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 1<HTML>⏎1 
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 5<meta name="GENERATOR" content="IBM WebSphere Studio Homepage Builder Version 14.0.3.0 for Windows">⏎5 
 6<TITLE>梅枝(大島本)</TITLE>⏎6 
 7</HEAD>⏎7 
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First updated 9/20/1996(ver.1-1)<BR>⏎
8<BODY>⏎
cd3:210-12Last updated 9/21/2010(ver.2-3)<BR>⏎
渋谷栄一校訂(C)<BR>⏎
<P
>⏎
9-10<ADDRESS>Last updated 9/21/2010(ver.2-3)<BR>⏎
渋谷栄一校訂(C)</ADDRESS>⏎
 13  <H3>梅枝</H3>⏎11 
d114<P>⏎
 15光る源氏の太政大臣時代三十九歳一月から二月までの物語<BR>⏎12 
d116<P>⏎
 17 [主要登場人物]<BR>⏎13 
 18<DL>⏎14 
 19<DT> 光る源氏<ひかるげんじ><BR>⏎15 
 20<DD>呼称---大臣・大殿・殿、三十九歳<BR>⏎16 
 21<DT> 夕霧<ゆうぎり><BR>⏎17 
 22<DD>呼称---宰相中将・宰相の君、光る源氏の長男<BR>⏎18 
 23<DT> 内大臣<ないだいじん>⏎19 
 24<DD>呼称---内の大殿・内の大臣・大臣<BR>⏎20 
 25<DT> 柏木<かしわぎ><BR>⏎21 
 26<DD>呼称---頭中将<BR>⏎22 
 27<DT> 紫の上<むらさきのうえ><BR>⏎23 
 28<DD>呼称---対の上・上<BR>⏎24 
 29<DT> 花散里<はなちるさと><BR>⏎25 
 30<DD>呼称---夏の御方<BR>⏎26 
 31<DT> 秋好中宮<あきこのむちゅうぐう><BR>⏎27 
 32<DD>呼称---中宮・宮<BR>⏎28 
 33<DT> 蛍兵部卿宮<ほたるひょうぶきょうのみや><BR>⏎29 
 34<DD>呼称---兵部卿宮・宮・親王<BR>⏎30 
 35<DT> 明石御方<あかしのおおんかた><BR>⏎31 
 36<DD>呼称---冬の御方・母君<BR>⏎32 
 37<DT> 明石姫君<あかしのひめぎみ><BR>⏎33 
 38<DD>呼称---御方<BR>⏎34 
 39<DT> 東宮<とうぐう><BR>⏎35 
 40<DD>呼称---春宮・宮<BR>⏎36 
 41<DT> 雲居雁<くもいのかり><BR>⏎37 
 42<DD>呼称---姫君・女、内大臣の娘、夕霧の恋人<BR>⏎38 
 43</DL>⏎39 
d144<P>⏎
 45第一章 光る源氏の物語 薫物合せ<BR>⏎40 
 46<OL>⏎41 
 47<LI>六条院の薫物合せの準備---<A HREF="#in11">御裳着のこと、思しいそぐ御心おきて</A>⏎42 
 48<LI>二月十日、薫物合せ---<A HREF="#in12">二月の十日、雨すこし降りて、御前近き紅梅盛りに</A>⏎43 
 49<LI>御方々の薫物---<A HREF="#in13">このついでに、御方々の合はせたまふども</A>⏎44 
 50<LI>薫物合せ後の饗宴---<A HREF="#in14">月さし出でぬれば、大御酒など参りて</A>⏎45 
 51</OL>⏎46 
 52第二章 光る源氏の物語 明石の姫君の裳着<BR>⏎47 
 53<OL>⏎48 
 54<LI>明石の姫君の裳着---<A HREF="#in21">かくて、西の御殿に、戌の時に渡りたまふ</A>⏎49 
 55<LI>明石の姫君の入内準備---<A HREF="#in22">春宮の御元服は、二十余日のほどになむありける</A>⏎50 
 56<LI>源氏の仮名論議---<A HREF="#in23">「よろづのこと、昔には劣りざまに</A>⏎51 
 57<LI>草子執筆の依頼---<A HREF="#in24">墨、筆、並びなく選り出でて、例の所々に</A>⏎52 
 58<LI>兵部卿宮、草子を持参---<A HREF="#in25">「兵部卿宮渡りたまふ」と聞こゆれば</A>⏎53 
 59<LI>他の人々持参の草子---<A HREF="#in26">左衛門督は、ことことしうかしこげなる筋をのみ</A>⏎54 
 60<LI>古万葉集と古今和歌集---<A HREF="#in27">今日はまた、手のことどものたまひ暮らし</A>⏎55 
 61</OL>⏎56 
 62第三章 内大臣家の物語 夕霧と雲居雁の物語<BR>⏎57 
 63<OL>⏎58 
 64<LI>内大臣家の近況---<A HREF="#in31">内の大臣は、この御いそぎを、人の上にて</A>⏎59 
 65<LI>源氏、夕霧に結婚の教訓---<A HREF="#in32">大臣は、「あやしう浮きたるさまかな」と</A>⏎60 
 66<LI>夕霧と雲居の雁の仲---<A HREF="#in33">かやうなる御諌めにつきて、戯れにても</A>⏎61 
 67</OL>⏎62 
d168<P>⏎
 69<A HREF="#in41">【出典】</A><BR>⏎63 
 70<A HREF="#in42">【校訂】</A><BR>⏎64 
d171<P>⏎
text3272 <H4>第一章 光る源氏の物語 薫物合せ</H4>65 
text3273 <A NAME="in11">[第一段 六条院の薫物合せの準備]</A><BR>66 
d174<P>⏎
 75 御裳着のこと、思しいそぐ御心おきて、世の常ならず。春宮も同じ二月に、御かうぶりのことあるべければ、やがて御参りもうち続くべきにや。<BR>⏎67 
d176<P>⏎
cd2:177-78 正月の晦日なれば、公私のどやかなるころほひに、薫物合はせたまふ。大弐の奉れる香ども御覧ずるに、「なほいにしへのには劣りてやあらむ」と思して、二条院の御倉開けさせたまひて、唐の物ども取り渡させたまひて、御覧じ比ぶるに、<BR>⏎
<P>⏎
68 正月の晦日なれば、公私のどやかなるころほひに、薫物合はせたまふ。大弐の奉れる香ども御覧ずるに、「なほいにしへのには劣りてやあらむ」と思して、二条院の御倉開けさせたまひて、唐の物ども取り渡させたまひて、御覧じ比ぶるに、<BR>⏎
 79 「錦、綾なども、なほ古きものこそなつかしうこまやかにはありけれ」<BR>⏎69 
d180<P>⏎
cd2:181-82 とて近き御しつらひの、物の覆ひ、敷物、茵などの端どもに、故院の御世の初めつ方、高麗人のたてまつれりける綾、緋金錦どもなど、今の世のものに似ず、なほさまざま御覧じあてつつせさせたまひて、このたびの綾、羅などは、人びとに賜はす。<BR>⏎
