</A><BR>131 
 145【今宵は宿直なめりやがてこなたにを】-匂宮の詞。若君の装束を見ていう。<BR>⏎132 
 146【この花の主人はなど春宮には移ろひたまはざりし】-匂宮の詞。『集成』は「大納言は、中の君を(私でなく)どうして東宮にさし上げる気におなりでなかったのだろう。「花」は紅梅(中の君)、その「主人(あるじ)」は、大納言と見るべきであろう」。『完訳』は「宮の御方はなぜ東宮に参らないのか」と注す。『河海抄』は「春来てぞ人もとひける山里は花こそやどの主人なりけれ」(拾遺集雑春、一〇一五、右衛門督公任)。『孟津抄』は「東風吹かば匂ひおこせよ梅の花主人なしとて春を忘るな」(拾遺集雑春、一〇〇六、菅原道真)「菊の露わかゆばかりに袖濡れて花の主人に千代は譲らむ」(紫式部集)を引歌として指摘。「花」「移ろふ」は縁語。<BR>⏎133 
 147【知らず心知らむ人になどこそ聞きはべりしか】-若君の返事。『源氏釈』は「あたら夜の月と花とを同じくは心知れらむ人に見せばや」(後撰集春下、一〇三、源信明)。『花鳥余情』は「色も香もまづ我が宿の梅をこそ心知れらむ人は見に来め」(信明集)を引歌として指摘する。<BR>⏎134 
 148【わが方ざまに】-実の娘本意に、の意。<BR>⏎135 
c1149【花の香に誘はれぬべき身なりせば風のたよりを過ぐさましやは】-匂宮の大納言の贈歌への返歌。『集成』は「一応卑下して見せた体。贈歌と同じ『古今集』の歌(花の香を風のたよりにたぐへてぞ鴬さそふしるべにはやる)による」。『完訳』は「不似合いな自分だからとして断った歌」と注す。<BR>⏎
136【花の香に誘はれぬべき身なりせば--風のたよりを過ぐさましやは】-匂宮の大納言の贈歌への返歌。『集成』は「一応卑下して見せた体。贈歌と同じ『古今集』の歌(花の香を風のたよりにたぐへてぞ鴬さそふしるべにはやる)による」。『完訳』は「不似合いな自分だからとして断った歌」と注す。<BR>⏎
 150【なほ今は翁どもに】-以下「忍びやかに」まで、匂宮の詞。こっそりと宮の御方にわたりをつけてほしい、意。<BR>⏎137 
 151【東のをば】-宮の御方をさす。<BR>⏎138 
 152【なかなか異方の姫君は】-異腹の大君、中君をさす。<BR>⏎139 
 153【いと重りかにあらまほしう】-宮の御方の性質をさす。<BR>⏎140 
 154【かひあるさまにて見たてまつらばや】-若君の心。宮の御方と匂宮の結婚を望む。<BR>⏎141 
c1155宮の御方】-紅梅大納言の大君。麗景殿女御。<BR>⏎
142宮の御方】-紅梅大納言の大君。麗景殿女御。<BR>⏎
 156【この宮をだに気近くて見たてまつらばや】-若君の心中。匂宮を姉宮の御方の婿君として拝したい、意。<BR>⏎143 
d1157<P>⏎
note43158 <A NAME="in24">[第四段 按察使大納言と匂宮、和歌を贈答]</A><BR>144 
c1159【これは昨日の御返なれば見せたてまつる】-『集成』は「心進まぬながら、の気持」と注す。<BR>⏎
145【これは昨日の御返なれば見せたてまつる】-『集成』は「心進まぬながら、の気持」と注す。<BR>⏎
 160【ねたげにものたまへるかな】-以下「見所少なくやならまし」まで、大納言の詞。<BR>⏎146 
 161【あまり好きたる方にすすみたまへるを】-『集成』は「あまりに風流好みの度が過ぎていらっしゃるのを」。『完訳』は「あまりに好色がましくいらっしゃるのを」と訳す。<BR>⏎147 
 162【あだ人とせむに】-『集成』は「粋人と申しても」。『完訳』は「好色人の資格も」と注す。<BR>⏎148 
 163【今日も参らせたまふに】-大納言が若君を匂宮のもとへ。<BR>⏎149 
c1164【本つ香の匂へる君が袖触れば花もえならぬ名をや散らさむ】-大納言から匂宮への贈歌。「花」は娘の中君を喩える。『花鳥余情』は「元の香のあるだにあるを梅の花いとど匂ひの遥かなるかな」(兼輔集)を引歌として指摘する。<BR>⏎
150【本つ香の匂へる君が袖触れば--花もえならぬ名をや散らさむ】-大納言から匂宮への贈歌。「花」は娘の中君を喩える。『花鳥余情』は「元の香のあるだにあるを梅の花いとど匂ひの遥かなるかな」(兼輔集)を引歌として指摘する。<BR>⏎
 165【まことに】-以下「あるにや」まで、匂宮の心中。<BR>⏎151 
c1166【花の香を匂はす宿に訪めゆかば色にめづとや人の咎めむ】-匂宮の返歌。<BR>⏎
152【花の香を匂はす宿に訪めゆかば--色にめづとや人の咎めむ】-匂宮の返歌。<BR>⏎
 167【心やましと思ひゐたまへり】-主語は大納言。『集成』は「不満に思っていられる」。『完訳』は「もどかしいお気持でいらっしゃる」と訳す。<BR>⏎153 