<P>⏎
70 とて近き御しつらひの、物の覆ひ、敷物、茵などの端どもに、故院の御世の初めつ方、高麗人のたてまつれりける綾、緋金錦どもなど、今の世のものに似ず、なほさまざま御覧じあてつつせさせたまひて、このたびの綾、羅などは、人びとに賜はす。<BR>⏎
 83 香どもは、昔今の、取り並べさせたまひて、御方々に配りたてまつらせたまふ。<BR>⏎71 
d184<P>⏎
 85 「二種づつ合はせさせたまへ」<BR>⏎72 
d186<P>⏎
cd2:187-88 と聞こえさせたまへり。贈り物、上達部の禄など、世になきさまに、内にも外にも、ことしげくいとなみたまふに添へて、方々に選りととのへて、鉄臼の音耳かしかましきころなり。<BR>⏎
<P>⏎
73 と聞こえさせたまへり。贈り物、上達部の禄など、世になきさまに、内にも外にも、ことしげくいとなみたまふに添へて、方々に選りととのへて、鉄臼の音耳かしかましきころなり。<BR>⏎
 89 大臣は、寝殿に離れおはしまして、<A HREF="#k01">承和</A><A NAME="t01">の</A>御いましめの二つの方を、いかでか御耳には伝へたまひけむ、心にしめて合はせたまふ。<BR>⏎74 
d190<P>⏎
 91 上は、東の中の放出に、御しつらひことに深うしなさせたまひて、八条の式部卿の御方を伝へて、かたみに挑み合はせたまふほど、いみじう秘したまへば、<BR>⏎75 
d192<P>⏎
 93 「匂ひの深さ浅さも、勝ち負けの定めあるべし」<BR>⏎76 
d194<P>⏎
 95 と大臣のたまふ。人の御親げなき<A HREF="#k02">御あらそひ</A><A NAME="t02">心</A>なり。<BR>⏎77 
d196<P>⏎
 97 いづ方にも、御前にさぶらふ人あまたならず。御調度どもも、そこらのきよらを尽くしたまへるなかにも、香壺の御筥どものやう、壺の姿、火取りの心ばへも、目馴れぬさまに、今めかしう、やう変へさせたまへるに、所々の心を尽くしたまへらむ匂ひどもの、すぐれたらむどもを、かぎあはせて入れむと思すなりけり。<BR>⏎78 
d198<P>⏎
text3299 <A NAME="in12">[第二段 二月十日、薫物合せ]</A><BR>79 
d1100<P>⏎
 101 二月の十日、雨すこし降りて、御前近き紅梅盛りに、色も香も似るものなきほどに、兵部卿宮渡りたまへり。御いそぎの今日明日になりにけることども、訪らひきこえたまふ。昔より取り分きたる御仲なれば、隔てなく、そのこと<A HREF="#k03">かのこと、と</A><A NAME="t03">聞</A>こえあはせたまひて、花をめでつつおはするほどに、前斎院よりとて、散りすきたる梅の枝につけたる御文持て参れり。宮、聞こしめすこともあれば、<BR>⏎80 
d1102<P>⏎
 103 「いかなる御消息のすすみ参れるにか」<BR>⏎81 
d1104<P>⏎
cd2:1105-106 とてをかしと思したれば、ほほ笑みて、<BR>⏎
<P>⏎
82 とてをかしと思したれば、ほほ笑みて、<BR>⏎
 107 「いと馴れ馴れしきこと聞こえつけたりしを、まめやかに急ぎものしたまへるなめり」<BR>⏎83 
d1108<P>⏎
cd2:1109-110 とて御文は引き隠したまひつ。<BR>⏎
<P>⏎
84 とて御文は引き隠したまひつ。<BR>⏎
 111 沈の筥に、瑠璃の坏二つ据ゑて、大きにまろがしつつ入れたまへり。心葉、紺瑠璃には五葉の枝、白きには梅を選りて、同じくひき結びたる糸のさまも、なよびやかになまめかしうぞしたまへる。<BR>⏎85 
d1112<P>⏎
 113 「艶あるもののさまかな」<BR>⏎86 
d1114<P>⏎
cd5:2115-119 とて御目止めたまへるに、<BR>⏎
<P>⏎
 「花の香は散りにし枝にとまらねど<BR>⏎
  うつらむ袖に浅くしまめや」<BR>⏎
<P>⏎
87-88 とて御目止めたまへるに、<BR>⏎
 「花の香は散りにし枝にとまらねど<BR>  うつらむ袖に浅くしまめや」<BR>⏎
 120 ほのかなるを御覧じつけて、宮はことことしう誦じたまふ。<BR>⏎89 
d1121<P>⏎
 122 宰相中将、御使尋ねとどめさせたまひて、いたう酔はしたまふ。紅梅襲の唐の細長添へたる女の装束かづけたまふ。御返りもその色の紙にて、御前の花を折らせてつけさせたまふ。<BR>⏎90 
d1123<P>⏎
 124 宮、<BR>⏎91 
d1125<P>⏎
 126 「うちのこと思ひやらるる御文かな。何ごとの隠ろへあるにか、深く隠したまふ」<BR>⏎92 
d1127<P>⏎
 128 と恨みて、いとゆかしと思したり。<BR>⏎93 
d1129<P>⏎
 130 「何ごとかはべらむ。隈々しく思したるこそ、苦しけれ」<BR>⏎94 
d1131<P>⏎
cd5:2132-136 とて御硯のついでに、<BR>⏎
<P>⏎
 「<A HREF="#no1">花の枝にいとど心を</A><A NAME="te1">し</A>むるかな<BR>⏎
  人のとがめむ香をばつつめど」<BR>⏎
<P>⏎
95-96 とて御硯のついでに、<BR>⏎
 「<A HREF="#no1">花の枝にいとど心を</A><A NAME="te1">し</A>むるかな<BR>  人のとがめむ香をばつつめど」<BR>⏎
 137 とやありつらむ。<BR>⏎97 
d1138<P>⏎
 139 「まめやかには、好き好きしきやうなれど、またもなかめる人の上にて、これこそはことわりのいとなみなめれと、思ひたまへなしてなむ。いと醜ければ、疎き人はかたはらいたさに、中宮まかでさせたてまつりてと思ひ<A HREF="#k04">たまふる</A><A NAME="t04">。</A>親しきほどに馴れきこえかよへど、恥づかしきところの深うおはする宮なれば、何ごとも世の常にて見せたてまつらむ、かたじけなくてなむ」<BR>⏎98 
d1140<P>⏎
cd6:3141-146 など聞こえたまふ。<BR>⏎
<P>⏎
 「あえものも、げにかならず思し寄るべきことなりけり」<BR>⏎
<P>⏎
 とことわり申したまふ。<BR>⏎
<P>⏎
99-101 など聞こえたまふ。<BR>⏎
 「あえものも、げにかならず思し寄るべきことなりけり」<BR>⏎
 とことわり申したまふ。<BR>⏎
text32147 <A NAME="in13">[第三段 御方々の薫物]</A><BR>102 
d1148<P>⏎
 149 このついでに、御方々の合はせたまふども、おのおの御使して、<BR>⏎103 
 150 「この夕暮れのしめりにこころみむ」<BR>⏎104 
 151 と聞こえたまへれば、さまざまをかしうしなして奉りたまへり。<BR>⏎105 
d1152<P>⏎
 153 「これ分かせたまへ。<A HREF="#no2">誰れにか見せむ</A><A NAME="te2">」</A><BR>⏎106 
d1154<P>⏎
 155 と聞こえたまひて、御火取りども召して、こころみさせたまふ。<BR>⏎107 
d1156<P>⏎
 157 「知る人にもあらずや」<BR>⏎108 
d1158<P>⏎
 159 と卑下したまへど、言ひ知らぬ匂ひどもの、進み遅れたる香一種などが、いささかの咎を分きて、あながちに劣りまさりのけぢめをおきたまふ。かのわが御二種のは、今ぞ取う出させたまふ。<BR>⏎109 
d1160<P>⏎
 161 右近の陣の御溝水のほとりになずらへて、西の渡殿の下より出づる汀近う<A HREF="#k05">埋ませ</A><A NAME="t05">た</A>まへるを、惟光の宰相の子の兵衛尉、堀りて参れり。宰相中将、取りて伝へ参らせたまふ。宮、<BR>⏎110 
d1162<P>⏎
 163 「いと苦しき判者にも当たりてはべるかな。いと煙たしや」<BR>⏎111 
d1164<P>⏎
cd2:1165-166 と悩みたまふ。同じうこそは、いづくにも散りつつ広ごるべかめるを、人びとの心々に合はせたまへる、深さ浅さを、かぎあはせたまへるに、いと興あること多かり。<BR>⏎
<P>⏎
112 と悩みたまふ。同じうこそは、いづくにも散りつつ広ごるべかめるを、人びとの心々に合はせたまへる、深さ浅さを、かぎあはせたまへるに、いと興あること多かり。<BR>⏎
 167 さらにいづれともなき中に、斎院の御黒方、さいへども、心にくくしづやかなる匂ひ、ことなり。侍従は、大臣の<A HREF="#k06">御は</A><A NAME="t06">、</A>すぐれてなまめかしうなつかしき香なりと定めたまふ。<BR>⏎113 
d1168<P>⏎
 169 対の上の御は、三種ある中に、梅花、はなやかに今めかしう、すこしはやき心しつらひを添へて、めづらしき薫り加はれり。<BR>⏎114 
d1170<P>⏎
 171 「このころの<A HREF="#no3">風にたぐへむ</A><A NAME="te3">に</A>は、さらにこれにまさる匂ひあらじ」<BR>⏎115 
d1172<P>⏎
 173 とめでたまふ。<BR>⏎116 
d1174<P>⏎
cd2:1175-176 夏の御方には、人びとのかう心々に挑みたまふなる中に、数々にも立ち出でずやと、煙をさへ思ひ消えたまへる御心にて、ただ荷葉を一種合はせたまへり。さま変はりしめやかなる香して、あはれになつかし。<BR>⏎
<P>⏎
117 夏の御方には、人びとのかう心々に挑みたまふなる中に、数々にも立ち出でずやと、煙をさへ思ひ消えたまへる御心にて、ただ荷葉を一種合はせたまへり。さま変はりしめやかなる香して、あはれになつかし。<BR>⏎
 177 冬の御方にも、時々によれる匂ひの定まれるに消たれむもあいなしと思して、薫衣香の方のすぐれたるは、前の朱雀院のをうつさせたまひて、公忠朝臣の、ことに選び仕うまつれりし百歩の方など思ひ得て、世に似ずなまめかしさを取り集めたる、心おきてすぐれたりと、いづれをも無徳ならず定めたまふを、<BR>⏎118 
d1178<P>⏎
 179 「心ぎたなき判者なめり」<BR>⏎119 
d1180<P>⏎
 181 と聞こえたまふ。<BR>⏎120 
d1182<P>⏎
text32183 <A NAME="in14">[第四段 薫物合せ後の饗宴]</A><BR>121 
d1184<P>⏎
 185 月さし出でぬれば、大御酒など参りて、昔の御物語などしたまふ。霞める月の影心にくきを、雨の名残の風すこし吹きて、花の香なつかしきに、御殿のあたり言ひ知らず匂ひ満ちて、人の御心地いと艶あり。<BR>⏎122 
d1186<P>⏎
 187 蔵人所の方にも、明日の御遊びのうちならしに、御琴どもの装束などして、殿上人などあまた参りて、をかしき笛の音ども聞こゆ。<BR>⏎123 
d1188<P>⏎
 189 内の大殿の頭中将、弁少将なども、見参ばかりにてまかづるを、とどめさせたまひて、御琴ども召す。<BR>⏎124 
d1190<P>⏎
cd2:1191-192 宮の御前に琵琶、大臣に<A HREF="#k07">箏の</A><A NAME="t07">御</A>琴参りて、頭中将、和琴賜はりて、はなやかに掻きたてたるほど、いとおもしろく聞こゆ。宰相中将、横笛吹きたまふ。折にあひたる調子、雲居とほるばかり吹きたてたり。弁少将拍子取りて、「<A HREF="#no4">梅が枝</A><A NAME="te4">」</A>出だしたるほど、<A HREF="#k08">いと</A><A NAME="t08">を</A>かし。童にて、韻塞ぎの折、「高砂」謡ひし君なり。宮も大臣もさしいらへしたまひて、ことことしからぬものから、をかしき夜の御遊びなり。<BR>⏎
<P>⏎
125 宮の御前に琵琶、大臣に<A HREF="#k07">箏の</A><A NAME="t07">御</A>琴参りて、頭中将、和琴賜はりて、はなやかに掻きたてたるほど、いとおもしろく聞こゆ。宰相中将、横笛吹きたまふ。折にあひたる調子、雲居とほるばかり吹きたてたり。弁少将拍子取りて、「<A HREF="#no4">梅が枝</A><A NAME="te4">」</A>出だしたるほど、<A HREF="#k08">いと</A><A NAME="t08">を</A>かし。童にて、韻塞ぎの折、「高砂」謡ひし君なり。宮も大臣もさしいらへしたまひて、ことことしからぬものから、をかしき夜の御遊びなり。<BR>⏎
 193 御土器参るに、宮、<BR>⏎126 
d1194<P>⏎
cd2:1195-196 「鴬の声にやいとどあくがれむ<BR>⏎
  心しめつる花のあたりに<BR>⏎
127 「鴬の声にやいとどあくがれむ<BR>  心しめつる花のあたりに<BR>⏎
 197 <A HREF="#no5">千代も経ぬべし</A><A NAME="te5">」</A><BR>⏎128 
d1198<P>⏎
 199 と聞こえたまへば、<BR>⏎129 
d1200<P>⏎
cd3:1201-203 「色も香もうつるばかりにこの春は<BR>⏎
  花咲く宿をかれずもあらなむ」<BR>⏎
<P>⏎
130 「色も香もうつるばかりにこの春は<BR>  花咲く宿をかれずもあらなむ」<BR>⏎
 204 頭中将に賜へば、取りて、宰相中将にさす。<BR>⏎131 
d1205<P>⏎
cd3:1206-208 「鴬のねぐらの枝もなびくまで<BR>⏎
  なほ吹きとほせ夜半の笛竹」<BR>⏎
<P>⏎
132 「鴬のねぐらの枝もなびくまで<BR>  なほ吹きとほせ夜半の笛竹」<BR>⏎
 209 宰相中将、<BR>⏎133 
d1210<P>⏎
cd2:1211-212 「心ありて風の避くめる花の木に<BR>⏎
  とりあへぬまで吹きや寄るべき<BR>⏎
134 「心ありて風の避くめる花の木に<BR>  とりあへぬまで吹きや寄るべき<BR>⏎
 213 情けなく」<BR>⏎135 
d1214<P>⏎
cd5:2215-219 と皆うち笑ひたまふ。弁少将、<BR>⏎