 168【北の方まかでたまひて】-真木柱。継娘の大君に付き添っていた。<BR>⏎154 
 169【若君の】-以下「見えざりしを」まで、北の方の詞。<BR>⏎155 
c1170【宮のいと思ほしりて】-東宮がすばやく気がついて、の意。<BR>⏎
156【宮のいと思ほしりて】-東宮がすばやく気がついて、の意。<BR>⏎
 171【兵部卿宮に】-以下「我をばすさめたり」まで、東宮の詞を引用。<BR>⏎157 
 172【ここに御消息やありし】-こちらから匂宮に手紙を差し上げなかったか、の意。<BR>⏎158 
 173【さかし】-以下「さることぞかし」まで、大納言の詞。<BR>⏎159 
 174【晴れまじらひしたまはむ女などはさはえしめぬかな】-『完訳』は「晴れがましい宮廷勤めをなさるような女なども、あんなにはたきしめられない。やや不審の行文」と注す。<BR>⏎160 
 175【源中納言は】-薫。<BR>⏎161 
 176【梅は生ひ出でけむ根こそあはれなれ】-『集成』は「(芳香のある)梅は、生い出たものとねざしがゆかしく思われることです。薫の前世の因縁ということから、梅はどうしてあれほどの芳香あるのだろうか、と言う」と注す。『完訳』は「梅は生き立ちの素姓が殊勝ですね」と訳す。<BR>⏎162 
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note43178 <A NAME="in25">[第五段 匂宮、宮の御方に執心]</A><BR>163 
c1179【人に見え世づきたらむありまはさらにと思し離れたり】-『完訳』は「結婚して世間並に暮すのは。連れ子のきびしい状況に置かれてもいるが、控え目すぎる性格からも結婚には無関心」と注す。<BR>⏎
164人に見え世づきたらむありまはさらにと思し離れたり】-『完訳』は「結婚して世間並に暮すのは。連れ子のきびしい状況に置かれてもいるが、控え目すぎる性格からも結婚には無関心」と注す。<BR>⏎
 180【世の人も時に寄る心ありてにや】-「にや」語り手の推測を介在させた句。<BR>⏎165 
 181【さし向ひたる御方々には】-両親揃っている姫君たちの意。大納言の大君・中君には継母ではあるが二親揃っている。しかし宮の御方は連れ子で片親であるという文脈。『集成』は「現に父君のいらっしゃる姫君たちには」。『完訳』は「本妻腹の御方々には」と訳す。<BR>⏎166 
 182【御ふさひの方に】-「ふさひ」は、ふさわしい意。<BR>⏎167 
 183【大納言の君深く心かけきこえたまひて】-『集成』は「夫の大納言は。以下、匂宮の文通のことを知っての北の方(真木柱)の思い。それで「大納言の君」という」と注す。<BR>⏎168 
 184【ひき違へて】-以下「かひなげなること」まで、北の方の詞。<BR>⏎169 
 185【何かは人の】-以下「見えさせたまふに」まで、北の方の心中。匂宮と宮の御方を許す気持ち。<BR>⏎170 
 186【八の宮の姫君にも】-宇治八の宮の中君。『新大系』は「桐壺院の第八皇子であることが橋姫巻で紹介される。ここで唐突にも「八の宮の姫君」に匂宮が通うことが記されていることで、当巻の成立・巻序・年立などでさまざまな問題を生む」と注す。<BR>⏎171 
 187【まめやかには思ほし絶えたるを】-主語は北の方。<BR>⏎172 
cd3:1188-190【かたじけなき】-『完訳』は「匂宮の高貴な身が畏れ多いとだけ。体よく断る口実である」と注す。<BR>⏎

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173【かたじけなきばかりに】-『完訳』は「匂宮の高貴な身が畏れ多いとだけ。体よく断る口実である」と注す。<BR>⏎
 191<A HREF="index.html">源氏物語の世界ヘ</A><BR>⏎174 
 192<A HREF="text43.html">本文</A><BR>⏎175 
 193<A HREF="roman43.html">ローマ字版 </A><BR>⏎176 
 194<A HREF="version43.html">現代語訳 </A><BR>⏎177 
 195<A HREF="data43.html">大島本</A><BR>⏎178 
 196<A HREF="okuiri43.html">自筆本奥入</A><BR>⏎179 
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 198<hr size="4">⏎180 
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