<P>⏎
 「霞だに月と花とを隔てずは<BR>⏎
  ねぐらの鳥もほころびなまし」<BR>⏎
<P>⏎
136-137 と皆うち笑ひたまふ。弁少将、<BR>⏎
 「霞だに月と花とを隔てずは<BR>  ねぐらの鳥もほころびなまし」<BR>⏎
 220 まことに、明け方になりてぞ、宮帰りたまふ。御贈り物に、みづからの御料の御直衣の御よそひ一領、手触れたまはぬ薫物二壺添へて、御車にたてまつらせたまふ。宮、<BR>⏎138 
d1221<P>⏎
cd3:1222-224 「花の香をえならぬ袖にうつしもて<BR>⏎
  ことあやまりと妹やとがめむ」<BR>⏎
<P>⏎
139 「花の香をえならぬ袖にうつしもて<BR>  ことあやまりと妹やとがめむ」<BR>⏎
 225 とあれば、<BR>⏎140 
d1226<P>⏎
 227 「いと屈したりや」<BR>⏎141 
d1228<P>⏎
 229 と笑ひたまふ。御車かくるほどに、<A HREF="#k09">追ひて</A><A NAME="t09">、</A><BR>⏎142 
d1230<P>⏎
cd3:1231-233 「めづらしと故里人も待ちぞ見む<BR>⏎
  花の錦を着て帰る君<BR>⏎
<P>⏎
143 「めづらしと故里人も待ちぞ見む<BR>  花の錦を着て帰る君<BR>⏎
 234 またなきことと思さるらむ」<BR>⏎144 
d1235<P>⏎
 236 とあれば、いといたうからがりたまふ。次々の君達にも、ことことしからぬさまに、細長、小袿などかづけたまふ。<BR>⏎145 
d1237<P>⏎
text32238 <H4>第二章 光る源氏の物語 明石の姫君の裳着</H4>146 
text32239 <A NAME="in21">[第一段 明石の姫君の裳着]</A><BR>147 
d1240<P>⏎
cd2:1241-242 かくて西の御殿に、戌の時に渡りたまふ。宮のおはします西の放出をしつらひて、御髪上の内侍なども、やがてこなたに参れり。上も、このついでに、中宮に御対面あり。御方々の女房、押しあはせたる、数しらず見えたり。<BR>⏎
<P>⏎
148 かくて西の御殿に、戌の時に渡りたまふ。宮のおはします西の放出をしつらひて、御髪上の内侍なども、やがてこなたに参れり。上も、このついでに、中宮に御対面あり。御方々の女房、押しあはせたる、数しらず見えたり。<BR>⏎
 243 子の時に御裳たてまつる。大殿油ほのかなれど、御けはひいとめでたしと、宮は見たてまつれたまふ。大臣、<BR>⏎149 
d1244<P>⏎
 245 「思し捨つまじきを頼みにて、なめげなる姿を、進み御覧ぜられはべるなり。後の世のためしにやと、心狭く忍び思ひたまふる」<BR>⏎150 
d1246<P>⏎
 247 など聞こえたまふ。宮、<BR>⏎151 
d1248<P>⏎
 249 「いかなるべきこととも思うたまへ分きはべらざりつるを、かうことことしうとりなさせたまふになむ、なかなか心おかれぬべく」<BR>⏎152 
d1250<P>⏎
cd2:1251-252 とのたまひ消つほどの御けはひ、いと若く愛敬づきたるに、大臣も、思すさまにをかしき御けはひどもの、さし集ひたまへるを、あはひめでたく思さる。母君の、かかる折だにえ見たてまつらぬを、いみじと思へりしも心苦しうて、参う上らせやせましと思せど、人のもの言ひをつつみて、過ぐしたまひつ。<BR>⏎
<P>⏎
153 とのたまひ消つほどの御けはひ、いと若く愛敬づきたるに、大臣も、思すさまにをかしき御けはひどもの、さし集ひたまへるを、あはひめでたく思さる。母君の、かかる折だにえ見たてまつらぬを、いみじと思へりしも心苦しうて、参う上らせやせましと思せど、人のもの言ひをつつみて、過ぐしたまひつ。<BR>⏎
 253 かかる所の儀式は、よろしきにだに、いとこと多くうるさきを、片端ばかり、例のしどけなくまねばむもなかなかにやとて、こまかに書かず。<BR>⏎154 
d1254<P>⏎
text32255 <A NAME="in22">[第二段 明石の姫君の入内準備]</A><BR>155 
d1256<P>⏎
 257 春宮の御元服は、二十余日のほどになむありける。いと大人しくおはしませば、人の女ども競ひ参らすべきことを、心ざし思すなれど、この殿の思しきざすさまの、いとことなれば、なかなかにてや交じらはむと、左の大臣なども、思しとどまるなるを聞こしめして、<BR>⏎156 
d1258<P>⏎
 259 「いとたいだいしきことなり。宮仕への筋は、あまたあるなかに、すこしのけぢめを挑まむこそ本意ならめ。そこらの警策の姫君たち、引き籠められなば、世に映えあらじ」<BR>⏎157 
d1260<P>⏎
 261 とのたまひて、御参り延びぬ。次々にもとしづめたまひけるを、かかるよし所々に聞きたまひて、<A HREF="#k10">左大臣殿の</A><A NAME="t10">三の君</A>参りたまひぬ。麗景殿と<A HREF="#k11">聞こゆ</A><A NAME="t11">。</A><BR>⏎158 
cd2:1262-263 この御方は、昔の御宿直所、淑景舎を改めしつらひて、御参り延びぬるを、宮にも心もとながらせたまへば、四月にと定めさせたまふ。御調度どもも、もとあるよりもととのへて、御みづからも、ものの下形絵様などをも御覧じ入れつつ、すぐれたる道々の上手どもを召し集めて、こまかに磨きととのへさせたまふ。<BR>⏎
<P>⏎
159 この御方は、昔の御宿直所、淑景舎を改めしつらひて、御参り延びぬるを、宮にも心もとながらせたまへば、四月にと定めさせたまふ。御調度どもも、もとあるよりもととのへて、御みづからも、ものの下形絵様などをも御覧じ入れつつ、すぐれたる道々の上手どもを召し集めて、こまかに磨きととのへさせたまふ。<BR>⏎
 264 草子の筥に入るべき草子どもの、やがて本にもしたまふべきを選らせたまふ。いにしへの上なき際の御手どもの、世に名を残したまへるたぐひのも、いと多くさぶらふ。<BR>⏎160 
d1265<P>⏎
text32266 <A NAME="in23">[第三段 源氏の仮名論議]</A><BR>161 
d1267<P>⏎
 268 「よろづのこと、昔には劣りざまに、浅くなりゆく世の末なれど、仮名のみなむ、今の世はいと際なくなりたる。古き跡は、定まれるやうにはあれど、広き心ゆたかならず、一筋に通ひてなむありける。<BR>⏎162 
d1269<P>⏎
 270 妙にをかしきことは、外よりてこそ書き出づる人びとありけれど、女手を心に入れて習ひし盛りに、こともなき手本多く集へたりしなかに、中宮の母御息所の、心にも入れず走り書いたまへりし一行ばかり、わざとならぬを得て、際ことにおぼえしはや。<BR>⏎163 
d1271<P>⏎
cd2:1272-273 さてあるまじき御名も立てきこえしぞかし。悔しきことに思ひしみたまへりしかど、さしもあらざりけり。宮にかく後見仕うまつることを、心深うおはせしかば、亡き御影にも見直したまふらむ。<BR>⏎
<P>⏎
164 さてあるまじき御名も立てきこえしぞかし。悔しきことに思ひしみたまへりしかど、さしもあらざりけり。宮にかく後見仕うまつることを、心深うおはせしかば、亡き御影にも見直したまふらむ。<BR>⏎
 274 宮の御手は、こまかにをかしげなれど、かどや後れたらむ」<BR>⏎165 
d1275<P>⏎
cd2:1276-277 とうちささめきて聞こえたまふ。<BR>⏎
<P>⏎
166 とうちささめきて聞こえたまふ。<BR>⏎
 278 「故入道宮の御手は、いとけしき深うなまめきたる筋はありしかど、弱きところありて、にほひぞすくなかりし。<BR>⏎167 
d1279<P>⏎
 280 院の尚侍こそ、今の世の上手におはすれど、あまりそぼれて癖ぞ添ひためる。さはありとも、かの君と、前斎院と、ここにとこそは、書きたまはめ」<BR>⏎168 
d1281<P>⏎
cd2:1282-283 と聴しきこえたまへば、<BR>⏎
<P>⏎
169 と聴しきこえたまへば、<BR>⏎
 284 「この数には、まばゆくや」<BR>⏎170 
d1285<P>⏎
 286 と聞こえたまへば、<BR>⏎171 
d1287<P>⏎
 288 「いたうな過ぐしたまひそ。にこやかなる方のなつかしさは、ことなるものを。真名のすすみたるほどに、仮名はしどけなき文字こそ混じるめれ」<BR>⏎172 
d1289<P>⏎
cd2:1290-291 とてまだ書かぬ草子ども作り加へて、表紙紐などいみじうせさせたまふ。<BR>⏎
<P>⏎
173 とてまだ書かぬ草子ども作り加へて、表紙紐などいみじうせさせたまふ。<BR>⏎
 292 「<A HREF="#k12">兵部卿宮</A><A NAME="t12">、</A>左衛門督などにものせむ。みづから一具は書くべし。けしきばみいますがりとも、え書き並べじや」<BR>⏎174 
d1293<P>⏎
cd2:1294-295 とわれぼめをしたまふ。<BR>⏎
<P>⏎
175 とわれぼめをしたまふ。<BR>⏎
text32296 <A NAME="in24">[第四段 草子執筆の依頼]</A><BR>176 
d1297<P>⏎
 298 墨、筆、並びなく選り出でて、例の所々に、ただならぬ御消息あれば、人びと、難きことに思して、返さひ申したまふもあれば、まめやかに聞こえたまふ。高麗の紙の薄様だちたるが、せめてなまめかしきを、<BR>⏎177 
d1299<P>⏎
cd4:2300-303 「このもの好みする若き人びと、試みむ」<BR>⏎
<P>⏎
 とて宰相中将、式部卿宮の兵衛督、内の大殿の頭中将などに、<BR>⏎
<P>⏎
178-179 「このもの好みする若き人びと、試みむ」<BR>⏎
 とて宰相中将、式部卿宮の兵衛督、内の大殿の頭中将などに、<BR>⏎
 304 「葦手、歌絵を、思ひ思ひに書け」<BR>⏎180 
d1305<P>⏎
 306 とのたまへば、皆心々に挑むべかめり。<BR>⏎181 
d1307<P>⏎
 308 例の寝殿に離れおはしまして書きたまふ。花ざかり過ぎて、<A HREF="#k13">浅緑</A><A NAME="t13">な</A>る空うららかなるに、古き言どもなど思ひすましたまひて、御心のゆく限り、草のも、ただのも、女手も、いみじう書き尽くしたまふ。<BR>⏎182 
d1309<P>⏎
cd2:1310-311 御前に人しげからず、女房二三人ばかり、墨など擦らせたまひて、ゆゑある古き集の歌など、いかにぞやなど選り出でたまふに、口惜しからぬ限りさぶらふ。<BR>⏎
<P>⏎
183 御前に人しげからず、女房二三人ばかり、墨など擦らせたまひて、ゆゑある古き集の歌など、いかにぞやなど選り出でたまふに、口惜しからぬ限りさぶらふ。<BR>⏎
 312 御簾上げわたして、脇息の上に草子うち置き、端近くうち乱れて、筆の尻くはへて、思ひめぐらしたまへるさま、飽く世なくめでたし。白き赤きなど、掲焉なる枚は、筆とり直し、用意したまへるさまさへ、見知らむ人は、<A HREF="#k14">げに</A><A NAME="t14">め</A>でぬべき御ありさまなり。<BR>⏎184 
d1313<P>⏎
text32314 <A NAME="in25">[第五段 兵部卿宮、草子を持参]</A><BR>185 
d1315<P>⏎
cd2:1316-317 「兵部卿宮渡りたまふ」と聞こゆれば、おどろきて御直衣たてまつり、御茵参り添へさせたまひて、やがて待ち取り、入れたてまつりたまふ。この宮もいときよげにて、御階さまよく歩み昇りたまふほど、内にも人びとのぞきて見たてまつる。うちかしこまりて、かたみにうるはしだちたまへるも、いときよらなり。<BR>⏎
<P>⏎
186 「兵部卿宮渡りたまふ」と聞こゆれば、おどろきて御直衣たてまつり、御茵参り添へさせたまひて、やがて待ち取り、入れたてまつりたまふ。この宮もいときよげにて、御階さまよく歩み昇りたまふほど、内にも人びとのぞきて見たてまつる。うちかしこまりて、かたみにうるはしだちたまへるも、いときよらなり。<BR>⏎
 318 「つれづれに籠もりはべるも、苦しきまで思うたまへらるる心ののどけさに、折よく渡らせたまへる」<BR>⏎187 
d1319<P>⏎
cd2:1320-321 とよろこびきこえたまふ。かの御草子待たせて渡りたまへるなりけり。やがて御覧ずれば、すぐれてしもあらぬ御手を、ただかたかどに、いといたう筆澄みたるけしきありて書きなしたまへり。歌も、ことさらめき、そばみたる古言どもを選りて、ただ三行ばかりに、文字少なに好ましくぞ書きたまへる。大臣、御覧じ驚きぬ。<BR>⏎
<P>⏎
188 とよろこびきこえたまふ。かの御草子待たせて渡りたまへるなりけり。やがて御覧ずれば、すぐれてしもあらぬ御手を、ただかたかどに、いといたう筆澄みたるけしきありて書きなしたまへり。歌も、ことさらめき、そばみたる古言どもを選りて、ただ三行ばかりに、文字少なに好ましくぞ書きたまへる。大臣、御覧じ驚きぬ。<BR>⏎
 322 「かうまでは思ひたまへずこそありつれ。さらに筆投げ捨てつべしや」<BR>⏎189 
d1323<P>⏎
cd2:1324-325 とねたがりたまふ。<BR>⏎
<P>⏎
190 とねたがりたまふ。<BR>⏎
 326 「かかる御中に面なくくだす筆のほど、さりともとなむ思う<A HREF="#k15">たまふる</A><A NAME="t15">」</A><BR>⏎191 
d1327<P>⏎
cd2:1328-329 など戯れたまふ。<BR>⏎
<P>⏎
192 など戯れたまふ。<BR>⏎
 330 書きたまへる草子どもも、隠したまふべきならねば、取う出たまひて、かたみに御覧ず。<BR>⏎193 
d1331<P>⏎
 332 唐の紙の、いとすくみたるに、草書きたまへる、すぐれてめでたしと見たまふに、高麗の紙の、肌こまかに和うなつかしきが、色などははなやかならで、なまめきたるに、おほどかなる女手の、うるはしう心とどめて書きたまへる、たとふべきかたなし。<BR>⏎194 
d1333<P>⏎
cd2:1334-335 見たまふ人の<A HREF="#no6">涙さへ、水茎に流れ</A><A NAME="te6">添</A>ふ心地して、飽く世あるまじきに、またここの紙屋の色紙の、色あひはなやかなるに、乱れたる草の歌を、筆にまかせて乱れ書きたまへる、見所限りなし。<A HREF="#no7">しどろもどろに</A><A NAME="te7">愛</A>敬づき、見まほしければ、さらに残りどもに目も見やりたまはず。<BR>⏎
<P>⏎
195 見たまふ人の<A HREF="#no6">涙さへ、水茎に流れ</A><A NAME="te6">添</A>ふ心地して、飽く世あるまじきに、またここの紙屋の色紙の、色あひはなやかなるに、乱れたる草の歌を、筆にまかせて乱れ書きたまへる、見所限りなし。<A HREF="#no7">しどろもどろに</A><A NAME="te7">愛</A>敬づき、見まほしければ、さらに残りどもに目も見やりたまはず。<BR>⏎
text32336 <A NAME="in26">[第六段 他の人々持参の草子]</A><BR>196 
d1337<P>⏎
cd2:1338-339 左衛門督は、ことことしうかしこげなる筋をのみ好みて書きたれど、筆の掟て澄まぬ心地して、いたはり加へたるけしきなり。歌なども、ことさらめきて選り書きたり。<BR>⏎
<P>⏎
197 左衛門督は、ことことしうかしこげなる筋をのみ好みて書きたれど、筆の掟て澄まぬ心地して、いたはり加へたるけしきなり。歌なども、ことさらめきて選り書きたり。<BR>⏎
 340 女の御は、まほにも取り出でたまはず。斎院のなどは、まして取う出たまはざりけり。葦手の草子どもぞ、心々にはかなうをかしき。<BR>⏎198 
d1341<P>⏎
cd2:1342-343 宰相中将のは、水の勢ひ豊に書きなし、そそけたる葦の生ひざまなど、難波の浦に通ひて、こなたかなたいきまじりて、いたう澄みたるところあり。またいといかめしうひきかへて、文字やう石などのたたずまひ、好み書きたまへる枚もあめり。<BR>⏎
<P>⏎
199 宰相中将のは、水の勢ひ豊に書きなし、そそけたる葦の生ひざまなど、難波の浦に通ひて、こなたかなたいきまじりて、いたう澄みたるところあり。またいといかめしうひきかへて、文字やう石などのたたずまひ、好み書きたまへる枚もあめり。<BR>⏎
 344 「目も及ばず。これは暇いりぬべきものかな」<BR>⏎200 
d1345<P>⏎
cd2:1346-347 と興じめでたまふ。何事ももの好みし、艶がりおはする親王にて、いといみじうめできこえたまふ。<BR>⏎
<P>⏎
201 と興じめでたまふ。何事ももの好みし、艶がりおはする親王にて、いといみじうめできこえたまふ。<BR>⏎
text32348 <A NAME="in27">[第七段 古万葉集と古今和歌集]</A><BR>202 
d1349<P>⏎
 350 今日はまた、手のことどものたまひ暮らし、さまざまの継紙の本ども、選り出でさせたまへるついでに、御子の侍従して、宮にさぶらふ本ども取りに遣はす。<BR>⏎203 
d1351<P>⏎
 352 嵯峨の帝の、『古万葉集』を選び書かせたまへる四巻、延喜の帝の、『古今和歌集』を、唐の浅縹の紙を継ぎて、同じ色の濃き紋の綺の表紙、同じき玉の軸、緞の唐組の紐など、なまめかしうて、巻ごとに御手の筋を変へつつ、いみじう書き尽くさせたまへる、大殿油短く参りて御覧ずるに、<BR>⏎204 
d1353<P>⏎
 354 「尽きせぬものかな。このころの人は、ただかたそばをけしきばむにこそありけれ」<BR>⏎205 
d1355<P>⏎
cd4:2356-359 などめでたまふ。やがてこれはとどめたてまつりたまふ。<BR>⏎
<P>⏎
 「女子などを持てはべらましにだに、をさをさ見はやすまじきには伝ふまじきを、まして朽ちぬべきを」<BR>⏎
<P>⏎
206-207 などめでたまふ。やがてこれはとどめたてまつりたまふ。<BR>⏎
 「女子などを持てはべらましにだに、をさをさ見はやすまじきには伝ふまじきを、まして朽ちぬべきを」<BR>⏎
 360 など聞こえてたてまつれたまふ。侍従に、唐の本などのいとわざとがましき、沈の筥に入れて、いみじき高麗笛添へて、奉れたまふ。<BR>⏎208 
d1361<P>⏎
cd4:2362-365 またこのころは、ただ仮名の定めをしたまひて、世の中に手書くとおぼえたる、上中下の人びとにも、さるべきものども思しはからひて、尋ねつつ書かせたまふ。この御筥には、立ち下れるをば混ぜたまはず、わざと人のほど、品分かせたまひつつ、草子巻物、皆書かせたてまつりたまふ。<BR>⏎
<P>⏎
 よろづにめづらかなる御宝物ども、人の朝廷までありがたげなる中に、この本どもなむゆかしと心動きたまふ若人、世に多かりける。御絵どもととのへさせたまふ中に、かの『須磨の日記』は、末にも伝へ知らせむと思せど、「今すこし世をも思し知りなむに」と思し返して、まだ取り出でたまはず。<BR>⏎
<P>⏎
209-210 またこのころは、ただ仮名の定めをしたまひて、世の中に手書くとおぼえたる、上中下の人びとにも、さるべきものども思しはからひて、尋ねつつ書かせたまふ。この御筥には、立ち下れるをば混ぜたまはず、わざと人のほど、品分かせたまひつつ、草子巻物、皆書かせたてまつりたまふ。<BR>⏎
 よろづにめづらかなる御宝物ども、人の朝廷までありがたげなる中に、この本どもなむゆかしと心動きたまふ若人、世に多かりける。御絵どもととのへさせたまふ中に、かの『須磨の日記』は、末にも伝へ知らせむと思せど、「今すこし世をも思し知りなむに」と思し返して、まだ取り出でたまはず。<BR>⏎
text32366 <H4>第三章 内大臣家の物語 夕霧と雲居雁の物語</H4>211 
text32367 <A NAME="in31">[第一段 内大臣家の近況]</A><BR>212 
d1368<P>⏎
cd2:1369-370 内の大臣は、この御いそぎを、人の上にて聞きたまふも、いみじう心もとなく、さうざうしと思す。姫君の御ありさま、盛りにととのひて、あたらしううつくしげなり。つれづれとうちしめりたまへるほど、いみじき御嘆きぐさなるに、かの人の御けしき、はた同じやうになだらかなれば、「心弱く進み寄らむも、人笑はれに、人のねむごろなりしきざみに、なびきなましかば」など、人知れず思し嘆きて、一方に罪をもおほせたまはず。<BR>⏎
<P>⏎
213 内の大臣は、この御いそぎを、人の上にて聞きたまふも、いみじう心もとなく、さうざうしと思す。姫君の御ありさま、盛りにととのひて、あたらしううつくしげなり。つれづれとうちしめりたまへるほど、いみじき御嘆きぐさなるに、かの人の御けしき、はた同じやうになだらかなれば、「心弱く進み寄らむも、人笑はれに、人のねむごろなりしきざみに、なびきなましかば」など、人知れず思し嘆きて、一方に罪をもおほせたまはず。<BR>⏎
 371 かくすこしたわみたまへる御けしきを、宰相の君は聞きたまへど、しばしつらかりし御心を憂しと思へば、つれなくもてなし、しづめて、さすがに他ざまの心はつくべくもおぼえず、心づから<A HREF="#no8">戯れにくき</A><A NAME="te8">折</A>多かれど、「浅緑」聞こえごちし御乳母どもに、納言に昇りて見えむの御心深かるべし。<BR>⏎214 
d1372<P>⏎
text32373 <A NAME="in32">[第二段 源氏、夕霧に結婚の教訓]</A><BR>215 
d1374<P>⏎
 375 大臣は、「あやしう浮きたるさまかな」と、思し悩みて、<BR>⏎216 
d1376<P>⏎
cd2:1377-378 「かのわたりのこと、思ひ絶えにたらば、右大臣中務宮などの、けしきばみ言はせたまふめるを、いづくも思ひ定められよ」<BR>⏎
<P>⏎
217 「かのわたりのこと、思ひ絶えにたらば、右大臣中務宮などの、けしきばみ言はせたまふめるを、いづくも思ひ定められよ」<BR>⏎
 379 とのたまへど、ものも聞こえたまはず、かしこまりたる御さまにてさぶらひたまふ。<BR>⏎218 
d1380<P>⏎
 381 「かやうのことは、かしこき御教へにだに従ふべくもおぼえざりしかば、言まぜま憂けれど、今思ひあはするには、かの御教へこそ、長き例にはありけれ。<BR>⏎219 
d1382<P>⏎
 383 つれづれとものすれば、思ふところあるにやと、世人も推し量るらむを、宿世の引く方にて、なほなほしきことにありありてなびく、<A HREF="#k16">いと</A><A NAME="t16">尻</A>びに、人悪ろきことぞや。<BR>⏎220 
d1384<P>⏎
cd2:1385-386 いみじう思ひのぼれど、心にしもかなはず、限りのあるものから、好き好きしき心つかはるな。いはけなくより宮の内に生ひ出でて、身を<A HREF="#k17">心に</A><A NAME="t17">ま</A>かせず、所狭く、いささかの事のあやまりもあらば、軽々しきそしりをや負はむと、つつみしだに、なほ好き好きしき咎を負ひて、世にはしたなめられき。<BR>⏎
<P>⏎
221 いみじう思ひのぼれど、心にしもかなはず、限りのあるものから、好き好きしき心つかはるな。いはけなくより宮の内に生ひ出でて、身を<A HREF="#k17">心に</A><A NAME="t17">ま</A>かせず、所狭く、いささかの事のあやまりもあらば、軽々しきそしりをや負はむと、つつみしだに、なほ好き好きしき咎を負ひて、世にはしたなめられき。<BR>⏎
 387 位浅く、何となき身のほど、うちとけ、心のままなる振る舞ひなど<A HREF="#k18">ものせ</A><A NAME="t18">ら</A>るな。心おのづからおごりぬれば、思ひしづむべきくさはひなき時、女のことにてなむ、かしこき人、昔も乱るる例ありける。<BR>⏎222 
d1388<P>⏎
 389 さるまじきことに心をつけて、人の名をも立て、みづからも恨みを負ふなむ、つひのほだしとなりける。とりあやまりつつ見む人の、わが心にかなはず、忍ばむこと難き節ありとも、なほ思ひ返さむ心をならひて、もしは親の心にゆづり、もしは親なくて世の中かたほにありとも、人柄心苦しうなどあらむ人をば、それを片かどに寄せても見たまへ。わがため、人のため、つひによかるべき心ぞ深うあるべき」<BR>⏎223 
cd2:1390-391<P> などのどやかにつれづれなる折は、かかる御心づかひをのみ教へたまふ。<BR>⏎
<P>⏎
224 などのどやかにつれづれなる折は、かかる御心づかひをのみ教へたまふ。<BR>⏎
text32392 <A NAME="in33">[第三段 夕霧と雲居の雁の仲]</A><BR>225 
d1393<P>⏎
 394 かやうなる御諌めにつきて、戯れにても他ざまの心を思ひかかるは、あはれに、人やりならずおぼえたまふ。女も、常よりことに、大臣の思ひ嘆きたまへる御けしきに、恥づかしう、憂き身と思し沈めど、<A HREF="#no9">上はつれなく</A><A NAME="te9">お</A>ほどかにて、眺め過ぐしたまふ。<BR>⏎226 
d1395<P>⏎
 396 御文は、思ひあまりたまふ折々、あはれに心深きさまに聞こえたまふ。「<A HREF="#no10">誰がまことをか</A><A NAME="te10">」</A>と思ひながら、世馴れたる人こそ、あながちに人の心をも疑ふなれ、あはれと見たまふふし多かり。<BR>⏎227 
d1397<P>⏎
 398 「中務宮なむ、大殿にも御けしき賜はりて、さもやと、思し交はしたなる」<BR>⏎228 
d1399<P>⏎
 400 と人の聞こえければ、大臣は、ひき返し御胸ふたがるべし。忍びて、<BR>⏎229 
d1401<P>⏎
 402 「さることをこそ聞きしか。情けなき人の御心にもありけるかな。大臣の、口入れたまひしに、執念かりきとて、引き違へたまふなるべし。心弱くなびきても、人笑へならましこと」<BR>⏎230 
d1403<P>⏎
cd2:1404-405 など涙を浮けてのたまへば、姫君いと恥づかしきにも、そこはかとなく涙のこぼるれば、はしたなくて背きたまへる、らうたげさ限りなし。<BR>⏎
<P>⏎
231 など涙を浮けてのたまへば、姫君いと恥づかしきにも、そこはかとなく涙のこぼるれば、はしたなくて背きたまへる、らうたげさ限りなし。<BR>⏎
 406 「いかにせまし。なほや進み出でて、けしきをとらまし」<BR>⏎232 
d1407<P>⏎
cd2:1408-409 など思し乱れて立ちたまひぬる名残も、やがて端近う眺めたまふ。<BR>⏎
<P>⏎
233 など思し乱れて立ちたまひぬる名残も、やがて端近う眺めたまふ。<BR>⏎
 410 「あやしく、心おくれても進み出でつる涙かな。いかに思しつらむ」<BR>⏎234 
d1411<P>⏎
cd5:2412-416 などよろづに思ひゐたまへるほどに、御文あり。さすがにぞ見たまふ。こまやかにて、<BR>⏎
<P>⏎
 「つれなさは憂き世の常になりゆくを<BR>⏎
  忘れぬ人や人にことなる」<BR>⏎
<P>⏎
235-236 などよろづに思ひゐたまへるほどに、御文あり。さすがにぞ見たまふ。こまやかにて、<BR>⏎
 「つれなさは憂き世の常になりゆくを<BR>  忘れぬ人や人にことなる」<BR>⏎
 417 とあり。「けしきばかりもかすめぬ、つれなさよ」と、思ひ続けたまふは憂けれど、<BR>⏎237 
d1418<P>⏎
cd3:1419-421 「限りとて忘れがたきを忘るるも<BR>⏎
  こや世になびく心なるらむ」<BR>⏎
<P>⏎
238 「限りとて忘れがたきを忘るるも<BR>  こや世になびく心なるらむ」<BR>⏎
 422 とあるを、「あやし」と、うち置かれず、傾きつつ見ゐたまへり。<BR>⏎239 
d2423-424
<P>⏎
text32425 <a name="in41">【出典】<BR>240 
c1426</a><A NAME="no1">出典1</A> 梅の花立ち寄るばかりありしより人の咎むる香にぞ染みぬる(古今集春上-三五 読人しらず)<A HREF="#te1">(戻)</A><BR>⏎
241<A NAME="no1">出典1</A> 梅の花立ち寄るばかりありしより人の咎むる香にぞ染みぬる(古今集春上-三五 読人しらず)<A HREF="#te1">(戻)</A><BR>⏎
 427<A NAME="no2">出典2</A> 君ならで誰にか見せむ梅の花色をも香をも知る人ぞ知る(古今集春上-三八 紀友則)<A HREF="#te2">(戻)</A><BR>⏎242 
 428<A NAME="no3">出典3</A> 花の香を風の便りにたぐへてぞ鴬誘ふしるべにはやる(古今集春上-一三 紀友則)<A HREF="#te3">(戻)</A><BR>⏎243 
 429<A NAME="no4">出典4</A> 梅が枝に 来居る鴬 や 春かけて はれ 春かけて 鳴けどもいまだ や 雪は降りつつ あはれ そこよしや 雪は降りつつ(催馬楽-梅が枝)<A HREF="#te4">(戻)</A><BR>⏎244 
 430<A NAME="no5">出典5</A> いつまでか野辺に心のあくがれむ花し散らずは千代も経ぬべし(古今集春下-九六 素性法師)<A HREF="#te5">(戻)</A><BR>⏎245 
 431<A NAME="no6">出典6</A> 亡き人の書きとどめけむ水茎はうち見るよりぞ流れそめける(歌仙家集本伊勢集-三八五)亡き人の影だに見えぬ遣水の底は涙に流してぞ来し(後撰集哀傷-一四〇二 伊勢)<A HREF="#te6">(戻)</A><BR>⏎246 
 432<A NAME="no7">出典7</A> まめなれど良き名も立たず刈萱のいざ乱れなむしどろもどろに(古今六帖六-三七八五)<A HREF="#te7">(戻)</A><BR>⏎247 
 433<A NAME="no8">出典8</A> ありぬやと心見がてらあひ見ねば戯れにくきまでぞ恋しき(古今集俳諧-一〇二五 読人しらず)<A HREF="#te8">(戻)</A><BR>⏎248 
 434<A NAME="no9">出典9</A> 葦根這ふ憂きは上こそつれなけれ下はえならず思ふ心を(拾遺集恋四-八九三 読人しらず)<A HREF="#te9">(戻)</A><BR>⏎249 
 435<A NAME="no10">出典10</A> 偽りと思ふものから今さらに誰が真をか我は頼まむ(古今集恋四-七一三 読人しらず)<A HREF="#te10">(戻)</A><BR>⏎250 
d1436
text32437<p> <a name="in42">【校訂】<BR>251 
 438備考--(/) ミセケチ--$ 抹消--# 補入--+ 傍書--= ナゾリ--& 独自異文等--* 朱筆--<朱> 不明--△<BR>⏎252 
c1439</a><A NAME="k01">校訂1</A> 承和--そうわう(そうわう/$承和)<A HREF="#t01">(戻)</A><BR>⏎
253<A NAME="k01">校訂1</A> 承和--そうわう(そうわう/$承和)<A HREF="#t01">(戻)</A><BR>⏎
 440<A NAME="k02">校訂2</A> 御あらそひ--御あらひ(ひ/$<朱>)そひ<A HREF="#t02">(戻)</A><BR>⏎254 
 441<A NAME="k03">校訂3</A> かのこと、と--かの(の/+ことゝ<朱>)<A HREF="#t03">(戻)</A><BR>⏎255 
 442<A NAME="k04">校訂4</A> たまふる--給(給/+る<朱>)頼(頼/$<朱>)<A HREF="#t04">(戻)</A><BR>⏎256 
 443<A NAME="k05">校訂5</A> 埋ませ--うつさ(さ/$ま)せ<A HREF="#t05">(戻)</A><BR>⏎257 
 444<A NAME="k06">校訂6</A> 御は--御(御/+は)<A HREF="#t06">(戻)</A><BR>⏎258 
 445<A NAME="k07">校訂7</A> 箏の--さう(う/+の)<A HREF="#t07">(戻)</A><BR>⏎259 
 446<A NAME="k08">校訂8</A> いと--(/+いと<朱>)<A HREF="#t08">(戻)</A><BR>⏎260 
 447<A NAME="k09">校訂9</A> 追ひて--せ(せ/$を)いて<A HREF="#t09">(戻)</A><BR>⏎261 
 448<A NAME="k10">校訂10</A> 左大臣殿の--*左大臣殿<A HREF="#t10">(戻)</A><BR>⏎262 
 449<A NAME="k11">校訂11</A> 聞こゆ--*きこゆる<A HREF="#t11">(戻)</A><BR>⏎263 
 450<A NAME="k12">校訂12</A> 兵部卿宮--兵部卿の宮の(の/$)<A HREF="#t12">(戻)</A><BR>⏎264 
 451<A NAME="k13">校訂13</A> 浅緑--あさみとか(か/$り<朱>)<A HREF="#t13">(戻)</A><BR>⏎265 
 452<A NAME="k14">校訂14</A> げに--(/+けに)<A HREF="#t14">(戻)</A><BR>⏎266 
 453<A NAME="k15">校訂15</A> たまふる--たも(も/$ま)ふる<A HREF="#t15">(戻)</A><BR>⏎267 
 454<A NAME="k16">校訂16</A> いと--(/+いと<朱>)<A HREF="#t16">(戻)</A><BR>⏎268 
 455<A NAME="k17">校訂17</A> 心に--(/=心に)<A HREF="#t17">(戻)</A><BR>⏎269 
 456<A NAME="k18">校訂18</A> ものせ--(/=物)せ<A HREF="#t18">(戻)</A><BR>⏎270 
d1457</p>⏎
 458<p><a href="index.html">源氏物語の世界ヘ</a><BR>⏎271 
 459<a href="roman32.html">ローマ字版 </a><BR>⏎272 
 460<a href="version32.html">現代語訳 </a><BR>⏎273 
 461<a href="note32.html">注釈</a><BR>⏎274 
 462<a href="data32.html">大島本</a><BR>⏎275 
 463<a href="okuiri32.html">自筆本奥入</a><BR>⏎276 
d1464</p>⏎
 465<hr size="4">⏎277 
 466</body>⏎278 
 467</HTML>⏎279 
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